<ラグビー>2024年シーズン(8月第三週)
(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)
〇 『カラテキッド(日本公開名『ベスト・キッド』)』の1と2を見た。1で小さかった主人公の少年は、2では大学へ進学する青年になっていた。師匠役のパット森田の身長を越している。また2は、沖縄が舞台になるのだが、嘉手納基地と称している背景と1980年代の沖縄の風景(撮影したのはフィリピンとロスアンゼルスのリトルトーキョーらしいが)が興味深かった。しかし、アメリカ西部を舞台にした1の方が、宮城(miyagi)という名前を、アメリカ英語式に「ミヤジ」と発音する人が多く、主人公や師匠が「ミヤギ」と訂正するなど、アメリカに住む日系人の複雑さを笑いにしていて、そこがむしろ面白かったが、2では単純な自然破壊の経済優先対古き良き沖縄との対決という、チープな構図になっているのが残念だった。それでもヒットして、さらに続編が作られたのだが、まあ、アメリカ人的には面白いのだろう。
〇 小学校の体育の授業を、保育園の先生が、二人一組で手をつないで散歩させている園児たちに見せていた。たぶん「みんなも大きくなったら、小学校であんなふうに体操をするのですよ」とでも教えているのだろう。でも、私のような年寄りを見て、「みんなもあと60年くらいしたら、あんなふうになっちゃんですよ」なんて言うことは、さすがにないだろうが。
1.ザ・ラグビーチャンピオンシップ第二週結果
オーストラリア12-30南アフリカ
南アフリカは、2027年RWCへ向けた世代交代の好機として、先発10人を入れ替えた。若手SOサッシャ・ファインブルグムゴメズルとNO.8エルリッヒ・ロウ、ベテランCTBジェッシー・クリエルとWTBチェスリン・コルベ、そしてLOのRG・スナイマンの怪我による欠場で、FLからLOに移動したピータースティフ・デュトイの5人が、先発に残った。
また、10人交代した内の2人はバックスリーとなっており、FBアフェレレ・ファッシと11番WTBマカゾレ・マピンピが先発した。SHはモルネ・ファンデルベルグが先発し、ファインブルグムゴメズルとのコンビネーションが注目された。なお、FW1列はポルトガル戦と同じ3人となっている。FW5人+BK2人のリザーブには、ベテラン勢を入れた。
オーストラリアは、WTBフィリポ・ダウグヌの怪我により、11番WTBにベテランのマリカ・コロイベテを先発させた。また、1番PRアンガス・ベルと2番HOジョシュ・ナッサーが先発に戻った。SHもローテーションして、ベテランのニック・ホワイトが先発した。リザーブ20番FLセル・ウルは初キャップとなったが、23番WTBマックス・ジョーゲンセンの初キャップは次回に持ち越しとなった。
試合は、オーストラリアが前半健闘し、3PGで9点とした一方、南アフリカを1T2
Pの11点に抑えた2点差で後半を迎えた。しかし、南アフリカFWに劣勢となり、ゴール前のモールから連続トライを取られて、あえなく連敗となってしまった。オーストラリアは、南アフリカがBチームで臨んできたのに対して、特にFW戦で劣勢となるなど手も足も出ない状態となっており、一度崩壊したチームを立て直すのが難しいことを見せている。
オールブラックス42-10アルゼンチン
オールブラックスは、先週の敗戦を受けて数人の交代をした。両WTBを入替え、14番にはウィル・ジョーダン、11番にはケイレブ・クラークが先発し、セヴ・リーズはメンバー外になり、マーク・テレアは23番のリザーブに下がった。13番CTBのアントン・リエナートブラウンが22番のリザーブに下がり、リエコ・イオアネが先発に復帰した。FWは、イーサン・デグルートの首の怪我で、1番PRにタマイティ・ウィリアムスが先発した。前キャプテンのサム・ケーンが、RWCのレッドカード以来となるリザーブ20番でのメンバー入りとなった。
アルゼンチンは、先週の快勝を踏まえて最小限のローテーションを行った。キャプテンのフリアン・モントーヤが2番HOで先発に戻り、先週大活躍したFLマルコス・クレメールが4番LOに移動し、7番FLにはファンマルティン・ゴンザレスが入った。リザーブは、FW5人+BK3人の構成にしている。
試合は、雨の中、1994年以来イーデンパークで49試合連続無敗記録を続けるオールブラックスが、先週の敗戦を払拭するべく大勝し、無配記録を50試合に伸ばした。特に1番PRタマイティ・ウィルアムスが、スクラムで貢献してアルゼンチンを圧倒した他、HOコーディ・テイラー、ツポウ・ヴァアイとサム・ダリーの両LOがラインアウトを筆頭にしたFW戦で貢献した。またキャプテン代行のNO.8アーディ・サヴェアが良いプレーを見せる一方、雨の悪条件下でも見事なランニングラグビーを発揮して、前半を35-3とリードして早々に勝負を決めた。
先週不調だったSHのTJ・ペレナラもポイント周辺でベテランらしいプレーを見せ(ウィル・ジョーダンのトライにつながるオフロードパスは芸術的!)、名誉挽回のゲームとなった。SOダミアン・マッケンジーと12番CTBジョルディ・バレットも効果的なプレーを見せた他、14番WTBウィル・ジョーダンは2トライを記録して、期待された決定力を見せつけた。しかし、後半は、16番HOアサフォ・アウムアがシンビンになった影響もあり、アルゼンチンに攻め込まれる場面が多くなったが、リザーブの選手たちが奮闘して1トライに押さえて勝利を迎えた。
