見出し画像

<ラグビー>2024年シーズン(11月第一週)

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)

○ 映画『ある愛の詩 Love Story』は、家柄の違う男女が恋愛し、女が病死するというストーリーで、その後日本のTVドラマやアニメなどに同様の物語が次々と作られ、またこの邦題もいろいろなものに利用されている。
 
 ところで、すぐにわかるものだが、『ウェストサイドストーリー』同様、この作品はシェイクスピアの『ロメオとジュリエット』の焼き直しである。また、主人公は「家柄の違う二人」と一般に理解されているが、男のオリバー・バレット四世(ライアン・オニール)は、名前からわかるようにアイルランド系だが、おそらく北アイルランドのプロテスタントであると思われる。北アイルランドのプロテスタントはアイルランド本国のカソリックと長年血で血を洗う闘争を続けてきた。一方の女のジェニー・カヴァレリ(アリー・マッグロー)は、名前及び容貌からもイタリア系のカソリックである。
 
 つまり、この恋愛の障害となったのは、「家柄の違い」などというレベルではなく、「宗教の違い、しかも確執のある宗派の争い」であったのを、日本人の大半は意識していないと思う。つまり、これは恋愛映画ではなく、宗教問題の映画なのだ。
 
〇 石油は純粋な化学製品ではない。一般的に化石燃料と称されるように、石油は古代の植物が長い年月をかけて液化したものを精製して作る。それで(化石)油=石油というのだから、健康的と称される植物油を同類といっても間違いではない。しかし、この「石」というのを、植物由来の化石ではなく岩石と曲解している人が多いように思う。そして、無生物である岩石を精製するのだから、生物である人体には有害この上ないと結論する。
 
 ところで、ワセリンという塗り薬は、石油掘削業者が身体の切り傷に偶然ついた原油が、傷を早く治す効果があることから発見された薬だ。その背景には、化石としての生物由来だから生物としての人体に良い結果をもたらせたということがあると思う。従って、極論を否定することで反対概念の極論を持ち出すのは不合理なので避けるが、石油製品を不確かな先入観のみで一方的かつ安易に排除することも、同様に避けたいと思う。


1.テストマッチ等の結果

イングランド22-24オールブラックス(HT12-14)

 オールブラックスは、FLルーク・ジェイコブソンが怪我で完全にスコッドから脱落したが、FLイーサン・ブラカッダーとダルトン・パパリイは完治しており、フィットネスが戻り次第スコッドに復帰する予定となった。日本戦で活躍したSHキャメロン・ロイガード、FLサム・ケーン、NO.8ワレス・シティティ、CTBビリー・プロクター、WTBマーク・テレア、FBルーベン・ラヴらの起用が注目された。しかし、このうちラヴは、オールブラックスXVのスコッドに戻されたため、メンバー外となった。

 試合の23人は、怪我から復帰の12番CTBジョルディを含むバレット三兄弟が先発に戻り、日本戦からは、7番FLサム・ケーン、14番WTBマーク・テレア、18番PRパシリオ・トシ、19番LOパトリック・ツイプロツ、20番FLサムペニ・フィナウ、21番SHキャメロン・ロイガードらがメンバー入りした。SHの先発はコルティス・ラティマー、SOはボーデン・バレットで、ダミアン・マッケンジーは23番に下がった。好調の6番FLワレス・シティティ、NO.8アーディ・サヴェア、FBウィル・ジョーダンらの活躍が期待された。なお、PRイーサン・デグルートはチームの規律違反でメンバー外となり、1番PRにタマイティ・ウィリアムスが入っている。

 イングランドは、9番SHベン・スペンサーが初先発し、SOの先発はマーカス・スミス、リザーブにDGの名手ジョージ・フォードが入った。また、ユーティリティーBKのアレックス・ロゾウスキーが怪我で欠場し、13番CTBでヘンリー・スレードが先発した。リザーブは、FW6人+BK2人として、FW戦を想定している。キャプテンは、HOジェイミー・ジョージが担う。なお、PRジョー・マーラーが、週の初めにオールブラックスのハカを誹謗するコメントをして、スコッドから一時的に外された。

 マーラーのマッチポンプで話題になった試合前のハカは、通常通りに行われたが、イングランドファンの観客が「スウィングロースウィングチャリオット」(イングランドラグビーの応援歌)を合唱して、ハカを邪魔した(まあ、これはアウェイの洗礼ということで許容範囲)。

