見出し画像

いつまでレースに出続けるのか問題 第65回 月刊中山祐次郎

先日のこと。

日曜日の午前中、私はカフェでベビーを抱っこしながら週刊文春を読んでいた。週刊文春は好きなのである。日本で一番売れている週刊誌だからということもあるが、なにより林真理子さんのエッセイ「夜更けのなわとび」とサザンオールスターズの桑田佳祐さんのエッセイを読みたくて、読むのだ。もちろんあの、「有名人を尾行し盗撮してそれを商売にする」のは人道的にいかがなものかと思うが、まあそれは人々に求められているのだろうし、週刊文春がやらなくても他の雑誌がやるのだろうからあまり深くは考えていない。

ともかくページをめくり、林真理子さんのエッセイを探す。すると、写真のページでなんと林真理子さんが映っているではないか。えっまさか林さんがスキャンダル?ということもあるまいし、よく読むと林真理子さんのエッセイ連載が世界最長連載としてギネスに登録されたとのことだった。なんでも37年も連載を続けておられるらしい。一度も休まず、だ。凄すぎる。

そうしていつものエッセイを拝読し、桑田佳祐さんのぶっちゃけトークを読んだ。林さんのエッセイに「ユーチューブを始めた」とあったのが気になり、スマホでさっそく見てみる。ベビーもなんだか楽しそうである。

するとその番組では、林さんのギネス授賞とともに菊池寛賞、そしてこれまで林さんが授賞した賞の数々が紹介されていた。たくさんの文学賞や文化についての賞をもらっている。アシスタントの女性が「すごいですね」というと林さんはちっとも嬉しくなさそうに、

「賞っていっぱいあるのよ、直木賞とってからがまた長いんだから」

というようなことをおっしゃって、いくつかの文学賞の名前を挙げた。柴田錬三郎賞、中央公論文学賞、吉川英治文学賞、菊池寛賞、などなど。

最後になりアシスタントの女性が「あとはどんな賞でしょうか?」と尋ねると、あと残ってるのは…と言って文化勲章、ノーベル文学賞の2つを挙げた。

それを聞いて、なんとなく、なんとなくゾッとしたのだった。

ここから先は

1,214字

医師・作家の中山祐次郎公式ファンクラブです。限定公開エッセイやコラムに加え、各種イベントなど先行して…

(ファンの方向け)スタンダードプラン

¥500 / 月
初月無料 人数制限あり

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?