ヅカオタが「好き」を仕事にした話
私は、2014年に自分の会社を作りました。
社会に出てから14年間、ずっとサラリーマン。途中「起業しないの?」と聞かれることがなぜか何度かあったのだけど、その度に「しませんよー。やりたいことも特にないですもん。」と答えていました。私には、まったくその気がなかったんです。
やりたいことも、会社を作るお金も、私にはないってずっと思っていましたから。
ヅカオタが会社を作ったわけ
外食産業やブライダル産業という、概ね不規則で長時間労働になりがちな業界を出てメーカーの本社勤務になった私は、時間を持て余した結果、趣味を持ちました。何事も「やるならとことん」な性分なものだから、私は立派なヅカオタ(宝塚オタク)になったのです。
子育てとヅカオタと会社員ライフを満喫していたら、2011年に東日本大震災が起きました。震災後の世界の変化は、私にそれなりに大きなインパクトを与え、今までと同じ働き方を続けていくことに疑問を抱くようになっていきました。
働き方に疑問を持ちながらも、どこの会社に転職しても同じことが起こるし、かといって自分で起業するほどやりたいこともできることもない……というスパイラルにはまっていました。
ちなみに、なぜか私の頭にはフリーランスという選択肢が浮かんだことはありませんでした。なんだかんだ会社組織が好きだったんでしょう。
悩みながらもしっかり宝塚にハマりまくった結果、私はあるスターさんのファンクラブに入って活動するようになりました。震災後もその活動は続けていて、気がついたら運営スタッフになることに。
悶々とした気持ちが、余計にヅカオタに拍車をかけたのかもしれません。
ヅカオタといっても、ファンクラブの運営スタッフとなるとちょっと立ち位置が変わるということもあります。スターさんと一緒に、いかにスポットライトを長く浴びるか、そのためにたくさんのファンをつけるか、を考えていく立場になったのだから。
ファンクラブはボランティアスタッフの手で運営されるとはいえ、動かす金額も人数も結構なもの。素人が大量のチケットを買取り、さばく。ホテルで大きなイベントを開催する。そのために、イベントの企画運営はもちろん、グッズの開発をし、販売を取り仕切る。
ちょっとした会社経営と同じでした。
勤めていた勤務先では経験できないあらゆることを経験し、身につけたほうが早くてコストがかからなくなるスキルはどんどん身につけていきました。
イベント企画、運営、司会、PhotoshopやIllustrator、Premiere Proの操作、デザイン、グッズの商品開発、制作…。
「私には何もない」と思っていた私が、何百人ものお客様を集客したイベントを運営し、司会をする。
PhotoshopやIllustratorを駆使して画像加工やデザインをし、Premiere Proを使って映像編集をする。
勤めていた法人のブランドを使えないただの「私」として、市場で法人相手に交渉をし、商品を作り上げる。
短いサイクルでPDCAをまわしながら、失敗もたくさんしました。だからこそ到達できた成功もあったと思います。
ボランティアとは思えないのめり込み方で、日中、会社では常に眠いくらいコミット。あまりにも面白くて、何度も何度も「これが仕事だったらいいのに…。」と思うようになりました。
そうなったらもう、どうやったらこれが仕事になるかを考え抜くだけ。完全なボランティアとしてやっていることに対して、誰にどう対価を支払ってもらえるのか。そのバリューをどう出すのか。
そして、私は、2014年に自分の会社を作るにいたりました。
好きなことを仕事にするという文脈
私は宝塚歌劇が好きです。
「好き」を仕事にしたのかと聞かれれば、間違いなくそう答えるけれど、宝塚の舞台に立つことが仕事ではありません。脚本も書いていないし、宝塚の公式グッズを作る仕事をしているわけでもありません。
ファンクラブ時代に培った、「オリジナルのグッズを小ロットから作り出せる」というバリューを横展開させて、ノベルティやオリジナルグッズの企画・制作の会社を作っただけ。
クライアントさんには宝塚のファンクラブさんも当然います。しかし、現在の売上の多くを占めるのは、法人さんであり、宝塚と関係ない仕事の方が多いです。
それでも私は、「好き」を仕事にしたと思っています。あの頃知った、オリジナルのグッズを一から作る喜びに、今も四六時中包まれているから。
もちろんクライアントさんに宝塚関係がいるから、観劇することも仕事です。そこからデザインやグッズを考えるから当たり前。こんな幸せなことはないと思っています。
「好き」を仕事にするという言葉からは、終始好きなことだけやっていればお金になるような印象を受けるかもしれません。実際は、そのために「好き」ではないことにも当然、取り組まなければなりません。
仕事をしたら請求をしないと売上は入って来ないし、毎日業務をしていたら消耗品だって発注しないといけない。取り扱うアイテムを増やすために、広い広い展示会場を歩き回ることもあるし、中国の取引先と英語でやり取りしなければならないこともある。
そういう、時にわずらわしいかもしれない一切合切に熱を持って取り組めるくらいじゃなきゃ、「好き」を仕事にすることなんてできない。
逆に言えば、それくらい熱を持って好きなことがあれば、仕事にすることは難しくないとも言えます。
だって、「努力」は「夢中」には勝てないから。
ヅカオタだって、ビジネスのネタになる。そんなお話。
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Yuka Shibayama
会社を経営したり、オンラインサロンを運営したり、秘書をしたりしているワーママです。
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