【本】サーベイ・フィードバック入門-データが見える化されることがゴールじゃない!-
私は現在、立教大学リーダーシップ開発コースという大学院で組織開発・人材開発の研究をしています。大学院では、経営学の学問はもちろん、実践も学んでいきます。
その実践のうちの一つがサーベイ・フィードバック。サーベイフィードバックの定義は下記です。
サーベイ・フィードバックとはなんなのか、サーベイ・フィードバックがなぜ重要なのかについて上記の本をもとに説明していきます。
サーベイ・フィードバックのステップ
サーベイ・フィードバックは、次の3つのステップを踏むといわれています。
第2フェイズの「ガチ対話」と「未来づくり」は合わせて別の言葉で、「フィードバック・ミーティング」とも呼ばれます。
1年次、実際にクライアントに介入させていただいたとき、「よし、ここでサーベイ・フィードバックが必要だ!」と思って実践したものの、簡単ではありません。
私自身、サーベイを実施し見える化された瞬間、「この数値がかなり悪いぞ!ここが課題だ!」と即座に判断してしまったのです。
でも、本当に大切なのは、そのデータを介入者が課題として捉えるのではなく(もちろんその視点も大切なのですが)現場の人に「解釈」されて、「それは大事だ」「それは自分ごとにすべきだ」と意味づけられて、「なんとかしたい!」「何かできるかもしれない!」と考えてもらうことです。
ここが②「ガチ対話」な訳ですが、サーベイフィードバックはまさに①「見える化」だけがゴールではない、と腹落ちした瞬間でした。
サーベイ・フィードバックが現在の組織に必要な「2つの理由」
では、サーベイ・フィードバックがなぜ必要なのか?中原先生はその理由を下記のように述べています。
現代社会は急速に変化しています。これまでは、右肩上がりの経済で、大量生産、大量消費、市場価値=有形資産、未来が予測できる社会でした。一方現代は、市場の縮小、イノベーション、スモールスタート、市場価値=無形資産、未来が予測できない社会になっています。
大企業に入れば将来安泰、という時代は終わり、自分の力で仕事をつくり、稼ぐ力を身につけないと生き残れない社会になりつつあります。
個人事業主や、副業、起業など働く上での選択肢もかなり広がり、かつては情報、人材、価値観ともに均質的だったものが多様化し、個人と企業がより対等な関係になっています。
加えて、1人当たりの労働時間は2020年に16年比で100時間減るなど働きやすくなったものの、仕事に熱意を持ち会社に貢献したいと考える社員の割合は6割弱と世界最下位にとどまっています。(日本経済新聞2022年5月1日)
組織で働いている人の力が存分に発揮できているとは言い難い現状が見えます。「働きがい」を高めなければ、人はどんどん離れていくことに繋がります。
このように、社会の変化によって動き続け複雑化する組織を、客観的な視点から「定点観測」し、何か問題が起きた場合に、すぐに手を打てるようにするためにもサーベイ・フィードバックは注目されています。
では、どのようなサーベイ・フィードバックが効果的なのか?具体的にはどんなことをすれば良いのか?については、ぜひ本書を読んでいただければと思います!