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苦手な上司・部下を理解したくない心情を突破するには?

誰にでも反りが合わない上司・部下がいるものです。組織にいる以上そういった人々とうまく調和しながら仕事を進める必要があることは頭で分かっているつもりでも、現実はそうはいかないというのが本音ではないでしょうか?
今日はその心情を突破するワークについてご紹介します。


1.ナラティブとは何か?

ナラティブ(narrative)とは「物語」「語り」「話術」という意味で、ビジネスシーンではナラティブアプローチという言葉で使われています。ナラティブアプローチとは、1990年代に臨床心理学の領域から生まれた支援療法で、カウンセリング時に、患者自身に自分の物語を語らせ、問題の原因となっている否定的な思い込みを発見し、肯定的な内容に書き換えることで、抱えている問題を解決しようとするアプローチのことです。

HR大学HPから引用

前述したとおり、ナラティブとは「物語」であり、誰もが物事や人との関係性においてナラティブを持っています。そのナラティブに焦点を当てることで、苦手な上司・部下との関係性をネガティブなものからポジティブなものへと変換していくことをナラティブアプローチと言います。

2.相手の島に渡るワークを通じて他者理解を深める

では、このナラティブアプローチの一環として研修場面で実施しているワークをご紹介します。

ここでは、反りが合わない上司・部下を1名選定します。その上司・部下が大切にしている価値観・信念に想いを馳せることをここてでは、「相手の島に渡る」と表現しています。

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では、実際のワークの手順をご紹介します。まず、2人1組のペアになります。1人は相談者=クライアント、質問者はコーチです。

ワークの進め方

質問は以下の内容を順番に聞いていきます。

<質問例1>
1.あなたが思い浮かべている相手は誰ですか?→○○さん:次の質問例2で使用
2.あなたはその相手といるとどんな気持ちになりますか?
3.あなたがその方との関係性をより良くしたいのはなぜですか?
4.その方との関係性に課題があると感じるのは何がそうさせているのでしょうか? (うまくいかない原因は何がありますか?)

質問への回答が一通り終わったところで、クライアントがコーチ側に移動し、並んで座ります。これは座る場所を変えることで、目の前にある”相手の島”に渡ることを体感としてもイメージしやすくするために行います。

そして、再び以下の質問をコーチがクライアントに投げかけます。
クライアントは関係性を良くしたい上司・部下になりきって質問に答えます。

<質問例2>
1.あなたは○○さんです。あなたから”クライアント○○さん”はどのように見えていますか?
2.あなたが大切にしていることはどんなことですか?
(答えられないかもしれないですが想像してみてくださいとフォローします)
3.あなたは、”クライアント○○さん”にどのようなことを望んでいますか?また、その望みを”クライアント○○さん”は叶えてくれそうでしょうか?その理由は何故だと思いますか?

ここまででワークは終了します。ちょっと中途半端に感じる程度で終了します。

文章にすると一見複雑なワークに感じられますが、やってみると非常に簡単なワークです。

これまで苦手だと感じていた上司・部下のナラティブを相手になりきって想像することで、思いもよらぬ言葉が出てくることもあります。


また、過去にこのワークに参加された方の中には、相手の立場で考えていたつもりが、本当に”つもり”で理解できていなかったことに気づいたと感想を述べてくださりました。

誰しも自分のナラティブを持っています。そのナラティブに相手の立場からアプローチすることで、これまで見えていなかった相手の価値観・信念に気が付くことができます。

人間関係をより良くしたいと思っている方に是非実践していただきたいワークのご紹介でした。





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