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そこに私はいません。眠ってなんかいません。

義父の三回忌だったか、義母が床の間に掛け軸を飾りました。

『南無阿弥陀仏』

読経にいらしたご住職が、申し訳無さそうに一言。

「宗派的には『南無釈迦牟尼仏』なんですよ。」

義母の里は私と同じ、浄土真宗、なんまんだー。
相方の実家は曹洞宗。


義父は次男だったので、体調が悪化した頃から葬儀をどうするか(こっそり)話し合ってました。

本家のある南信で行うか、家のある北信で行うか。
お墓はどうするのか。
お墓を新しくするとして菩提寺をどこにするのか。

実は相方名義で墓地だけはありました。
市内を見渡せる高台の傾斜地に。
相方が未成年の頃購入したそうです。
当時の義父義母はもちろん若い。
これくらいの坂、なんということもない、そう思って購入したようです。

そしていざ、そこにお骨となって永住、という段になり。

「とてもじゃないけど登れない」
と義母。

その土地、売却などはできないそうで、全くの無駄金となりました。

白紙に戻った墓地&菩提寺問題。
善光寺さんの納骨堂等色々見学しましたが、やがてこの家を継ぐ事になる甥っ子のことも考えて、ちゃんとしたお墓があった方が良いということに。

そして、たまたま、相方の中学の部活仲間が住職をされているお寺があり、さらにそこには奇跡的にご本堂の真裏に1箇所だけ墓地が空いていました。

即決!

ここのご住職、相方とは話も合うし、恰幅の良い、いかにもご住職といった風貌、そして恐ろしく達筆。
お裏方さまもとてもにこやかで、ここなら安心

というわけで、お仏壇とお墓を新しく購入。

5人くらいのお坊さんによる読経の伴奏がとても賑やかな葬儀でした。
葬儀のついでに四十九日までやってのけたので、仏事の度に帰省ということはなくて助かりました。

で、義母です。
曹洞宗の仏事に南無釈迦牟尼仏の掛け軸をかけるくらい、浄土真宗です。
でも宗派にそれほどこだわりがあるようには見えません。
掛け軸のことも「善光寺さんで売ってたから」だそうです。
すんなりと曹洞宗のお寺のお墓におさまりそう。

一方のワタクシ。
浄土真宗の幼稚園から、引っ越し先ではプロテスタントの幼稚園に転園させる程度の宗教観な両親に育てられました。 
朝イチの合唱「のーんのーんののさま ほとけさま」から「天にますます我らの父よ」にかわり、泣きそうになりながら覚えようと努力した年長さんでした。

お仏壇はありますが、毎朝お供えするのを見たことがないし、寺社参りしても手を合わせることのない父です。
熱心なブッディストというわけではない。
それでも、お墓参りは欠かさない人でした。
ご先祖様>>>仏様といった感じ?

でも、なんまんだーと10回唱えたら極楽浄土に行ける、というのはめんどくさがりの私にはかなり魅力的です。
色々ゆるいのも合ってます。

うちは娘二人で、ふたりとも結婚しないと言ってます。
なので、娘たちの代で途絶えます。
ならば物理的な負担はかけたくない。

というわけで、相方が座禅に通っている曹洞宗のお寺にふたりとも永代供養をお願いすることになっています。
お墓などは作りませんし、お仏壇も不要。



ただ、私としては、(先に分骨した義父も入っている)永代供養墓に入るのもなんだかなぁという気もあり。

かねがね、相方よりも先に逝くといってます。
これは乳がんに関係なく、昔からです。
相方は何でもできる器用な人なので、私がいなくなっても生活に困ることはないけれど、私が残された場合、困惑の日々となるのは目に見えてますからね。


父が入っていないのに、ご先祖様と一緒に暮らす(?)ことになったじゅんぴぃのことも、ちょっと嫌とか思ってないかなと少し不安。

曹洞宗がいやなわけではありませんが、「こっちに合わせるのが普通」みたいなのに待ったをかけたい。

故郷の、桜島が見える公園に桜の木を植えて、そこに遺灰をまいてほしいとか、故郷の海にまいてほしい、とかも思うわけです。

私の遺灰を食べて育ったブリとか、脂がのって美味しそうじゃない?


といってもお墓なんて、残された者にとって都合の良いのが一番。

ならば、両親揃って同じところのほうがいいのかな、などとも。

翻って、相方が浄土真宗に改宗することなどなさそうだし。

どういうわけだか、妻側が夫側の宗派に変える事がデフォの模様。
「家に嫁ぐ」時代の名残りですね。

夫婦別姓とか言われてますけど、こっちもわりと生活に密着した問題。

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