 イングランドは、好調のSOマーカス・スミスのPGで先行するが、すぐにオールブラックスの11番WTBマーク・テレアがトライを返し、FBウィル・ジョーダンがトライを重ねた。一方、イングランドはスミスのPGで得点を重ね、前半は12-14のオールブラックス2点差リードで折り返す。

 後半早々、イングランドは14番WTBインマヌエル・フェリワボソのトライとスミスのPGで22-14と逆転するが、オールブラックスは、67分の22番SOダミアン・マッケンジーのPGと76分のテレアのこの日二つ目のトライで再び逆転した。しかし78分に、23番CTBアントン・リエナートブラウンが痛恨のシンビンとなる危機を迎える。まず22番ジョージ・フォードがPGを狙うが、ポストに当てて失敗。続く81分にフォードが、これまで失敗したことがないというDGをミスして、オールブラックスがどうにか逃げ切った。

 オールブラックスのプレヤーでは、2トライのWTBテレア、38試合で36トライのFBジョーダン、SOボーデン・バレット、6番FLワレス・シティティらが活躍し、リザーブからプレーした19番LOパトリック・ツイプロツ、21番SHキャメロン・ロイガード(9番SHコルティス・ラティマーは、次戦ではリザーブに下がる可能性が高くなった)、23番SOダミアン・マッケンジーが、それぞれ活躍した。

 イングランドは、これで対オールブラックス3連敗となったが、いずれも惜敗しており、一定の実力を維持していることが伺われる。11月24日に対戦する日本にとっては、かなりの脅威になるだろう。

スコットランド57-17フィジー(HT29-10)

 今シーズン好調のフィジーが、どこまでやれるかが注目された。スコットランドは、新キャプテンのシオネ・ツイプロツが12番CTBで先発し、SOはアダム・ヘイスティングスが先発、フィン・ラッセルは、スコットランドでプレーする選手のみを対象にしたため、メンバー外となったため、22番SOのリザーブはトム・ジョーダンが入った。対するフィジーは、SOに好調のケイリブ・ムンツが復帰した。キャプテンは、HOテヴィタ・イカニヴェレ。

 フィジーは、前半5分と13分に続けてシンビンを出したことも影響し、最後は大敗してしまった。今シーズンは好調だっただけに、この昔のフィジーを見るような淡泊なプレー振りは残念だった。8トライで圧勝したスコットランドは、14番WTBダーシー・グラハムが4トライの大活躍の他、12番CTBヒュウ・ジョーンズも2トライを挙げ、かつてのPGばかりのチームから豹変し(「三の倍数」とくだらない冗談を言っている人がいた)、BKがトライを重ねる理想的なチームに変貌している。また、SOアダム・ヘイスティングスも、フィン・ラッセル不在をカバーするプレー振りで、大勝に貢献した。

マンスター38-26オールブラックスXV(HT12-14)

 オールブラックスXVは、オールブラックスへの選手入替でメンバー選考に苦労した。既に、FLピーター・ラカイとLOジョシュ・ロードがオールブラックスに昇格し、クリスチャン・リオウィリーもオールブラックスのスコッドへ待機している。一方、日本戦でプレーしたHOジョージ・ボウワーとFBルーベン・ラヴは、オールブラックスXVに戻ってきた。

 23人のメンバーに入ったオールブラックスのキャップ持ちは、1番PRジョージ・ボウワー、SHフィンレイ・クリスティー、12番CTBクイン・ツパエア、FBショーン・スティーヴンソン、21番SHノア・ホッサム、23番FBルーベン・ラヴとなっている。キャプテンは、7番FLデュプレッシー・キリフィで、SOはハリー・プランマー、22番に入ったジョシュ・ジェイコブズと5番LOファビアン・ホランド(オランダ人)の活躍が期待された。

 マンスターは、監督を辞任したグラハム・ロウントリーの後任が未定のまま、統括責任者のイアン・コステロが指揮した。6番FLにアイルランド代表ピーター・オマーニーが入ったが、6人のアカデミーからの選手を含む、経験値の浅い陣容となった。

 ゲームは、60分にマンスターが26-24と逆転するが、75分にオールブラックスXVの21番SHノア・ホッサムがラインブレイクし、12番CTBクイン・ツパエアを経由して、11番WTBキニ・ナホロにつなぐ鮮やかなトライで再逆転する。さらに、79分には、SOハリー・プランマーがインターセプトからダメ押しのトライを挙げて、マンスターを一蹴した。

