ON READING
久しぶりの投稿になります。
昨年2023年の10月末、New Zealandの南島の山を歩いてきた旅の記録を展示させてもらえることになり、長野・大町から始まった「展示の旅」が終わり5月が終わろうとしています。
展示をさせてもらった長野・大町にあり、山の本を中心に取り扱う古本屋さんで出会えた本について、今日はお伝えします。
「ON READING」(アンドレ・ケルテス)読む時間
その本は、谷川俊太郎さんの素敵な詩から始まります。
”読むこと
黒い文字たちが白い紙の上に整列しています
静かです
音はしません
あなたの目は文字に沿って動いていきます
あなたの指が紙をめくります
そよ風があなたの頬を撫でていきます
でもあなたはそれに気づきません
あなたは本を読んでいます
椅子の上のあなたのお尻がかすかに汗ばんでいます
昨日の夕方傘を忘れたあなたは仕事帰りに
駅前の本屋さんで雨宿りしました
そのとき本があなたにウインクしたのです
いや本当にそうとしか思えなかったのです
どんな本かもわからずに手にとって
カバーを見て扉を開けて著者の写真を見て
それだけでレジに行きました
自分の勘だけを信じて” (続く)
詩に続くのは、時代・国・年齢・性別・場所を問わず、読書に耽る人々の写真。いつの時代にも、読むことが人々の暮らしの中に取り込まれていることがわかります。今の私たちにも同じことが言えるように。
今回の展示の旅では、神社や、歴史の足跡を辿る場所を訪れる機会が多くありました。各地で心に残ったのは、その時代の出来事が記録として写真や書物として残っていたことです。当時の人々が記録として、読み返すものとして残っていたから、今を生きている私たちが読むことができている。何十年、年百年としてその文字たちが残っていることは凄いことだなと、時間を紡いできた記録や人々に感動しました。
展示の旅から帰ってきて、本を読みながら、
その本のことについて、旅の出来事について振り返っていました。
家の中でも、街でも、山の中でも、どこでも
本を読む時間。とりわけやわらかい風を感じながら読む時間はとても心地よい。