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家の前に全部置いてくる 第37回月刊中山祐次郎

こんにちは、中山祐次郎です。

外科医をやっていると、勤務時間は普通の人たちより長いことが多い。僕は、「行ってきます」と家を出るのが朝の6時代、「ただいまー」の帰宅は19時から20時くらいだ。

そんな日々を送っているわけだが、帰宅するとき、必ず毎日気をつけていることがある。それは、

家の前に、愚痴を全部置いてくる

ということ。

家庭に仕事を持ち込まない、なんてカッコつけるつもりではない。しかし、僕の仕事の話は、あまりに重すぎる。医療関係でない妻にそんな話をしても、とうてい受け止めきれないだろう。僕はほぼ毎日、「こんなひどいことがあっていいのか」と思うような出来事に遭遇している。

医者としての話でなくても、やっぱり僕は「家のドアの前に全部置いてくる」ようにしている。上司にあれこれ言われた、だれだれに無視された、あいつが生意気だ、そんな愚痴は全部ドアの前に置くようにしている。家には一つも持ち込まない。

いつからそうしているのか、わからない。おそらくここ一年位ではないかと思う。でも、なぜそうしているのかはなんとなく分かる。

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