IBSA柔道グランプリ・アンタルヤ
大会から2ヶ月も経ち、なんなら次の試合も終わって今更感は強いですが、一応きっちり書いておかねばと気持ちを持ち直したので、簡単に4月1日のグランプリ・アンタルヤを振り返っておこうと思います。
今回の大会の開催地はトルコのアンタルヤ。乗継でイスタンブールには幾度となく訪れたことがありますし、数度入国したこともあるのですが、トルコ国内での試合は初めて。
アンタルヤはリゾート地として有名で、今回宿泊したホテルもリゾートホテル。ホテルの中だけで生活が完結するだけでなく、海、プール、スパ、ボウリング、ダーツといったレジャーやレストラン、バー、クラブなどの食事、お酒を楽しむ施設も多数揃っていました。
そのほとんどは楽しむ間も余裕もなかったのは残念です。
試合の結果としては3位。
初めて第1シードをもらってややテンションが上がっていたわけですが、結果としては納得いかない形で終わりました。
今回の最も大きな敗因としては、減量の失敗。
2月のドイツの大会以降体脂肪率が上がったまま落とし切ることができず、直前では食事量を大幅に減らしたり、普段以上に動いたりなどした影響で下半身を中心にエネルギー不足となり、疲労が抜けず体が十分に動かない状態となってしまいました。
その要因の一つとして連戦による疲れもあるのか、私に限らず他国の選手たちも皆、疲れが見えていました。
同じ階級では特にウズベキスタンのサイドフは計量はなんとかクリアしたものの、試合は欠場してしまいました。また、ジョージアのカルダニもいつも以上にバテているように見えました。
一方で、ここ最近奮わなかった、ウズベキスタンのクランバエフやスペインのイバニェス、ドイツのニコライさんなどは調子が良いようで、動きも良く結果を残していました。
特にクランバエフは気合の入り方が異様で、それまでの大会とは違った雰囲気を纏っていました。
この調子の悪い感じはキムとクランバエフだな、などと抽選前に考えていたのですが、マジで的中。
この予感は外れてほしかった…
ということで、初戦の2回戦は韓国のキム選手。これまでの対戦成績は2勝0敗ですが苦手な相手。1年ぶりの対戦です。
ここ1年ほどで彼は格段にレベルアップしており、誰に対しても投げられない。腰の重さ、粘り強さ、そういったところが非常に強い武器となってきています。私としては投げられるイメージはないので普通にやれば負けないだろう相手ですが、結果がどうであれ、戦うのに大量のエネルギーを必要とする相手です。
案の定、なかなか効果的な技を撃てず、試合時間がズルズルと伸びてしまいます。肘の調子がイマイチだったこともあり、背負投を躊躇ってしまったのも決めきれなかった要因です。
2分を過ぎたあたりで耐えきれなくなってかなり強引な背負投、技あり。そのまま抑え込んで合わせて一本。
どうにもスッキリしない勝ち方になってしまいました。
次戦は準決勝。相手はクランバエフ。これまでの対戦成績は1勝1敗。前回は10月のアジアパラで背負投で一本勝ちしていますが、正直言って一番厄介な相手です。
今回は徹底的に背負を警戒しているようで、釣手はやや奥を握り、首を回らないようにされてしまいました。そしてところどころで釣手を逆の肩越しに背中に持ち替えて巻込技。
こちらもやや強引に背負で対抗しますが、首を止められていること、足が動かないことから体が十分に回らず、また潰れたところから追いかけることもできず、全く効果がありませんでした。
互いに体力的にかなりキツくなってきた残り50秒ごろ。
開始と同時にクランバエフが釣手を切り逆の肩越しに背中をとろうとしてきたため、こちらが抱えて受けようとしたところに小内刈り。
そのまま綺麗に後ろに倒れてしまいました。すぐに背中を跳ね上げたのでその場は技ありの判定でしたが、直後、一本に訂正されました。
東京、ハイデルベルクと勝ちが続いていただけに、久々の敗戦、非常に悔しかったです。また、クランバエフには最初負けたところからは次は勝った相手。再び負けたというのはこちら以上に相手が努力した結果です。悔しく、そして情けなく感じました。
