「鉄の骨」 / 読書メモ
父が池井戸潤さんの作品が大好きで、ほぼ全作品購入して読んでいる。
「鉄の骨」はそんな父のコレクションの中から、オススメされて借りたものだ。半沢シリーズなどと異なるのは、672ページと分厚いこと。読書家ではない私はなかなか手をつけられず、読み始めるのに時間がかかったが、読み始めてからはあっという間だった。
「鉄の骨」のテーマは「談合」だが、池井戸作品らしく会社組織、業界の悪しき構造、そして恋人との関係など様々なテーマが絡み合い、難しいテーマを登場人物がそれぞれの立場で解説してくれる。談合に関わっている主人公の、恋人が銀行員だなんて。学生時代から付き合っている恋人と社会人になった時にすれ違っていくのは"あるある"で、私の同期も学生時代から付き合っている人とはほとんど別れてたっけ、なんてことを思い出す。恋人とすれ違う時の、あのどうしようもなさ、もがけばもがくほど悪循環に嵌っていく虚しさと独特の苦しさが胸に広がる。そんな中で談合の話も進んでいき-----。いや本当に面白いから、談合とか興味なくても読んで欲しい。
読後感に独特の余韻と爽快感が共存するのも池井戸作品の特徴。半沢シリーズの新刊(アルルカン)も読みたいなあ。
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