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おひとりさま旅行記vol.6 浜松

先月、私にとっての吉方位は南西。

南西500kmまでOKなのでもっと遠くまで行けたが、時間や予算や体力を考えたらここが一番私には楽だった、という消極的な理由で浜松になった。


浜松に来たのは20代の時以来だ。

大学の友達の中で一番最初の結婚が静岡の子で、ホテルや結婚式場が主流の中、浜名湖のほとりのレストランウエディングなんて当時はまだ珍しいスタイルだった。

「今朝、浜名湖で捕れた小魚をフリッターにしました」という粋なサービスがあったり、
こんなに景色がいいところで結婚式ができるのは、地方ならではだなと思ったことを覚えている。

その日は連れられるままに2次会3次会と続き、取ってもらったホテルに泊まり皆で遅いモーニングを食べ、どこかに寄ることもなく帰ってしまった。

他に覚えているのは3次会の巨大なパフェで目が覚めて、新郎の弟に笑われたことくらいだ。

そんなわけでほぼ初めましての浜松である。


さてどこに行こうかと事前に調べると、行きたいと思ったところは交通の便が悪かったり、バスで40分とかだったりする。

バスで香害さんがいると逃げ場かないため長距離は避けており、駅周辺で済ませたい私としては尻込みしてしまい、いつかの機会にとあっさり諦めた。

そこで、写真映えしそうなスイーツバンクと浜松城と中田島砂丘あたりをぼんやり考えていた。

バスの時刻等はまったく調べていなかったので観光案内所へ行き、ひと通り教えてもらう。
そしてバスを降りたらグーグルマップに案内してもらい、スムーズにたどり着いた。まったく便利な世の中になったものだ。

スイーツバンクのおやつで満腹になったあとバスで浜松駅に向かうと、到着前に予報に反して早く雨が降り出した。

駅前で行われる予定だった音楽イベントも撤収し、すっかり静かになっている。

浜松城へ行く予定だったが、雨風強い状況で行くのも違うよねと思い、ホテルで本でも読んで過ごすことにした。

むしろ、それを望んでいた節もある。

せっかく来たんだから観光しなきゃみたいな、つまらない強迫観念から本当は自由になりたかったのだ。


方位取りに来るとなぜか本屋さんへ行きたくなる。
ここでは駅ビル内に大きな書店があって、ゆっくり見ることができた。

通販で買うのは楽だが、書店でリアルに手に取れるからこそ出会える本というものもあり、どうやら旅先でその出会いを期待しているようだ。

読みたい本がいくらでも見つかる中、絞るのは苦労した。

それでもとても満足な買い物ができたのは、日常から離れていつもとは違うタイムラインで過ごせたからに他ならない。

これだけでも、生活圏から離れて過ごすことがいかに自分を自由にしてくれるか気づくのだ。

こんなことを書くと随分本を読む人のようだけれど、実際ふだんは全然で、どういうわけかこの時ばかり本が読みたくなるのだから不思議なものだ。


翌日、どんよりとした曇天の中、浜松城へ向かう。

到着した浜松城はこじんまりとしたお城で、400年以上経つ石垣の上に昭和に再建されたお城がちょこんと乗っている様子はちょっぴりチグハグな印象を受けた。

出世城と呼ばれるらしいが、お年寄りの爺さんが目立つ。
もう出世も必要無かろうに…と思いつつ元気過ぎる爺さんたちの後に続き、その有り余るパワーを分けて欲しいと思いながら天守閣の階段を上る。

そして出世、出世という文字を見るたびに、何とも言いようのない違和感に気づいた。

なんとなくだけど、令和の世の中は立身出世とか、そういう時代じゃなくなっている気がする。

ヒエラルキー型の世の中においては偉くなるということが重要視されたけれども、そういうあり方が崩れつつある今、これからにおいてはそれが最重要事項ではない。

むしろこれからはフラットな関係を上手に構築する力が求められるよね〜なんて思っていたら、なんだか過去の遺物を見ているようで、
長く続いたひとつの時代が終わり、大きな時代の転換期に居るんたなってことをしみじみ実感するばかりだった。

結局この日も雨に降られたので砂丘は諦め、お城のそばには浜松市の美術館があったので、定番の美術鑑賞。

いかにも観光!というよりはこのくらいのペースが私には合っている。

最近ちょっと頑張ってあちこち行ってみたけど、無理はしないで自分のペースに戻そうと思った。

食事も無理に名物を食べようとせず、本当に自分が食べたいものを食べた。

そうしたら、なんと幸せなこと。

そう、この感覚。

一人でのたまの外食なんだもの。思いきりわがままに、好きなものを食べたらいい。

映えのためにどこか行くとか、浜松餃子や鰻やさわやかを食べなくたっていい。

そう思ったら自分の中に力が戻って来たようだった。

この方位取り旅は私にとって観光ではなく、日常でついた垢を落としてリセットする旅なのだ。

というわけで、次回からは人から見たらつまらない旅になりそうです。

なにとぞ、ご容赦のほどを。


浜松駅南口から近いところでサクッとランチ、のつもりが
結構ボリュームがあって食べ応え十分でした(自家製ベーコン超美味♪)
遠州バスはSuica、PASMOは使えないので整理券を取る。すごく久しぶり。
巨大なテーブルの下が銀行です
普通に営業しているのを見たかったな(この日はお休み)
駐車場側から見るとこんな感じ。いろいろ凝ってます(右がスイーツのお店)
うなぎパイがついてきたのかと思ったらおしぼり!
午後に来れば出会えたのになぁ。。残念でした。
(頭についてるの、ウナギだよねw)
シュッとした家康公は初めて見たのでなんか意外でした
これに火を灯したところが見たいわ
天守閣の中にはこんな展示が。歴女の方々はお好きかも。
私はこっちのほうが好みです♪
最上階の天井は金ぴか豪華絢爛でした
天守台のサイズに合わない天守閣。見てるとじわじわ来ますw
すぐそばに浜松市美術館。陶磁器の展示でした。(すべて撮影OK)
なんかカワイイ。
ラクダとか、大陸の古い焼物がたくさん並んでいます
龍ですね
まさかの三角縁神獣鏡。ここで見られるとは思わなかった。(↓)
バス停へ向かう途中の交番
3個くらいで充分なので、あと全部食べてくれる人いませんか?



【今回の旅で使ったお金】

交通費    約15,000円
宿泊費     10,800円
昼食代       930円
ケーキ       660円
バス代       760円
本代        2,200円
寿司        1,320円
パンとケーキ    970円
浜松城       200円
浜松市美術館    310円

合計             33,150円


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