体力もかなり削られており、アップ会場に戻るなりそのまま横になってしまうと、その後1時間ほどそのまま動けませんでした。その日早くに起きて準備したためにやや睡眠不足だったこともあり、少し眠ってしまいました。
ようやく体を起こした時には、その一帯は汗で水たまりになってしまっており、道着もぐっしょり。慌てて着替えて白の柔道着を乾かそうと荷物の上に広げて干しました。
この時、かなり気落ちしていましたが、次を勝って表彰台には上がるということは無意識ながら頭から抜け落ちることはなかったようです。
3位決定戦の相手はジョージアのカルダニ。対戦成績は1勝2敗。前回はグランプリ東京で一本勝ちしていますが、私は大の苦手、天敵です。
サイドフ欠場とわかった時、決勝まで上がってくるなぁ、イヤだなぁなどと考えていましたが、彼は今回まさかの初戦負け。よし、これでカルダニには当たるまい、と思っていたのに、こちらが準決勝で負け、彼も敗者復活戦を勝ち上がり3位決定戦まで進んできました。
この体力が削られている状態では、正直一番当たりたくない相手ですが、向こうも今回は不調なようでかなりバテているようでした。
実際試合の際にはすごく嫌そうな雰囲気が出ていたので、スタイルの相性的に見ても、おそらく今の私はカルダニにとってもかなり嫌な相手なのだろうと思います。
試合展開はかなり酷いもので、互いに限界なのか動いては休み、動いては休みの繰り返し。こちらの方がまだ少し元気が残っていたのか、基本的に向こうから大きな動きを仕掛けてくることはなく、私が動き出したら対応して、そうでなければ小さく足を出してくる、といった展開。
私の背負が潰れて、2人横に並んで四つ這いになったような状況にも、どちらも寝技に行くでもなく立ち上がるでもない、微動だにしない2,3秒が発生するなど、疲労感あふれる試合の流れ。
2分過ぎ、互いに何もしない様子見合いの状態から、私が大内刈りを仕掛けました。しかし簡単にかわされ潰れます。そこからぶら下がるようにして押しながら立ち上がり、場外際カルダニが横に体を捌いたところに追いかけながら横から背負投。右から持ち上げて左横に落とすという訳のわからない投げ方をしましたが、投げる前に場外で待てのコール。カルダニは待てのコールに力を抜いていたようでしたが、私は技に入る動作中であり止めるのも一苦労であるから、待てのコールは聞こえつつもそのまま投げてしまいました。
休みつつ15秒ほどかけて立ち上がったカルダニと中央で組み直し。しかしここでビデオチェックが入ったようで、なぜか組んだ状態のまま待たされます。お互い大きく息をしながら30秒。審判が何か言ったのでそちらを見るも、何もリアクションはなく、ビデオチェックも続いているようなので、私は左右の組手を放してカルダニの体にポンと触れることで組み方を解こうと提案、彼もすんなり応じてくれました。動いてなくとも組んでる状態でいるのはシンドイ…
そこからさらに1分弱でビデオチェックがようやく終わり、先ほどの背負投が一本の判定。技の入り初めのタイミングではギリギリ場内に足が残っていたようです。
いつものカルダニなら、手を大きく広げて抗議の意思を示すところですが、疲れているからか、手を下ろしたまま掌を気持ち上に向けて力無く「マテェ…」と吐き出すのみでした。
ということでギリギリ滑り込みの3位入賞。
全くもって不足な内容、結果で反省点ばかりではありますが、調子悪いなりになんとかできたことは良かったですし、変わりゆく体の状態において半年前の段階で減量方法の重要性を強く再認識する機会になったのは良かったように思います。
技術的な課題やメンタル的な弱さもいくつか残っていますが、今回得た最も大きな課題としては、試合前の体づくり。
筋力が上がっても、体脂肪率を気にしていなければ減量は苦しいし動きも悪い。また、調子のピークをしっかり試合に合わせるには、疲労に対する考え方ももっと徹底して研究しておく必要があると感じました。
この課題を受けてのジョージアでの最後のグランプリ。
非常に良い状態で臨むことができました。
こちらの振り返りは近日中に投稿しようと思っています。
引き続きがんばります!!
一部の写真はIJFから引用しています。
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