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モデレータ要因とは、何なのか。

昨日は、大学院の2年間の集大成をプレゼンする、口頭試問でした。最終審査の先生方に色々と質問されるのですが、とある先生の質問に、うまく答えられず、悔しい思いをしました。

どんな質問をされたかというと、こんな質問でした。

「介入施策において、モデレータ要因はどのように考えましたか?」

モ、モデレータ要因….実現したい成果に向けての既定要因は先行研究をたくさん調べたけれど、モデレータ要因まで考えきれていなかったです…と正直に答えました。でも、最終口頭試問というのは、決してゴールではなく、ここでもらうフィードバックが、次に繋がる貴重な機会です。

ということで、この悔しい気持ちを晴らそうと、今日はモデレータ要因について調べて、消化しようと思います。

参考文献:組織研究における個人差の検討 ─モデレータとしての従業員要因── 高木浩人さん、石田正浩さん

モデレータ要因とは何か?

参考にした論文を見ると、このように説明がされていました。

社会科学領域では「いつでもこうである」 とか「誰でもこうである」といった法則性を導き出せる場合の方がまれであろう。むしろ「場合による」「ケ ースバイケースである」と言った方が正確である場合が多い。そこでモデレータ(moderator;調整変数) の探索へと関心が移ることになる。「場合による」の場合を特定する変数の探索である。

p91より抜粋

「場合によるよねー。」よく聞く言葉です。モデレータ要因とは、この「場合による」の場合を特定する変数を指すらしい、ということがこの文脈からわかります。

ちなみに、モデレータとしては、2要因間のモデレータについて検討する研究と、交互作用効果のモデレータを検討する研究が存在するそう。

この論文では、従業員要因をモデレータとして位置づける近年の研究を概観し、モデレータを探索する研究の意義について述べています。とっても理解しやすいので、興味を持ってくださった方は、ぜひ読んでみてください!

著名な理論から見る

Hackman & Oldham(1975)の職務特性モデルでは、技能多様性、タスクアイデンティティ、タスク有意味性といった職務特性がモチベーションを高めるとされますが、両者の関連には従業員の成長欲求がモデレータとして作用しているそうです。

パス・ゴールモデル(House, 1971)では、リーダー行動と部下の満足度との関連に対して、課題の構造度がモデレータとして働くそうです。

職務特性モデルがモデレータとして想定しているのは、成長欲求という従業員側の要因であり、パス・ゴールモデルがモデレータとして想定しているのは、課題の構造度という従業員以外の状況要因であることがわかります。

まとめ

モデレーターとは、2つの変数(例: 組織の施策と従業員の成果)の間の関係を調整または変化させる要因のことと言えます。

例えば、「自己効力感が高い従業員は、研修の成果をより効果的に吸収する」といったケースなど。

そして、モデレータとして従業員側の要因をとりあげる目的として、個別配慮をしやすくすることだ、とこの論文では述べています。

従業員についてよく知ることで、画一的な対処ではなく、可能な範囲でそれぞれに適した状況を提供すること。そのことがおそらくは従業員個人個人の情緒的な組織コミットメント、職務満足やモチベーションの向上、ひいては企業の生産性の向上へと繋がることが期待されます。


モデレータ要因、とっても重要です。2年間学んだといってもまだわからないことや深めていけることがたくさんあります。これで終わり、と思わずに、より良い研修、場づくりができるように、引き続き探究心は持って日々を過ごそうと思います。

悔しい気持ちは、バネになるんですよね。
先生、本当にありがとうございました!







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