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春は別れの季節 第78回 月刊中山祐次郎

物心ついてからこれまで、30回くらい春を過ごしてきた。

寒く暗い冬から、日に日に気温が上がり明るくなっていく。春はそういうイメージがついている。

でも、僕は「春は別れの季節だ」といつも思っている。日本では3月までが1年だから、卒業シーズンでもあるしね。


忘れられない別れが、これまでの人生にいくつもある。


高校を出て晴れやかに大学に行くバンドメンバーと、浪人する僕。1浪目の終わりに全部落ちて2浪が決まった時、「お前は2浪できて羨ましいよ、俺は医者を諦めた」と言った友人。2浪が終わり、別れを告げた故郷・横浜。六年間の医学生生活を過ごした南国・鹿児島の友人たち。9年働いた東京・都立駒込病院のスタッフ。たった2ヶ月だったけど、臨時院長をさせてもらった高野病院のみんな。

いったい何人もの人と別れてきたんだろう。

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