<ラグビー>2024年シーズン(4月第二週)
(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)
日本のバーガーキングのメニューが「ワッパー」(輪っぱ?)となっていることに、ずっと違和感が絶えない。昔マイアミで食べていたときは(ちなみにバーガーキングの創業者は、息子が在学したパルメット・ミドルスクールのOB)、WHOPPERを「ホッパー」と発音して注文していた。これがなぜか日本では「ワッパー」になっている。
例えば、WHATの発音を「ワット」と発音するだろうか?日本人は、WHATを中学英語以来「ホワット」とH音で発音している。これがフランス人ならHを発音しないから、「ゥオッパー」あるいは「ワッパー」となるが、アメリカ英語だからそれはあり得ない。
フロリダには、キューバを筆頭に中南米からの移民であるスパニッシュが多く住むが、スペイン語風の発音になったとしても、「ワッパー」にはならない。フランス語という限りで言えば、マイアミの最も治安の悪い地区とされるハイチ移民が住むエリアでは、フランス語を使用することもあるので、ハイチ移民たちは「ワッパー」と発音しているかも知れない(恐ろしくて近づけないので、これは未確認)。しかし、それはフロリダやアメリカ全土との比較では例外となる。
結論、「ワッパー」を「ホッパー」に変えて欲しい。日本のバーガーキングさん!
1.リーグワン(第13節)結果
花園ライナーズ33-52横浜イーグルス
ライナーズの勝利のチャンスは来るのだろうか?そして、守護神クエード・クーパーは欠場となってしまった。試合は、イーグルスが前半を7-26と大量リードして早々に勝負を決めた。後半も26-26とまとめて圧勝した。WTBヴィリアメ・タカヤワが4トライの荒稼ぎをした。ライナーズのディエンスは相変わらず悪すぎるが、アタックは良いものを持っている。なお、イーグルスのタカヤワはトライを取る力はあるものの、ディフェンスは淡泊なので、代表入りは難しいだろう。
ブラックラムズ東京26-50埼玉ワイルドナイツ
ワイルドナイツは潤沢にローテーションしているので、ブラックラムズが付け入る隙はなかった。試合は、ワイルドナイツが前半を14-33と大量リードして勝負を早々に決めた。後半も12-17と手堅く収めて圧勝した。FL大西樹、WTBマリカ・コロイベテがそれぞれ2トライを記録した。ワイルドナイツのディフェンスは、アタックと同等の威力を発揮しているのに対して、ブラックラムズのディフェンスは安定しておらず、またプレーの精度が低い。これが両チームの得点差に出ていた。
静岡ブルーレヴズ31-31スピアーズ東京ベイ・浦安
似たようなチーム作りというのは、やはり南アフリカの色彩が濃いからだろうか。ここはバーナード・フォリーも復帰二戦目と万全なので、ブルーレヴズに勝ち目はないと予想していた。予想どおりに試合の前半は、スピアーズが、HOダン・コールズや12番CTB立川理道の活躍で、見ていて楽しい良いトライを連取して7-31と順当にリードしたが、後半はブルーレヴズが一方的に得点した後、スピアーズが70分過ぎに2枚のシンビンを続けて出したことが影響し、24-0とスコアが逆転してしまった。
13人で10分近く戦うことになったスピアーズは、それでも80分のゴール前のラックでターンオーバーしたかに見えたが、レフェリーがブルーレヴズにPKを与えたことが、最後の同点トライの起因となった。またブルーレヴズは、トライ後の83分のコンバージョンが入っていれば逆転勝利となったのだが、スピアーズの懸命のチャージと勝ち越しという大きなプレッシャーから、14番WTBキーガン・ファリアが角度45度のゴールキックを外してしまい、勝利のチャンスを逃した。ブルーレヴズにとっては勝ちを逃した引き分け、スピアーズにとっては負けずに済んだ引き分けとなった。
相模原ダイナボアーズ20-34トヨタヴェルブリッツ
グリーン被りのジャージーで、ヴェルブリッツがセカンドの白を着用した。61分に20-20の同点となるなど途中まで競った展開となったが、ヴェルブリッツSOボーデン・バレットが2トライを記録するなど、ダイナボアーズSOジェイムズ・グレイソンとのレベルの違いを見せつけて、ヴェルブリッツが完勝した。