スコット・ロバートソン監督としては、先週のホームでの嫌な敗戦から巻き返す結果となったが、9月の敵地での対スプリングボクス二連戦をどう乗り切るかが次の課題となる。ここで、現在絶好調で若手の育成にも成功しているスプリングボクスに連勝できれば、RWC決勝惜敗の留飲を下げることになり、またオールブラックスが真の世界王者たることを証明できるだろう。しかし、1勝1敗ではスプリングボクスの評価を高めるだけであり、また連敗した場合は、NZのメディア等からコーチ陣に対する厳しい評価が下され、様々な改革案を講じる必要が出てくることになる。まさに、今シーズンの正念場が待っている。
2.その他のニュースなど
(1)WRが、代表資格取得基準をさらに緩和
WRの規定する各国代表資格は、ラグビー協会のある国に60ヶ月(5年間)継続して居住することを条件としていたが、2024年8月1日以降、継続して居住する条件が外され、60ヶ月の途中に国外へ移動することが可能となった。その背景には、国によって入出国の記録が正確でないところがあり、その結果生じる判定の不公平さの是正を目的としている。また、60ヶ月登録(居住)の証明は、ラグビー協会(及び所属クラブ)が一義的に責任を持つことになった。なお、これが現在プレーしている選手の過去の滞在記録に遡及適応されれば、例えば、日本代表では、マイケル・リトルなどが対象になると思われる他、マリカ・コロイベテやリッチー・モウンガ等の選手が60ヶ月条件をクリアーすれば、日本代表資格を得られることになる。
また、この条件緩和で最も恩恵を受けるのは、フィジー、サモア、トンガの自国民の外国への出稼ぎが多い国、そしてティア1より下のレベルにいるラグビーを強化したい国であろう。特に、2032年RWC自国開催に向けて代表チームを強化したいアメリカは、これから南太平洋系を中心に多くの外国籍選手を、自国内クラブに加入させる動きが活発化すると思われる。
(2)2027年RWC参加チーム数拡大の概要
2027年オーストラリア開催の次期RWCの参加チーム数は、現行の20チームから24チームに拡大されるが、その概要がWRから発表された。
2023年RWCで各プールの3位までに入った12チーム(フランス、NZ、イタリア、アイルランド、南アフリカ、スコットランド、ウェールズ、フィジー、オーストラリア、イングランド、アルゼンチン、日本)は、既に出場資格を得ている。
残りの12チームは、以下の各地域予選等を経て出場資格を得る。地域名の次の( )の数字は、出場資格を得るチーム数。全ての予選は2025年中に終える予定だ。
・ヨーロッパ(4チーム):2025年のラグビーヨーロッパチャンピオンシップの上位4チーム。(予想チーム:ジョージア、ポルトガル、ルーマニア、ロシア)
・アフリカ(1チーム):2025年のラグビーアフリカチャンピオンシップ優勝チーム。(予想チーム:ナミビア)
・アジア(1チーム):2025年アジアラグビー男子チャンピオンシップ優勝チーム。(予想チーム:香港)
・アメリカ(1チーム):2025年アメリカ(スダメリカ)ラグビーチャンピオンシップ優勝チーム。(予想チーム:ウルグアイ)
・太平洋(3チーム):2025年パシフィックネーションズ上位3チーム(ただし、フィジーと日本は除く)。(予想チーム:サモア、トンガ、アメリカ)
・アメリカ及び太平洋予選(1チーム):2025年2025年アメリカ(スダメリカ)ラグビーチャンピオンシップ準優勝チームと2025年パシフィックネーションズ最下位チーム(除く既に出場資格のあるチーム)。(予想チーム:チリ)
・最終敗者復活戦(1チーム):各予選で敗退した上位4チーム(以下の注参照)の総当たり戦を行い。獲得したポイントが最多のチームが出場権を得る。(予想参加チーム:カナダ、ブラジル、スペイン、ケニア)
(注:上位4チームの内訳)
(1)2025年アメリカ(スダメリカ)ラグビーチャンピオンシップの3位チーム。
(2)アメリカ及び太平洋予選の敗者。
(3)2025年のヨーロッパチャンピオンシップの5位チーム。
(4)2025年のラグビーアフリカチャンピオンシップ準優勝チームと2025年アジアラグビー男子チャンピオンシップ準優勝チームとの勝者。
*(参加チーム予想)
・シード国12チーム:フランス、NZ、イタリア、アイルランド、南アフリカ、スコットランド、ウェールズ、フィジー、オーストラリア、イングランド、アルゼンチン、日本
・予選勝ち抜き12チーム:ジョージア、ポルトガル、ルーマニア、ロシア、ナミビア、香港、ウルグアイ、サモア、トンガ、アメリカ、チリ、カナダ。
2027年RWCでは、全24チームが4チームずつ6プールに分かれ、16ラウンドにわたって対戦し、その後各プール上位2チームが準々決勝に進出する。この結果、現在7週間となっている開催期間が6週間に短縮される。また、各チームにとってより公平な試合間隔を実施する。
WRはまた、2026年から開始するネイションズチャンピオンシップのディビジョン2により、予選参加チームのレベル向上を図り、この結果2027年RWCが、よりハイレベルかつグローバルな大会になることを期待している。
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