解読 電子リコーダー エレフェ Elefue 3:運指詳細編(シンプルモード)
前書き:エレフェ Elefueとは
TAHORNG(タホーン)による電子リコーダー。筆者が感じる特長は、
アコースティック発音体を持たず、イヤホン使用時は周囲への音漏れゼロ
本物のリコーダー運指、簡略化したシンプルモード、両方を実装
オクターブホールにより3段階オクターブを簡易に操作可能
トランスポーズが半音単位で±12 で指定可能、非常に低いC1から非常に高いC8(仕様書に載っていない運指を使えばG8)まで発音可能
詳しくは文末の参考サイトから参考サイトから
運指表の事前分解整理
オクターブホールとそれ以外の分離は、以下を参照ください。
総当たり512通りから60通りへの整理は、以下を参照ください。
詳細分析:フォークフィンガリングとオーバートーン
Cから始まり1オクターブ上のCで終わっているが、載っていない運指によってさらに高いGまで出すことができる。次節以降、これを詳細に分析する。
標準的な運指に対する替え指:フォークフィンガリング
イミテートの元としているリコーダーや木管楽器における標準的運指は、
・音高を下げていくために、口に近い側から順番に音孔を塞いでいく
・音高を上げているために、口に遠い側から順番に音孔を開けていく
となっている。
これに加える原理・法則として、フォークフィンガリング(クロスフィンガリング)が知られる。出したい音より半音上のトーンホールを開き、下流側のトーンホールをいくつか閉じて音高を下げる。
フォークフィンガリングの原理に沿って61通りの運指のうち37通りを並べ直した。
色文字:基点の音。フォークフィンガリングを使っていない。Gなら、左手薬指まで塞ぎ 右手の人差指以下は開放。
色塗り:フォークフィンガリングの音、基点の音から下げたもの。
例えば、Gの運指に対してなら、右人差指は開放 & さらにしたの中指・薬指・小指を塞ぎ、G♭/F# を得る。同様に、
・E → E♭/D#
・A → A♭/G# → G
・B♮ → B♭ → A → A♭/G#
・高D♭/C# → 高C → B♮
(※ Cは基点音ではなくフォークフィンガリングであることがポイント)
を得ることができる。
なお、Fについては、非フォークフィンガリング・フォークフィンガリングの両方があるように見えるが、これは本物リコーダーのジャーマン式・バロック式の折衷と思われるので、今回の扱いは非フォークフィンガリングとする。
また、高D♭/C# の運指に、分類が困難であった。
標準的な運指に対する替え指:オーバートーン
イミテートの元としているリコーダーや木管楽器における標準的運指に加える別の原理・法則には、オーバートーン(高次倍音)がある。通常はオクターブホール(エレフェや本物リコーダーでは左手親指で操作)で操作するが、他にも左手人差指・中指によって音高をオクターブ上げる事ができる。
この領域は取扱説明書に記載されていない。しかし、右手の運指は1オクターブ下とほぼ同じである。
オーバートーンの原理に沿った運指を示す。高C~高Gをオクターブホール操作無く得られる。
詳細分析:トリル、スムーズな運指
トリルや素早いパッセージでは、動かす指の数が少なくクロスフィンガリングとならないものが望ましい。しかし、本物の木管楽器に大量に装備されているトリルキーはエレフェ Elefueには備わっていない。
例えば、B♮⇔高♭/C#。
この問題を、取扱説明書には載っていなく、今回分析して発見した運指で解決していく。
半音トリル:非フォークフィンガリング基点(上側)
半音トリル:フォークフィンガリング基点(上側)
D♭/C# 基点:不可
E♭/D# 基点:不可
全音トリル:非フォークフィンガリング基点(上側)
全音トリル:フォークフィンガリング基点(上側)
高E♭/D# 基点:不可(オクターブ下は可)
高F 基点:不可(オクターブ下は可)
オクターブホール操作をなくす
指の移動数が少ない運指は、単なるトリル以外にも用途がある。例えば、レドシドシドレドミドシ といった音は、オクターブホール操作が煩雑であるため、オクターブホールを使わない運指をさらに深堀りする。
上側の音:高D♭/C#
上側の音:高D
上側の音:高E♭/D#
高E♭/D# → 高D♭/C# :無し
上側の音:高E
楽器の保持のための運指
右手の人差指・中指・薬指・小指の全て(多く)がオープンとなると、楽器の位置が支えられなくなってしまう。すなわち、右手親指によって楽器が上に放り上がってしまう。特に非フォークフィンガリングで顕著である。
抑止には、楽器の口から遠く すなわち小指もしくは薬指で楽器を上から押さえつけるのが有効である(最終的には左小指置きを自作したいものだ)。
押しても押さなくても出てくる音が変わらないなら、その箇所を押せば良い。以下具体的に示す。
非フォーク→フォーク
Fでの事例を示す。標準運指では右中指・薬指・小指が浮いてるが、薬指小指を押さえても(押さえなくても)音高はFのまま変わらない。しかも高い側4つの運針は変わらない。
Gの場合は、右小指がDC(don't care)のため、ここを押せば良い。
では、右手の小指以外を押すとどうなるか。人差指と中指を押すと音高が変わってしまうが、薬指であれば「前継続」で作用するため、Gを鳴らした後で薬指を下ろしてもタンギングをしなければ音高Gは維持される。
Aの場合は、右中指が使える。
前継続 を使う場合は、薬指・小指 どちらでも可能。
B♮の場合は 右薬指が使える。
前継続 を使う場合は、薬指・小指 どちらでも可能。
フォーク→フォーク
B♭の場合は、中指と(もしくは)薬指を押す。エレフェ右小指が遠いので押そうとしないほうが良いと思う。
高Cの場合は、右手4つの音孔全てを塞ぐ。
前継続 を使う場合は、薬指・小指 どちらでも可能。
高D♭/C#の場合、押す指の数が多いだけでなく、小指を押さねばならず操作性が悪い。
前継続を使う場合は、人差指・中指・薬指 どれでも可能(小指不要)
小指でも可能。
以上
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参考サイト
https://www.soundhouse.co.jp/contents/staff-blog/index?post=3281