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入社3年目。成長実感が持てない、このままでいいのかなと思っているあなたへ

 タイパ、コスパが判断軸となりがちな今。一方、人生100年時代とも言われ、生きられる時間、働く時間が長くなっていく今。ライフキャリアコンサルタントとして、20代の若手の方の相談を受けていると、そんなに急がなくてもよいのだよ~と言ってあげたくなる瞬間がよくあります。

 入社1年目は、何もかもが初めてで、無我夢中で目の前の業務をこなすことで精いっぱい。初めての経験で比べるものもないので、いろいろなものを吸収して、できることが目に見えて増えていく、成長実感が得られる時期です。新入社員なので、多少失敗しても周囲がサポートしてくれるし、わからないことを聞くこともできます。
 一方、学生とは立場が大きく変わったこと、入社前とのギャップで悩むこともあるでしょう。勤務体制や待遇面で入社前の話と大きく違うことがあれば、しかるべきところへ相談し、対応してもらう必要があるかもしれませんが、企業や組織は生もの、動いているものなので、例えば、仕事の内容が思ったものと違うといった場合、それは即、転職をすべきことなのかどうなのか、一度、冷静になって考えた方がよいかもしれません。

 入社2年目になると、少し余裕が出てくるでしょう。一通りの業務を覚え、スムーズに仕事がこなせるようになる実感がもてたり、自分の裁量で進められる業務が出てくる人もいるかもしれません。1つ下の新人を見ると、自分が成長しているという実感を得られることもあるのではないでしょうか。

 しかし入社3年目になると、ふと、このままでいいのかな?と思う瞬間が出てくる方が多いです。

「このままここにいても成長実感がもてない」
「もっと自分の力を活かせて、成長できるところが他にあるはず」
「日々、淡々と仕事をこなしているだけで、それ以上でも以下でもない」

 3年目になると、1年目、2年目に比べて、成長実感がもてないのは当たり前のことです。なぜかといえば、1年目、2年目は伸びしろしかないわけですから、やることなすこと、すべてが成長と感じられるわけです。しかし3年目になると、ある程度仕事も覚え、質もあがり、スピードもあがるようになるので、今までと同じであれば、ただ淡々と仕事をこなしているという思いになるのも無理のないことです。

 また、2年目までは、成長の機会は組織から与えられてきたもの。指示を受けて仕事をする、納期や質といったところのゴールも求められる基準に達することだけで精一杯だったかもしれません。しかし、3年目ともなれば、「成長の機会は自ら創りだす」ことを意識する必要があります。同じ仕事でも、自らの思い、意思を持って行う場合と意義も何も感じずに行う場合では、その経験から得られるものは大きく変わります。このことに気づけるかどうかが、この後の成長、キャリアの差となって表れてくるといえます。

 変化が激しく、正解のない時代と言われる中、社会人として働くということは学校のように決まったカリキュラムや道筋が決まっているわけではなく、一人ひとり、目指す道も成長スピードも違います。自分が目指したい人生を思い描き、どのような形で社会貢献=仕事をしていくのかを考え、自ら機会を作り出し、その機会を自ら活かし成長し続けることが必要なのです。

 企業、組織で働く最大のメリットは、自分の可能性を広げるチャンスがあるということ。前述したように組織は生ものです。変化します。だから、入社前と話しが違う、思い描いたようなキャリアではないということは起りえます。不本意な配属、不本意な異動ということもあるでしょう。それが我慢ならない状態であれば、新天地へ移るという選択は大いにありです。が、不本意な異動がもしかしたら自分では気づいていなった自分の可能性を広げるチャンスになるかもしれません。社会人になってすぐに「自分の道はこれしかない」と決めつけるなんてもったいないかなと思います。

 私は入社8年目。エンターテイメント系のグループ会社へ出向したことがあります。格闘技のDVDや漫画、トレーディングカードなどの、興味がないどころか嫌いな商品の宣伝担当としての役割が与えられたのです。そこには私が異動する意義が明確にあったわけですが、最初の1年は悲惨な状態でした。周囲の人との会話が成り立たない!しかし、興味のなかった格闘技の選手にインタビューさせていただく機会があり、自分とは全く違う世界、やっぱり興味は持てなかったけれど、その方の生き様に心が揺さぶられ、その方の話は今も私の生き方に影響を与えていたりします。

 そのあと、さらに大嫌いなゲーム会社の宣伝・広報担当として出向することになり、一体、私のキャリアはどこへ向かっているのだろうとかなり悩みました。しかし、多くの人が夢中になるゲーム。そのゲームを子どもの教育へ活かすことはできないかという思い(教育学科卒で子どもの教育には興味がありました)が沸き起こり、私の思いに賛同してくださる大学教授を探し、その教授をリーダーとして小学校の先生たちを集めた研究会を発足。なんとその資金を社長へ直談判して出してもらったのです。ゲームを教育に活かすという発想すらなかった時代。今、思えば、先進的な取り組みだったと思います。社長には、ゲームの新たな可能性の研究は業界全体の拡大へとつながること、研究会で実際に小学校にゲーム機を導入し、使ってもらえれば、宣伝にもつながる。これを軸に説得しました。この経験を経て、「私はスーパーサラリーマン。与えられたミッションに対して、自分が価値と感じるものが得られれば、猛烈なエネルギーがわくこと」を知ることになります。このことも、後々の私のキャリアに大きな影響を与えています。

 長い人生。急ぐ必要はありません。一見、無駄と思えることも、自分が遭遇することには必ず意味があります。その機会をどう活かすかは自分次第。自ら機会を作り出すこと、そして、偶然の機会を活かすこと、これができれば可能性は大きく広がっていきます。


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