特に64分のバレットのトライは、まずバレットが50:22のキックでゴール前のラインアウトを取り、次にモールがつぶれたラックからSHアーロン・スミスのピンポイントパスが、ブラインドサイドへ走り込んだバレットに通るなど、まさにオールブラックスのプレーを再現した良いトライだった。HB団にこんなハイレベルのプレーを披露されたら、ダイナボアーズに勝ち目はなかった。しかし、日本代表入りも考えているグレイソンには、良いお手本になったのではないか。
東京サンゴリアス60-10三重ヒート
サンゴリアスは、14番WTB尾崎晟也とSH齊藤直人のそれぞれ2トライを含む9トライを挙げて圧勝した。ヒートは実力差を見せつけられる結果となった。内容は、まるでサンゴリアスのアタック練習という感じで、ヒートにはもっとディフェンスで頑張ってもらわないと、リーグワンのラグビーとして大勢の観客の期待を裏切るものになってしまう。
なお、最近の秩父宮での試合は、電光掲示板のあるゴール前のスタンドは使用しておらず、正面・バックスタンド・屋根のあるゴール前のスタンドの三面しか観客を入れていない。そして、その三面の席が全て埋まっていることはほとんどなく、三面ともに隅には空席が目立つ。新秩父宮が屋根付き・人工芝で、さらにゴール前のスタンドを無くして大型スクリーンを設置したことに対して、「理不尽な座席減」、「あくどい商業主義」と批判した人が多くいたが、現状からみれば最も適切な設定であるというしかない。むしろ、屋根付きの室内スタジアムになることで、雨や低温を心配せずに試合を開催できることは、ラグビーにとって良いことばかりだ。さらに、スタジアム経営の面から採算を重視するのは当然のことなので、旧日本陸軍の「武器弾薬・食料等の補給はないが、精神力で勝て!」と同じコンセプトでしかない、「雨が降っても槍が降ってもやるのがラグビー」・「ラグビーは屋根なしの天然芝でやるのが当然」といった意見が、非現実的なものであることが証明されたと思う。
ブレイブルーパス東京40-40神戸スティーラーズ
両チームとも赤いジャージーなので、この日はスティーラーズがセカンドの白を着用した。また両チームともに、アタックよりもディフェンスが淡泊という特徴がある。
前半はブレイブルーパスが、14番WTBジョネ・ナイカブラの爆発的なランが威力を発揮して、33-14とリードする。後半もこのまま推移するかと思われたが、ブレイブルーパスの守護神SOリッチー・モウンガ不在に加え、プレーオフ圏内に入るために必死のスティーラーズの奮闘から、69分には40-35の5点差となり、勝敗はわからなくなった。
そして79分に、ブレイブルーパスは自陣ゴール前でFWにシンビンが出て数的不利になり、スティーラーズが何度も5mスクラムを選択して、押しまくる展開が続いた。ところが、スティーラーズはスクラムトライまで持って行くことができず、やむなく左に展開して左中間に同点のトライを取る。この日好調と不調の落差が大きかったSOブリン・ゲイトランドは、さすがに力んでしまったのか、勝ち越しのコンバージョンをポスト左に外してしまった。
この辺りが、ゲイトランドがスーパーラグビーで活躍できない理由があると思う一方、彼の力でスティーラーズが復活してきたのは間違いないので、来シーズン以降も活躍することを期待したい。なお、ブレイブルーパス11番WTB森勇登は、万能BKとしてリザーブからのプレーが多かったが、ここ数試合はトライゲッターとして活躍しており、またトライアシストになる良いパスを出すプレーもあった。またこれからの成長が期待できる世代なので、もしかすると日本代表入りするかも知れない。
2.スーパーラグビー第8週結果
先週に続き、今週も休場となるチームがいて、4試合のみの開催となった。
モアナパシフィカ17-14レッズ
モアナNO.8シオネ・ハヴィリタリツイとレッズNO.8ハリー・ウィルソンとのマッチアップに注目したが、試合は、モアナが幸先よく前半を10-0とリードする。後半に入り、47分にレッズSHテイト・マクダーモットがレッドカードになるが、モアナは72分までに2トライを取られて、10-14と逆転されてしまう。ところが、73分にレッズFLフレイザー・マクライトが二人目のレッドカードになって、モアナは再び数的優位に立ち、78分に逆転トライを決めて劇的な勝利を収めた。
ワラターズ43-40クルセイダーズ
クルセイダーズは、多くの怪我人が戻ってきた。特にFLイーサン・ブラカッダーの復帰は期待が大きい。7番FLトム・クリスティーがキャプテン代行をした。ワラターズは、13番CTBイザイア・ペレーゼのプレーが注目された。
