人気のない古本屋
・登場人物
咲(さき)17歳
杏奈(あんな)17歳
夏休み終わりまであと一週間。
昼間よりも涼しく街灯の灯りが点き始めた頃、人気(ひとけ)のない古本屋に咲が1人で本を探している。
咲「ここにもないかぁ、、、」
本棚から本を取り出してはしまうを繰り返す。
そこに咲の親友、杏奈が入ってくる。
杏奈「え?咲?」
咲「杏奈!?え、なんで?」
杏奈「そっちこそ、、、なんの本探してるの?」
咲「えっと、、、ど、読書感想文まだ終わってなくてその本を探しに」
杏奈「だったら家の近くの本屋にいけばいいじゃん。別にここで探さなくても」
咲「あそこの本屋良さそうなのなくて」
杏奈「読書感想文なんて適当な本でいいのに。咲が宿題ちゃんとやるなんて、、、明日は雪でも降るのかなw」
咲「うるさいなぁ、、、今までだって真面目だったし」
杏奈「はぁ?高一の時、地図帳選んで『世界は広いです』って感想書いてたやつが何をいう!」
咲「素直に書いただけだし!」
杏奈「笑い堪えるのに必死だったんだから」
咲「昔のことはもういいから!杏奈はなんの本を探しにきたのよ」
杏奈「わ、私はその、、、」
咲「え、何?」
杏奈「お兄ちゃんがこの本探してこいって」
スマホの画面を咲に見せる
咲「え」
杏奈「それだけだから!じゃあ私は探すから」
その場を急いで離れる杏奈。咲は慌てている様子
咲「待ってなんで杏奈同じ本探してるのよ、、、あれは私が買って大好きな松下くんにあげるつもりだったのに、、、なんとしてでも私が先に見つけないと」
一方、1人になった杏奈も焦っている
杏奈「早く見つけて帰ろう」
探しているうちに2人が近づき本を取ろうとした時、手が重なる
杏奈・咲「あ」
杏奈「これ私が探してたやつだから」
咲「ちょっと待って杏奈!お願いこれ譲って!」
杏奈「はぁ?なんで」
咲「これ、松下くんにプレゼントしたいの!」
杏奈「、、、え、読書感想文どこ行った、、、てか松下っあの松下?イケメンでスポーツもできる」
咲「そう!だからお願い!」
杏奈「待って咲、あんた松下のこと好きなの?」
咲「う、うん」
杏奈「、、、ごめん、これは譲れない」
咲「なんで!?」
杏奈「私も好きだから松下のこと」
咲「、、、聞いてないよ!?」
杏奈「いうわけないじゃん!」
咲「お兄ちゃんに頼まれたんじゃないの?」
杏奈「ごめん、あれうそ」
咲「いくら杏奈でも松下くんは渡さないよ?」
杏奈「付き合ってもない奴がなにを言う!」
咲「とにかくこの本は私が買う!」
杏奈「ちょっと待ってって!!」
2人の喧嘩が始まる
咲「杏奈奥手だからどうせ渡せれないよ!」
杏奈「同じクラスだから渡せるし!」
咲「え、ちょっと待って同じクラス?」
杏奈「同じクラスでしょ松下」
咲「3組だよ?」
杏奈「違うよ2組だよ」
杏奈・咲「、、、え?」
杏奈「、、、咲のいう松下って3組の背高い人?」
咲「そう背の高い、杏奈のいう松下って2組の背低い松下?」
杏奈「うん」
少しの沈黙
杏奈・咲「違う松下じゃん!!!」
咲「だってこの本さ、身長に関する本だし」
杏奈・咲「まぁ2人とも欲しがる意味はわかる、、、」
2人気まずそうに見つめ合い本をどうしようか困る。
(完)
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