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『友よ~この先もずっと.../ケツメイシ』の楽曲分析|“E7”にグッとくるのはなぜ?
第1回の楽曲分析は『友よ~この先もずっと.../ケツメイシ』。
いつ観ても最高なMVですが、この曲にグッと来るのはなぜなのか?
作曲練習に生かすためにも自分なりに分析していきましょう。
※ココで書いているキーやコード、専門用語の使い方は間違ってる可能性もあるのでご了承を。。。
関連サイト
映画クレヨンしんちゃん歴代主題歌ランキング~オラのTOP10~を考えよう! - ゆーじの自由時間 (yujiyu-time.com)
『キー:C』は一番素直で分かりやすい調
まず先にこの曲のキー(調性)ですが『Cメジャー』で良いかと。
『キー:C』は「ドレミファソラシド」の白鍵だけで演奏できて、分析初心者にはありがたいですね。
特徴としては一番「素直な」キーで、『かえるのうた』とか『きらきら星』とか幼稚園児にもおなじみ。
『クレヨンしんちゃん』という幼稚園児が主人公のアニメの映画主題歌ということも意識したのかなと。
ちなみに、ケツメイシが歌うしんちゃんのアニメOP『スーパースター』も『キー:C』でした。
意図しているのかは分かりませんが、タイアップを意識したキー選択なのかもしれませんね。
では、楽曲分析をしたいと思いますが、一番グッとくる部分にフォーカスしてやっていきましょう。
“辛い時は何でも話してよ”に感情が揺さぶられる
私はサビの【辛い時は何でも話してよ】の部分に一番グッと来ます。
なので、この箇所を中心に分析していきますね。
この部分のコード進行はこんな感じ。
コードネーム : F -G -Em -Am-F -E7 -Am -Gm7 -C
ディグリーネーム: Ⅳ-Ⅴ-Ⅲ-Ⅵ-Ⅳ-Ⅲ7-Ⅵ-Ⅴm7-Ⅰ
歌詞を当てはめると…
(F)何十年(G)先も君を(Em)友達って(Am)思ってる(F)辛い時は(E7)何でも(Am)話してよ(Gm7)(C)
前半の『Ⅳ-Ⅴ-Ⅲ-Ⅵ』というコード進行はいわゆる王道進行と呼ばれるもの。
王道進行は『Ⅰ』がないことで解決しない感じもあってずっと続いていく雰囲気、それにどこか切なげな雰囲気もありますね。
なので「王道進行だからグッとくる」で終わらせてもいいのですが、もう少し踏み込んで見てみると引っかかるのは“E7”というコード。
この“E7”が出てくる「な“ん”でも~」ってところに私は最大級にグッとくる。
でも、『キー:C』のダイアトニックコードに“E7”なんて出てこない。なのにコードに採用されている。
とりあえず「何でコイツが急に出てきたのか?」という理由を見つける必要があるでしょう。
いろいろ調べてみたら、コレはいわゆる『ドミナントモーション』ってヤツみたいですね。
ドミナントモーションはより強い解決感を感じる
ドミナントモーションは『Ⅴ7からⅠ・Ⅰmコードに解決するコード進行のこと』と言えば良いのでしょうか。
解決感のあるサウンドがして、不安定から安定に向かうのが心地よいですね。
じゃあ、ここで出てくる“E7”はどこから来たのかというと『キー:A』のⅤ7のことでしょう。
『キー:A』は『キー:C』の平行調の同主調。
『キー:C』のままG⇒Amに進んでも解決感は出るけれど、『キー:A』のE7⇒Amにした方がトライトーンを含むからより強い解決感が出る(…であってるのか?笑)
ぐだぐた書いたけど、要するに「キー:Cのセカンダリードミナント(借用ドミナント)で“E7”が出てきた」でいいのかなと。
続いてメロディにも注目してみましょう。
メロディから伝わるエモーショナルと力強さ
「なんでも~」の“ん”の部分に特にグッとくるけれど、これはコードだけじゃなくメロディも関係しているかなと。
この部分のメロディ“E”に対して、“ソ”の音が当たってる。
つまり、コードに対して3rdの音が当たっている。
3rdの音はカラーを決める音だからすごく感情的な印象。それでいて、「“な”んでも」“な”の部分は“ド”の音が当たっていて、“な⇒ん”が“ド⇒ソ”で5度の跳躍をしてる。
5度の跳躍って、力強さというかダイナミックな感じがある。
つまり、この部分はコードに対するメロディで考えるとエモーショナルだし、メロディラインで見ると力強さもあるということかなと。
もっと言えば、そこに【辛い時は何でも話してよ】っていう歌詞を当ててる。
言葉の意味はもちろん理解できるし、「そりゃ言葉に力も感情も入るよな」と。
イメージ的には「なぁんーでも」って感じ?
