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「『落書き禁止』の落書きをどうする?」(こども哲学の時間)

こんにちは。まえゆかです。

パラスポーツと本が好き。
その他にも、哲学対話が好きです。

あんまり話してなかったけど、NPO法人 こども哲学おとな哲学アーダコーダ の理事も設立時からやっています。

ここ3年くらい本業が忙しくてなかなか活動に参加できていなかったのですが、今年はちょこちょこ活動に参加していきたいなと思っていて。

今日が、2019年最初の哲学対話のファシリテーション。
某私立小学校に3クラスで実践してきました。


私が哲学対話に出会ったのは、大学院で所属していたゼミ。
特別支援教育の専門でもあった先生のゼミ生になったら、メインが哲学対話だったのです。
最初はあんまり興味がなかったのだけれど、いつの間にか哲学対話の方にも足を踏み入れていました。

哲学対話のファシリテーションスキルも哲学の知識も、他のメンバーに比べたら圧倒的に少ないけれど、対話の場は、私が長年テーマとしている障害や偏見といった課題を解決に向かわせると思っていて。

対話の場の持つ力にすごく可能性を感じつつ、自分自身も楽しんで参加しているのがこの活動。

Instagramで哲学対話のことを書いたら、興味を持ってくれた人がいたので、全部は書ききれないけど今日の振り返りを書いてみたいと思います。


今回は、今週と来週の2回の実践。
1授業40分しかないので、対話の時間は20分程度。
それでも、こどもたちのパワーってすごいなと改めて感じる時間でした。

哲学対話が初めての子ども達なので、以下のような流れで進めます。

≪事前準備:事前に先生にお願いしておく≫
・3グループに分かれてイスだけの円になっておく(1グループ10人くらい)
・クラスのみんなで話し合いたいことを黒板に書いておく

≪当日≫
・哲学対話の説明(5分)
・問い決め(5分)※今回は黒板にリストアップしたものから多数決で
・対話(20~25分)
・シェア(5分)

普段は、「問い」を何にするかだけで1授業使ったりするんだけど、今回は回数も時間も限られているので多数決で決定。

決まったのがこちら。

≪1クラス目≫
なんで勉強しないといけないの?

≪2クラス目≫
なんで学校に持ってきちゃいけないものがあるの?
人はなぜ死ぬのか。


≪3クラス目≫
『落書き禁止』の落書きはどうなるの?
にわとりとたまご、どっちが最初なの?

問いが2つあるとことは、多数決が割れてしまったので、1つのテーマを2グループ、もう1つのテーマを1グループにして、それぞれ話したい方のグループに参加してもらいました。

この他にも、面白い問いはたくさんあって、「6年生なのになんで付き合う人がいるのか」とか、「どうして歳を取ると味覚が衰えるのか」「地面はどこまで続くのか」「天国は本当にあるのか?」「なぜ悪口を言いたくなるのか」など、子供たちの関心事を垣間見ることができました。

私のファシリテーションもイマイチだったのでなかなか深めるところまではいきませんでしたが、20分で約10名の子たちがどんな話を展開したのか、一例として、「『落書き禁止』の落書きはどうするの?」のメモを少し。

≪3クラス目≫『落書き禁止』の落書きはどうなるの?

・「『落書き禁止』の落書き」みたいな他の例は?
→張り紙禁止の張り紙
 静かにしなさいって注意する大声
 スピード違反の車を捕まえるパトカー
 →パトカーは、悪いことを捕まえるためだからOKだと思う。

・『落書き禁止』って落書きしちゃいけない壁に書いてあったらどうするの?消したらわかんなくなっちゃうよね。
→落書き禁止の文字は、そもそも落書きじゃない。
→『落書き』って何?
→許可なく書いているもの。
→じゃあ、自分のノートに書く落書きは落書きじゃないの?
 自分で自分のノートに落書きしているから許可はしているよ。
→落書きは自分が好きに描くもの。でも、書く場所は自分が許可したところだけ。
→「落書き禁止」は落書きがダメなんじゃなくて、書いちゃダメな場所。
→壁は自分のものじゃないってみんなわかっていたら、なんでわざわざ「落書き禁止」って書くの?
→書かないと書く人がいるから。
→落書き禁止って、余白なく書いちゃえばいいんじゃない?

・許可していたら何を書いてもいいの?
→自分の家の中だったらいいんじゃない。
→自分の家の壁はダメなの?
→公共の場はダメ。迷惑だから。法律的には問題なさそうだけど。
→どんな迷惑?みんなは何が困るの?
→嫌な言葉が書いてあったら、嫌な気分になる。
→塗りなおす手間がかかる。
→「落書き禁止」って張り紙だったらいいんじゃない?
→じゃあ、落書きが模様だったらいい?
→それも落ち着かない。真っ白であってほしい。
→真っ白であってほしい壁に「落書き禁止」って書いてあったら嫌な気分にならないの?張り紙張るのはいいの?
→張り紙は剥がす手間がそんなにかからないから。
→「今、こうゆう病気が流行っているから注意しましょう」とかの良心的なものなら落書きでもいいと思う。
→それはデマかもしれないけど、どうやって判断するの?

・ゴッホが生きていたとして。勝手に壁に書かれたら迷惑?
→自分の家だったら、迷惑かなぁ・・・
→バンクシーだったらいいかも。落書きだけど、だれも消そうとしない。
→バンクシーはなんでいいの?
→社会に訴える絵だからじゃない?
→社会に訴えるものなら、勝手に書いてもいいの?


おおよそこんな流れで子供たちは20分ほど真剣に話していました。
20分でも話はいろんな方向に行くし、子供たちはいろいろなことを考えています。

哲学対話は答えを出すものではないので、最後はふわっと終わりになります。
理想は、哲学対話が終わった後も、自分の中で、お友達同士で、先生やおうちの人と考え続けられること。

対話の時間を通して、考えることの楽しさに気付いてもらえたらなと思って活動していますが、他の2クラスの実践からも、私自身気付かされることが多くありました。
来週は、どんな問いをみんなが立ててくるのか今から楽しみです!

対話のスタート時はどんな展開になるのかがわからないからこそ面白い。
テキストでは、あの場の空気感をうまく伝えられないのがもどかしいのですが、こどもたちの思考の断片がちょっとでも伝わったら嬉しいです。

哲学対話。大人もきっとハマります^^
機会があればぜひ、アーダコーダのイベントにお越しください♪
コルクラボの春合宿の夜コンテンツにも「こども哲学」があったので、きっと深い時間を過ごせるはず^^


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まえゆか/前田有香
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