 チームのアタックを良くリードしたSOプランマー、キャプテンとして良いプレーを見せた7番FLデュプレッシー・キリフィ、後半からプレーして逆転劇を演出したSHホッサム、そして日本戦に続き好調ぶりを見せた23番FBルーベン・ラヴが、それぞれプレーで目立っていたが、MOMに選ばれた5番LOファビアン・ホランドの仕事量の多さは、絶賛されてしかるべきものがある。来シーズンには、オールブラックスのLOに入るのではないか。

 なお、この試合のレフェリーは、日本の滑川武人氏が担当した。(揶揄ではなく)「アドバンテージ」という日本人アクセントのコーリングが、ハイライトビデオでも聞こえるが、選手たちは違和感なくプレーしていたようだ。プレヤーだけでなく、レフェリーもこうやってどんどんと海外で活躍することで、日本のラグビーがより一層良い方向へ進化することは間違いない。

2.主なニュース

(1)イズラエル・フォラウは、ジョセフ・スアアリイはFBが適任と思う

 NRL(リーグラグビー)からユニオンのオーストラリア協会へ、5.35百万オーストラリアドル(約5.4億円)で移籍した、21歳のジョセフ・スアアリイは、今秋イングランド、ウェールズ、スコットランド、アイルランドと対戦するワラビーズのスコッドに入った。

 元ワラビーズFBで73キャップを持つイズラエル・フォラウは、スアアリイは、自分と同じFBでプレーするのが適任だが、将来的にはCTBもプレーできると期待している。スアアリイは、2018年にユニオンの高校代表になった時はFBでプレーしていたが、その後サウスシドニー・ラビットーズの年齢別チームを経て、2021年にシドニー・ルースターズに入り、リーグで大活躍したことを評価され、先般鳴り物入りでユニオンへ復帰している。

<参考>
 リーグからユニオンへ移籍する前例は沢山あり、かならずしも成功したとは限らない。オールブラックスでは、ソニービル・ウィリアムスは成功例となったが、ロジャー・ツイヴァサシェイクは失敗例となった。その大きな理由として挙げられるのは、リーグになくユニオンにあるブレイクダウンでの攻防だろう。リーグではタックル成立でプレーが止まるが、ユニオンでは、その後ラック(やモール)で激しいせめぎ合いが生じる。

 そのため、ボールキャリアー以外のサポートプレヤーは、ラック(やモール)へのサポートが重要なプレーになる。これはかなり地道なプレーなので、リーグで活躍した選手が容易に適合できない要素になっている。しかし、FBであれば、こうしたブレイクダウンに参加する確率が減る(一方、ハイボールキャッチとキックは多くなる)ので、適合しやすいと思われる。

(2)関東大学ラグビー対抗戦Aグループ


 慶應が青学に辛勝したことで、大学選手権出場を賭けた5位争いが熾烈になっている。また、早稲田が帝京に勝利して、優勝争いも混沌としてきた。

10月27日
立教45-17日体
 立教が実力通りに大勝し、大学選手権へ大きく前進。
青学10-20慶應
 慶應が伝統校としての意地の勝利。

11月 3日
筑波0-31明治
 明治は、ハンドリングエラーで取りこぼしたトライの数が、二桁に近かったと思うくらい、アタックは反省材料が多かった。しかし、ディフェンスでは、数回トライを取られてもおかしくない場面でトライセービングタックルを連発し、相手のミスにも助けられたがゼロ封してみせた。これは高く評価できる。さて、次の帝京戦は、どうなるか。

帝京17-48早稲田
 早稲田が予想外と言っては失礼だが、帝京に大勝した。これはどうしたことか?ただし、大学選手権で帝京は豹変するから、まだまだわからない。いずれにしても、早稲田が対抗戦優勝に向けて大きく前進したことは間違いない。早稲田14番WTB田中健想が5トライを記録した。一方、FB矢崎吉高はノートライだったので、矢崎が田中のトライ量産に貢献した形となった。

(3)高校ラグビー全国大会東京予選


 第一地区準決勝
  目黒学院57-17東京
  東京朝鮮5-52成城
 第二地区準決勝
  國學院久我64-0対本郷
  明学東村山5-35早稲田実業
 この結果、来週の決勝は、目黒学院対成城、國學院久我山対早稲田実業になった。そして、愚息の母校である東京は、今年も終戦となってしまった。残念。

いいなと思ったら応援しよう!