文字だと伝わらないけどくみ取って欲しい。笑
このフレーズの価値の高さみたいなものは言葉の意味だけでも理解していたつもりだけど、音楽的にも説得力のあるメロディだったんだなと理解しました。
ちなみに、後半の【これだけはずっと言える】も同じコード進行で、“ずっ”の部分は“E”に対して“シ”の音(5th)が当たってる。
5thは1stのようにまっすぐな感じはあるけれど、もっと大人なイメージがするって言えばいいのかな?
だから、この“ずっと”の部分に「永遠さ」や「遠い未来まで」みたいなものを何となく感じるし、音が下がってることで重みがあるというか…地に足がついていく感じ?
未来のことだけど確信めいた気持ちになるって言えばいいのかな?
上手く言葉にできないけれど、そんな感覚にさせてくれる。
「これが音楽の力なんだな」というのをすごく感じました。
ここで終わっても良いですが、ついでなので“Gm7”についても考えてみましょうか。
“Gm7”はモーダルインターチェンジってヤツ!…であってる?
“E7”と同じように“Gm7”も『キー:C』のダイアトニックコードではない。
じゃあどこから出てきたのか?
これは「Cmスケールから借りてきた・交換した」と考えられるのか妥当なのかなと。
いわゆる『モーダル・インターチェンジ』ってヤツですね!(自分でもよく分かってないです!笑)
まぁ『キー:Cm』のV7はGm7だから、ココから借りてきたという説明はつくし、Am-Gm7に進行したことで次のCへの解決感により深みが出たのかなと。
Gm7は一時的な転調が起きたというか、味付けしたみたいなことなのでしょう。
そこに歌詞を入れないことで、気持ちを落ち着けたり、いろいろ想いを巡らせたり、歌詞をつけないことにも意味があったのかなと感じますね。
これから作曲練習でコード進行を考える上で、試してみたくなりました。
いつでも引き出せるように、頭の中に入れておきます。
ということで、ここまで分析した結果を最後にまとめておきましょう。
まとめ
『友よ~この先もずっと.../ケツメイシ』の楽曲分析結果
王道進行で切ない方向性を示している
ドミナントモーションでより強く不安定さを解消
コードに対するメロディでエモーショナルに、メロディラインで力強さを表現
今までは音楽の知識がなくて歌詞の力しか感じられなかったけれど、楽曲のパワーが合わさると「説得力が違うんだな」というのを強く感じましたね。
しかも、それは言葉では表現できない部分を表現するのに大事で、音楽の持つ力はココに詰まってるとも感じた。
『言葉にできない想い』ってとてつもないパワーがあるからね。
自分が「将来どんな曲を作りたいか?」はまだ全く浮かんでないけれど、もし歌詞のある曲を作るのなら曲と歌詞の親和性を意識して作りたいなと思いました。
可能ならこんな分析なんてしなくても感覚で曲が作れたらいいけれど、出来ないんだからしょうがないよね。
もともと感覚派というよりも理論派というか…感覚を言語化して生きてきたから、音楽という感覚的なものだってロジカルにアプローチして、自分の想いを形にしていきたいなと。
間違った解釈をしてるところも多々あるだろうけど、間違ってたら覚え直せばいいので、とりあえずこんな感じで気になった曲の楽曲分析をしていきましょう^^
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