<ラグビー>2023年2月26日現在、インターナショナルラグビー関連の話題(その1:選手及びコーチの移籍などのまとめ)
今週は、シックスネーションズ、スーパーラグビーパシフィック、ロスアンゼルスセヴンズと、インターナショナルラグビー関連の事項が多くなったので、その他の報道ぶりなどについては、ここに別記し、また先に掲載した(スコットランド対フランス及びロスアンゼルスセヴンズが時差の関係で月曜早朝に行われるため)。
沢山の噂を上記ウェブサイトで紹介しているが、私が興味を惹いたものを以下にピックアップした。
1.ウェールズFBのリアム・ウィリアムスが、クボタスピアーズ船橋・東京ベイに移籍
RWC後に50万ユーロ(邦貨約7,100万円)で入団する予定だが、ライオンズのNZ遠征時にオールブラックス相手に見事なトライを取った良い選手なので、リーグワンでも活躍しそうだ。
2.リエコ・イオアネがブラックラムズ東京に移籍?
これは本人が否定している。彼はオールブラックスの花形CTB兼WTBなので、引く手あまたの選手だから、RWC後に移籍するとしても、いろいろと移籍先を検討している最中だと思う。ただ、お父さんが日本のリコーでプレーしていたので、ブラックラムズとのつながりは強い。もしリコーへの移籍が実現したら、現在のSOアンザック・ルーカスとリエコ(リーコと一般的に表記しているが、兄がアキラなので、彼もローマ字式の読みに統一させてもらっている)が組むサインプレーは、かなり面白そうだ。
3.サム・ケレヴィがオーストラリアのスーパーラグビーパシフィックチームへ?
サンゴリアスのサム・ケレヴィは、現在怪我の治療でオーストラリアに帰国中だが、エディー・ジョーンズはオーストラリアのクラブに移籍することを強く要望している。しかし、契約金額が折り合わず、日本に居残る予定だが、現在の東京サンゴリアスから別のリーグワンチームに移籍することを想定している由。なおケレヴィは、海外にいてもワラビーズとして出場できる資格を持っていることも日本に残る理由のひとつになっている。
4.ワラビーズのコーチ陣人事
エディー・ジョーンズの下でコーチをするのは大変だと思うが、ブランビーズで実績を挙げ、現在ワラビーズのアシスタントコーチをしているローリー・フィッシャーは、ワラビーズを辞めることになった。一方、ダン・マッケラーは当面ワラビーズのコーチを継続する模様だったが、その後イングランドのレスタータイガース監督に7月1日に就任することを発表した。
一方ワラビーズのコーチ陣へ新たに加入するのは、元代表SOのべーリック・バーンズで、スキルとキック担当のコーチになる。なおスコット・ワイズマンデルは、ワラビーズへの関与は継続するが、コーチからコンサルタントに移動する。さらにジョーンズが、イングランド監督時代にイングランド代表アドバイザーの仕事をしていた、AFL(オーストラリアンルール⦅日本ではなぜかオージールールと称している⦆楕円形の競技場でキックによる得点を競うボールゲーム)出身のニール・クレイグが、ワラビーズでも同様の仕事をする予定。
5.レオン・マクドナルドとスコット・ロバートソンの去就
現在ブルーズの監督をしているレオン・マクドナルドは、グレガー・タウンゼントの次のスコットランド代表監督就任を打診されている。また、スコット・ロバートソンにも同様の打診があった模様。さらにロバートソンは、ヴァーン・コッターが辞任したフィジー代表監督就任を依頼されたが、本人は断った由(その後、フィジー代表監督には元フィジー代表選手が就任した)。断った理由は、ロバートソンが、イアン・フォスターの次のオールブラックス監督就任が濃厚視されているためとしている。
一方マクドナルドは、ブルーズの前はクルセイダーズのロバートソン監督の下でアシスタントコーチをしていたので、もしロバートソンがオールブラックス監督に就任した場合は、オールブラックスのアシスタントコーチになる可能性がある。このため、スコットランド代表監督受諾の可否は、オールブラックスの人事次第になる模様。また、仮にスコットランドがRWCで良い結果を残せれば、当然タウンゼント留任論が浮上してくる。
6.スコット・ロバートソンの新刊書にある発言
スコット・ロバートソンは、自身のフランスラグビー経験等をまとめた本(イギリス人ライターの取材による)を出版した。同書によると、ロバートソンは、オールブラックスを引退した後の2003年に、フランスのペルピニャンでプレーし、その後日本で現役生活を終えたが、フランスで「フレンチフレアー」を経験したことが、その後にクルセイダーズを指導する上でとても良かったと述べている。
一方、フランスラグビーには、昔から暴力プレーが当たり前になっていることにも言及しており、自分がベジェと対戦した時は、ラグビーの激しさを通り越してたんなる暴力に変わっていたことに恐怖すら感じたという。ロバートソンとしては、フランスとの関係が深いことから、これまで二人しか外国人監督が優勝していないフランストップ14での優勝と、フランス代表監督就任を、将来の自分の夢だと述べている。
7.(参考)オールブラックスの次期監督についての私見
昨年のオールブラックスの不振で、イアン・フォスター監督解任要求が高まったが、その後、前アイルランド代表監督のジョー・シュミットをコーチに加えることで、年末のヨーロッパ遠征では持ち直し、イングランドに引き分けた以外は合格点を得ることが出来た。そのため現行のフォスター体制を継続し、今年のRWCまで戦うことが確定している。一方、次期監督候補NO.1のスコット・ロバートソンが、「既にオールブラックス監督人事は進行しており、二週間後には決定される予定」等とメディアに話して、大きな反響を呼んだ。これに対してフォスターは、「RWCへ向けたチームに悪影響」等と不快感を表明するなど、NZ協会がロバートソン発言に困惑する状況となっている(その後ロバートソンは、自分の「失言」を反省する旨述べた)。
以上のように、ロバートソンの次期オールブラックス監督就任が既定路線化しているが、もしRWCでオールブラックスが優勝した場合は、当然フォスターの功績が評価されることになる。しかし、フォスター続投の可能性は低いと思われる(また、RWC後に自分が監督をしている可能性はかなり低いと、フォスターは発言している)。また、昨年からチームの勢いを盛り返した最大の功労者は、誰が見てもシュミットとなるため、フォスターからシュミットへの交代論も出てくる可能性の方が大きい。
もしもシュミットをオールブラックス監督にした場合は、NZにとって至宝ともいえる優れたコーチのロバートソンを、他国代表監督に取られる心配が出てくるため(ロバートソンは、他国代表監督就任希望を述べている)、NZ協会はシュミットとロバートソンの板挟みになってしまう。なお、ロバートソン監督の下でシュミットがコーチをすることについては、シュミットは同意してもロバートソンは同意しないと見られている(クルセイダーズ時代のコーチ陣をオールブラックスにそのまま持ち越す可能性が高い)。さらに、現在ブルーズ監督をしているマクドナルドをアシスタントコーチにする可能性もあり、そうなった場合は、さらにシュミットとの関係が難しくなるだろう。
なお、日本代表で大きな実績を挙げているジェイミー・ジョセフもオールブラックスの次期監督候補になっているが、さすがに日本代表のみの実績だけで、オールブラックス監督になるのは難しいのではないか。私見としては、前任のエディー・ジョーンズに倣って、もしもスティーヴ・ボーズウィックが今年のRWCで不振だった場合に(実際、シックスネーションズでの戦いから見れば、RWCでかなり苦戦しそうだ)、次期イングランド代表監督に呼ばれる可能性もあるように思うが、果たしてどうだろうか。