当直での不思議な経験 第46回 月刊中山祐次郎

当直という業務がある。勤務医の多くはこれをする。

ある日朝から夜まで働く。翌日も朝から晩まで働く。

当直は、このあいだをずっと業務時間にすると言うクレイジーなシステムだ。だいたい連続36時間勤務になる。

しかもその翌日は休みではない。朝から普通に勤務だ。看護師さんも夜勤が辛いですねとよく言われるが、夜から働いて次の日の朝まで。その日は休みで、通常はその翌日も休みだ。我々からすると、信じられないくらい長い休みがある。

さらに当直では、いつもと違う仕事をする。救急医の仕事をするのだ。これがまたなかなかだ。普段の仕事は、外科医のわたしだと週に一日は外来診察で、がんの定期通院の人やヘルニアや痔の人なんかを診察する。あとの日は手術だ。

しかし、救急医の仕事は違う。基本的にはすべて、はじめましての患者さんだ。その患者さんは、実にさまざまな訴えの人がいる。

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