2312_大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ
同時期に複数の展示が行われている国立新美術館。お目当て以外の展示に出会えるのも嬉しい。
今回は来場した際に、メイン展示として紹介されていた大巻伸嗣さんの展示会にも足を運んでみた。
「せっかくだし、無料だから」くらいの気持ちで展示会場に入った直後、広々とした空間と、鎮座する半透明のオブジェに圧倒された。
内側から当てられた光の木漏れ日が、訪れた人を出迎え、飲み込み、包み込んでいく。
彩度が削ぎ落された空間で、自然音のような効果音が静かに響いていた。
最後の展示もだだっ広い暗がりで、波打つような布だけに集中をさせられる引き算の展示が美しかった。
スケールがでかい。
過去の舞台を映像化したものも観られるコーナーがあったが、画面の大部分を覆う暗闇が理解を困難にしていて、「芸術ってムズカシイ」感が素人としてはもったいなく感じた。
完成品に至るまでのスケッチも、ぱっと見落書きにしか見えなくて「頭のいい人が感性が違うのかな」という無理やり別世界の出来事のようにしてしまう。
ただ、その場に身を置くことでしか味わえない大味の展示は芸術の醍醐味だ。
解釈は経験になって、全然関係のないことがきっかけで1回でも思い出せたら嬉しい。感じた断片が積み重なって、自分の表現に繋がることが出来たら嬉しい。
そうやって自分は芸術と関わり続けていく。
駆け足の観覧になってしまったが、じっくりと自分の中で咀嚼したい、見応えのある展示でした。