誤った認識のブランディング

ふらっと立ち寄った本屋で、妙に気になる本だった。ただ、自分に直接関係ないと思い、何度も買わずに軽くめくる程度で素通りした。Kindle版もなかったし(当初は)。でも、何度も何度も同じことを繰り返して気がついた、これだけ気になれば読みたいのだと(笑)。

読んだら涙が出そうなほどしっくり来た。これは自分が携わってきた仕事の中で、完全に抜け落ちている考え。また、ブランディングについて学んでなかったことをとてつもなく痛感し、軽く考えて口にしていたことを知って愕然とした。正直にまとめ、日本のビジネスパーソンがビジネスにブランディングを取り込めるようになる一助になればと思う。

ブランディングに対する誤った認識

正直に伝えると、大変恥ずかしながらブランディングをこう認識していた。

ブランディング ≒ 認知

何をどうしてこのように認識したか、まったく覚えていないが、こう口にして指摘されることがなかった(大変残念!)。ブランディング施策では、下記のような評価をイメージしていた。

どれだけ知ってもらえたか、impやclickで代替して測る

だからなのか、ブランディング施策の提案はあまり発注を受けることはなかった(笑)。『こいつブランディングわかってないなー』と思われていたか。。。中には『売れなきゃ意味がない、売りにつながっているかわからない指標を測ってどうする。売りにつながるかわからないブランディングなんて必要ない』と思う人もいたかもしれない。

ブランディングの底知れないパワー

詳しくはこの本を読んでくださいとなってしまうのだが、ブランディングに底知れないパワーを感じる、響いたことをまとめる。

ブランディングの中心要素であるブランドを端的にまとめた言葉は、

サービス(自社/あなた)やプロダクトなどの強み、個性=「らしさ」

ブランディングのプロセスは、

1.強み、個性=「らしさ」を引き出し、本質を見極める
2.本質をわかりやすく概念化
3.顧客が直感的にわかるかたちに体現する

マーケティングの世界にいた私が理解しやすかったマーケティングとブランディングの違いは、

マーケティング:
相手(顧客)に、「らしさ」を自ら直接的に(積極的に)伝える。

ブランディング:
相手(顧客)が、「らしさ」を想像できるよう整備する。
(自らを磨き、その姿勢を示すようなイメージ)

では、「らしさ」とは何か、誰もがすんなりと口に出せるだろうか。やはり簡単ではないと思う。そのためにまとめられた下記を用いる。

・14のブランドDNA
・7のビジュアル・アイデンティティ(VI)
・ブランドシステム=ブランドDNAとVI、北極星として一貫性を持つ標
・ブランドシステムをコアにした制作物(サイト、販促物、SNSなど)
・良いブランドとしての13条件

これらを一つ一つ丁寧に整理していくと、間違いなくサービスやプロダクト、関わる人たちに少なからず変化が見られるはずである。

ブランディングのプロセスの中で面白いと感じたことの一つは、インナーブランディング。顧客に対するブランディングだけでなく、中で関わる人にもブランディングが必要。実はインナーブランディングの方が難しいし、その方が優先なのかもしれないと思う。

マーケティングは力を入れているけどブランディングは・・・

クライアントワークで、Nと%を改善するためにどうしたら良いか、リサーチしていろんなマーケティング手法を議論する日々。そこに疑問を感じるようになっていったが、そのときは何も出せる手がなかった。対峙するクライアントの担当者は、上から求められる成果、それが出ないときに下がる予算や自分の評価。そこに、サービスやプロダクトの根本的な価値やあるべき姿論をぶつけたとしても(担当者からは出てこないし)、その先につながる道を見いだせず、そんなことを考える時間があれば数値を改善する手を考えた方がマシだとなる。

マーケティングから一歩足を引いた今、自分も関わる相手にもブランディングに力を入れるべきと強く言える。もちろん、まるっとブランディングしましょうというわけではなく、しっかりと要素を分解し、すべてを一度にではなく重要なものから一つ一つ丁寧に紐解いていく。そこに手を引いて導けるパートナーになりたい。

最後に余談だが、ブランディングはマーケティングの一つの要素だと思い込んでいた。いろいろな考えはあるだろうが、私は対となる両輪のものだと今は考えている。そのため、ブランディングが大事でマーケティングは後回しだと言うつもりはない。

以上、拙い表現が多く申し訳ないが、ブランディングの大切さにつながることと、この本に目を通すきっかけになればと。

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