【本】チーム・ダイナミックスの行動科学-チーム・コミュニケーションの重要性-
私は「チームワーク」が好きです。1人で淡々とタスクやプロジェクトを進めることよりも、誰かと一緒にプロジェクトを推進させていく方が楽しいし向いているな、と思います。
チームワークは、他者と協力して成し遂げる仕事、タスクワークは、個人単独で完遂する仕事、といえます。
山口(2008)は、チームワークをこう定義しています。
チームワークの研究は様々ありますが、今回はチームワークとコミュニケーションについてまとめていきたいと思います。参考にしている本はこちらになります。
チームワークの中で「なぜコミュニケーションが重要なのか?」について考えたい方の参考になれば幸いです。
チーム・コミュニケーションの鍵は「意味共有」
チーム・コミュニケーションとは、メンバー同士が互いに情報の授受を行い、チームの態度、行動、認知を形成し変化させる相互プロセスである(Salas et al.,2015)といわれています。
コミュニケーションといっても、単にメンバー間で情報を共有したり、交換したりするだけではチームが上手く機能するとはいえず、重要なのは意味共有プロセスという、コミュニケーションを通じて前提のギャップに気づき、それを埋めることで前提の共有部分を広げていくことです。
例えばチーム内で、会議の前にお互いの近況を報告しあうチェックインをする際に、仕事にまつわる業務を中心に報告する人もいれば、仕事とは全く関係のないプライベートの話を報告する人もいます。
もしかしたら業務を中心に報告する人は「チェックインは、1日の仕事をスムーズに進めるための報告の場である」と認識していて、プライベートの話をする人は「お互いを知り合うための場である」と認識しているかも知れません。
このように、まずはそれぞれが違う前提を持っているということを認識し合い(ギャップに気づく)、なぜその前提を持っているのかの背景を聴き合ったり、対話をしながら認識を揃えていくこと(ギャップを埋め、共有部分を広げる)が意味共有プロセスです。
コミュニケーション前提が、人それぞれ異なっていて、部分的には共有されていても完全には同一ではないことを認識しておくことが重要です。
チーム・コミュニケーションがチームワークにおいて果たす3つの機能
上記ではチーム・コミュニケーションの意味共有について述べましたが、そもそもチーム・コミュニケーションはチームにおいてどういう機能を果たすのかについてまとめていきます。
チーム・コミュニケーションは、下記の3つの機能に整理できるとこの本では述べています。
この3つの機能からみてわかるように、高度なチーム・パフォーマンスを発揮する上でチーム・コミュニケーションは必要であり、とても重要です。
チーム・コミュニケーションは量ではない!?
チーム・コミュニケーションが重要であることは理解できたけど、じゃあチーム・コミュニケーション量を増やせば良いのでは?と思った方もいらっしゃると思います。(実際、私もそう思いました)
ここで面白い研究を紹介したいと思います。
マーロー(Marlow et al.,2018)のメタ分析によると、パフォーマンスと強い関連を示すのは、チーム・コミュニケーションの質的指標(メンバー間のコミュニケーションが効果的であるか否かを問うもの)であり、コミュニケーション量が多すぎる場合パフォーマンスはむしろ低下する可能性が示唆されたそうです。
つまり、ただコミュニケーション量を増幅させるのではなく、効果的な情報を精査するなどの質を高めていく必要があるということになります。
今回はチーム・コミュニケーションを取り扱いましたが、別の機会にチーム・モチベーションも取り上げたいと思います!