長年愛用しているスーツケースが壊れた。
私は旅をするのが好きだ。仙台に引っ越してきても、家にいるのは2週間くらいで、それ以外は全国各地あちこちへ行っている。
もちろん、仕事が理由の時もあるけど、会いたい人やいきたい場所があれば、何かしらの理由をつけて足を運ぶ。
長い時は2週間以上、家から離れることもあるので、スーツケースが欠かせない。
私が愛用しているスーツケースは、アメリカンツーリスター エアーコニック 67cm Samsonite American Tourister AIRCONIC 67L。大容量なのに、めちゃくちゃ軽い、優れものである。
このスーツケースは、パートナーが突然、「ゆかにスーツケース買うよ」とプレゼントしてくれたものだ。
誕生日でも、何かの記念日でも、なんでもない日に、私のパートナーはプレゼントをしてくれる。多分、そのプレゼントを贈る基準は、それがあるとより私が豊かになれるもの、だけど私が色々な理由で買えていないもの。
そういう時に、贈ってくれる。このスーツケースも、その一つだ。
「え、いいの!ありがとう!」と大喜びで、ありがたくプレゼントを受け取った。誰かからプレゼントされるって、幾つになっても嬉しい。
このスーツケースを買ってもらってから、本当に色々なところを旅した。
フィンランド、カナダ、デンマーク、福岡、北海道、大分、東京、京都、青森、大阪…..
悲しい時も、辛い時も、楽しい時も、人生に迷っているときも、どんな時も共にしてくれたスーツケース。
物というのは、長年の時間を共にすると思い入れが出てくるから不思議だ。「物に感情はない」のかもしれないけど、私はなんとなく、物にも感情みたいなものがあるかもしれない、というのを信じているやつだ。
だから、このスーツケースがついに潰れた時は「ごめんね」と思った。ついに、ファスナーが潰れてしまって閉まらなくなってしまったたのだ。
おそらく荷物の入れすぎと劣化が原因だと思う。
物が壊れたら「寿命だ」と思う人もいると思うが、私はできる限り、修理を試みたいタイプだ。
早速、American Touristerに問い合わせをして、修理可能かを聞いてみる。
数日で、素早く返答をいただいた。そこにはこう書かれてあった。
修理費用の方が、新しく買うよりも高い。そして修理開始から戻しに6-12週間。約1ヶ月から2ヶ月かかる。
これを見ればほとんどの人が新しく買った方が良いじゃん、と思うはずだ。もちろん私にもその気持ちがなかったかと言われたら嘘になる。
修理代結構するなあ、しかも今出しても修理完了するのが来年….
どうしようか、と思ったけど、私は修理を依頼することにした。
大きな理由は、このスーツケースがパートナーからの贈り物である、ということとこれまで共に過ごした月日の代わりになるものはないと思ったからだった。
そう考えると、自分の身の回りのものというのは、できるだけ自分が大切に思うもので溢れるのが良いなと思った。壊れたら捨てて新しいものを買う、という行為よりも、大事なものだから修理を試みて長く使おうとすること。
なんだか人間関係にも似ている気がした。うまくいかないから手放すのではなく、どうしたらうまくいくだろうか、と試行錯誤してみること。
もちろん、修理が難しいもの、できないもの、新しく買わないといけないものも中にはあるけれど、まずは修理を試みてみる、そんな意識をいつも大切にしたい。
私の可愛い可愛いスーツケースよ。
直してもらって、早く帰っておいでね。