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神は細部にしか宿らない 第39回月刊中山祐次郎
こんにちは、中山祐次郎です。
先日(4/3)、私の小説「逃げるな新人外科医」が世に出た。考えうる最低のタイミングだ。人々は街に出ず、まして書店などにはいかない。そんなときに、この本は出た。
「次は文庫で行こう。いいよな?」
出版元の幻冬舎社長、見城さんはそう言った。もちろんです、と答えた。文庫なら、800円を切る値段なら、単行本で買うのを躊躇していた方々も買ってもらえる。実はけっこう多かったのだ、「読みたいが1300円は出せないので、図書館で順番待ちしています」というお便りが。そういう方々にも手にとって貰いやすい値段であれば、僕としてはこんなに嬉しいことはない。
この小説は2019年2月に出した処女作「泣くな研修医」の続編として書かれたものだ。執筆は、去年の4月から7月の間だったと思う。しかしどういうわけか執筆の記憶がない。僕は異常に記憶力が悪い方だが、それにしてもひどい。いつどこで書いたか覚えていない。
そう思い、スマホの「さいすけ」というカレンダーアプリを開いた。5月、6月、とにかく阿呆のように出張やら会食やらでカレンダーが埋め尽くされている。小説を書くときには、カレンダーに「小説執筆」と予定を書き込み、ほかの予定を入れないようにしているのだが、5月に1日、6月に1日、7月に1日しかその予定はない。8月10日には「小説を小木田さん(編集者さん)へ」とあるので、ここで初稿を出したのだろう。
ということは、おそらくこれは日帰りの愛知講演の往復の新幹線とか、福島空港から札幌へ行った時の移動中なんかに執筆したことになる。あとは一度だけ、2泊3日で自宅からすぐ近くの磐梯熱海温泉というところの温泉宿に泊まって書いた。そのときにアヒルに出会い、あまりの愛くるしさに小説に登場してもらったのだ。しかしこれは確か9月のこと。
となると、やっぱり細切れ時間に執筆をしたことになる。そして郡山ビューホテルアネックスに小木田さんが来たのが9月だから、その前には書き上げていたのだろう。
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