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私生活ではバカ丸出しで涙もろくて、全然いい

塩野七生さんという作家さんを知ったのは、確か、中学生の頃。

たくさんの著作があって、どの本とはじめに出会ったのか記憶がさだかではないのですが、おそらく『ロードス島攻防記』だったかな…。

ずいぶんと早熟な感じがしますが、元々は中高生の女の子が手に取りそうな小説レーベル「集英社コバルト文庫」で、藤本ひとみさんの小説に出会ったことがきっかけ。

少女向けの小説から、西洋史を扱った歴史小説や犯罪心理小説へ活動の場を移す藤本ひとみさんに合わせてどんどん引き込まれ、ヨーロッパの、特に歴史的な出来事や人物を取り扱った小説をたくさん読むようになりました。

先日、私のタイムラインに「塩野七生」の文字が飛び込んできました。

塩野さんは御年87歳、今も書き続けておられます。
『文藝春秋』で巻頭エッセイ「日本人へ」を執筆されていて、その一部がYahoo!ニュースとして流れてきたのです。

最近、触れていなかったので、久しぶりの塩野節がガン!ときて、痛快で、あーやっぱりこのかたの書かれる凛とした文章が好きだな、と思い出したのです。

「仕事上では男をしても、私生活では徹底的に女になること」作家・塩野七生が明かす〈自立したいと考えている女たちへの提案〉

ひゃー。
タイトルだけでもう、塩野節が炸裂!

だらしない男たちに代わって今こそ女たちが活躍すべきということには、私とて大賛成。ただしこれが言われ始めてから80年も過ぎているのにいまだにそれが現実化していないのには、われわれ女の側にも責任があることは認めるべきだろう。

おおおおお。
書き出しがこれです。もう。

女たちの多くは、自立なんてしたくないと思っているのが本音であると書かれています。
痛い。痛いが、そうなのかもしれないなぁ。
塩野さんも書かれていますが、仕事をすることで自立するのは、実際とっても大変です。

きちんとした仕事をするには、男にでもなった気持ちでやらないとできない、でも、それだけでは女の部分とのバランスがとれない。
それで、塩野さんはある提案をしています。

仕事上では男をしても、相手が亭主でも愛人でも関係なく、私生活では徹底的に女になることなんですね。要するに、バカになるのが可能になる関係を築くこと。

1960年代からイタリアに遊学し、70年代にはイタリア移住。作家として活躍し、数々の賞を取り、80代になっても現役で書いている強い強い女性。

その、塩野さんがバカになるのが可能になる関係を築く大切さを説くんだから、もうノックアウトです。

女たちは、私は、無理をしすぎているのかもなぁ。
全開でバカになる時間、ダメダメな自分をさらけ出してなお、安心していられる関係。確かに必要かもしれない。

リンク先のコラムの、最後の部分をぜひとも読んでいただきたい。

塩野さん、完敗です。
なんてかっこよくて、魅力的な女性なんだ…!

さてさて、ここからは塩野七生という作家を愛した軌跡について書いています。蛇足です。

塩野さんと初めて出会った本、『ロードス島攻防記』は、1522年の聖ヨハネ騎士団とスレイマン大帝率いるオスマン帝国との、ロードス島をめぐる攻防戦を描いた小説です。

歴史に興味を持ち始めた私は、この本をきっかけに塩野七生さんの本をむさぼるように読み出します。

目の前に歴史上の人物が、都市が、人々の営みや駆け引きが、ありありと映像として浮かぶような塩野さんの筆致に、完全に魅了されていました。
そういう人がいて、食べ飲み、考え、確かに生きていたのだと、歴史の授業とは全然違う圧倒的な情報量で迫ってきたんです。

『ローマ人の物語』が、塩野さんの最も有名な歴史小説かなと思いますが、私が一番好きなのは『海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年』。
高校生の時だったかな。

読んで以来、ヴェネツィアに行ってみたい思いを抱えたまま大人になり、2017年にようやく叶いました。

塩野七生さんは、私の世界をぐいっと広げてくれた作家さんの一人です。

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Yuka Shibayama
会社を経営したり、書いたり、秘書をしたりしているワーママです。


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柴山 由香
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