別れは苦手だ。でも、嫌いじゃない。
あっという間に3月が終わってしまった。
この1年は長かったようで、短かったようで、濃かったようで、空白だったようで。切り取り方によって捉え方は変わってくるけど、私にとっては忘れられない、というよりも、忘れたくない大切な1年間だった。
そんな1年間の最後に、私の心には「別れ」の2文字がふわふわとしている。
私がNPOで活動を始めるきっかけを下さった方との別れ。フィリピンに行ったり、SDGsについての活動を2年間一緒に行った方との別れ。居場所に来てくれていた子どもたちとの別れ。思い出せば思い出すほど、今月は本当に沢山の別れがあった。
「終わりは始まり」なんて言葉があるように、みんな新しい道へと歩き出している。その背中を見ながら、かっこいいなぁ。素敵だなぁ。と思いつつ、やっぱり寂しさが胸の中に大きく広がっている。
私の大好きな市川拓司さんの小説「恋愛寫眞」にこんな一節がある。
別れはいつだって思いよりも先に来る。
それでもみんな微笑みながら言うの。
さよなら、またいつか会いましょう。
さよなら、またどこかでって。
別れを実感するのは、いつだって遅い。
聴き慣れた笑い声が聞こえない。置いてあった靴がなくなった。ふとした時に、ねえ聞いてって話しかけられない。
そんなふうに、生活の中で少しずつ別れを実感していく。
もっと早く、実感していれば、もっともっと大切な時間を過ごしたのに。あの時、怒ったりしなかったのに。あの時、違った言葉をかけられてたのに。あの時、もっと話していたのに。あの時、あの時、、、
いつだって、そう振り返ってしまう。
別れが来ることは最初からわかっているけれど、それでも、知らないふりをして、日々を過ごして、たくさんの思い出を作り上げていく。そして、まるで別れが来ることを知らなかったように驚き、笑顔で送り出す。その後に、ゆっくりと時間をかけて別れを実感して、後悔を重ねたり、素敵な思い出としてしまっていく。
知っているはずなのに、知らないふりをするなんて、おかしいね。
これまでだって、沢山の出会いと別れを繰り返してきた。だけど、全く慣れないし、慣れたくないと思ってる。別れを意識するからこそ、時間を大切にできる人もいるんだろう。でも、私にはそんな器用なことはできないな。
だから、私は、いつまでも別れが来ることを知らないふりをして、楽しい日々を作り上げていくんだろう。そして、最後の最後まで笑顔で「さよなら、またいつか。」って言う。その後で、後悔することがあったり、懐かしくなったり、色んな気持ちになるんだろう。その気持ちがあるからこそ、心の中で思い出が形として現れたり、色づいてくれるんだと思う。
だから、別れは終わりじゃなくて、ずっとずっと私の心の中では続いているのかな。色んな人と出会って、たくさんのものをもらって、私が形作られていく。
別れは苦手だけど、そうやって考えたら寂しくない気がするな。
出会ってくれてありがとう。
同じ時間を共有してくれてありがとう。
ずっとずっと味方だし、ずっとずっと応援してるよ。
そんないろんな想いを込めて。
「さよなら、またいつか」
「さよなら、これからもよろしくね」って。