試合は、前半を23-22と1点差で終えた後、80分の時点でクルセイダーズが37-40と勝利目前だったが、WTBジョニー・マクニコルのシンビンでPGを決められ、40-40の同点で延長戦へ。そして、84分にワラターズにDGを決められて惜敗してしまった。個々の選手では、クルセイダーズWTBセヴ・リースが2トライを記録した他、多くのアタックに貢献しており、オールブラックス入りへ大きくアピールしていた。また、今シーズン苦戦しているクルセイダーズとしては、ようやく戦力が戻ってきたもののチームとしての熟成が立ち遅れているという印象が残ったゲームとなった。
ハリケーンズ36-23チーフス
好調同士の対戦となった。また、チーフスHOサミソニ・タウケイアホ対ハリケーンズHOアサフォ・アウムアのオールブラックス先発を賭けたプレーが見ものとなった。なお、ハリケーンズは、リザーブをFW6人+BK2人にしたが、これはSHのTJ・ペレナラがSOもプレーできる効果によるもの。
試合は、前半をハリケーンズが17-13リードするが、後半チーフスが巻き返し、51分に17-23と逆転する。しかし、ハリケーンズは58分にSHのTJ・ペレナラの2本目、67分のWTBキニ・ナホロ、そして72分のHOアサフォ・アウムアと3連続トライを挙げて最後に完勝し、7連勝を達成した。今シーズンのハリケーンズの強さが発揮されたゲームだったが、チーフスも後半、SOダミアン・マッケンジーと(前半30分にショーン・スティーヴンソンと交代した)FBジョシュ・イオアネによる見事なアタックを見せており、スーパーラグビーの名に相応しい素晴らしいゲームだった。
この日2トライを記録したペレナラは、これでスーパーラグビー通算62トライとなり、元同僚の現在モアナパシフィカでプレーしているCTB/WTBジュリアン・サヴェアの持つスーパーラグビーのトライ記録に並んだ。ジュリアン・サヴェア及びペレナラともに、まだまだスーパーラグビーでトライを記録していくと思われるので、この記録がどこまで伸びるか楽しみだ。なお、この両者に破られるまでのトライ記録を持っていたのは、元ワラビーズのイズラエル・フォラウだが、現在日本のリーグワンでプレーしていても将来スーパーラグビーに戻る可能性はないと思うので、フォラウの記録更新は無理だろう。
レベルズ47-31ハイランダーズ
ハイランダーズは、SOに若いアジャイ・ファレアファガを先発させた。リザーブにはSOがいないため、12番CTBサム・ギルバードがユーティリティーの役割を担った。レベルズは好調の13番CTBフィリポ・ダウグヌのプレーが注目された。
試合は、前半を26-10でレベルズがリードし、そのまま後半も点差を維持して乱打戦を逃げ切った。レベルズ11番WTBダービー・ランカスターがハットトリックの活躍をした。また、SOカーター・ゴードンも2トライを挙げて、ワラビーズ先発SO争いに大きくアピールした。
3.その他のニュースなど
(1)2028年から世界規模のクラブリーグを創設へ
NZヘラルドによれば、2028年から南北の強豪クラブを集めた世界規模のリーグ「WCC=ワールドクラブカップ」を創設する方向へ進んでおり、最終的な合意へ向かっていると報道している。
それによれば、ヨーロッパから8チーム、スーパーラグビーから6チーム、さらに日本から2チームが参加し、4年毎のサイクルで6月の4週間にリーグ戦を北半球で実施するもの。また、国毎の参加は想定されておらず、単純に参加しているリーグの順位から参加チームを決める。そのため、例えばスーパーラグビーでオーストラリア勢がトップ6へ1チームも入っていない場合が想定される一方、NZの5チームとフィジードルアまたはモアナパシフィカとなる可能性もある。また、イングランドプレミアーリーグ、フランストップ14、ザ・ユナイテッドラグビーチャンピオンシップは、現行の6月に行っている決勝を5月に前倒しすることを考えている。
仮に、現時点の結果から全参加16チーム及び第一週の試合組み合わせを想定すると、以下のようになる。
ヨーロッパ8チーム:
ボルドーベグル(仏)、ハーレクインズ(英)、レンスター(愛)、ラロッシェル(仏)、ノーザンプトンセインツ(英)、ツールーズ(仏)、ブルズ(南ア)、エクスターチーフス(英)
スーパーラグビー6チーム:
ブルーズ(NZ)、ハリケーンズ(NZ)、ブランビーズ(豪)、チーフス(NZ)、レベルズ(豪)、レッズ(豪)
日本の2チーム:
埼玉ワイルドナイツ、ブレイブルーパス東京
第一週の試合組み合わせ想定:
ブルーズ対レンスター
ボルドーベルグ対ハーレクインズ
ラロッシェル対レベルズ
ノーザンプトンセインツ対ブレイブルーパス東京
チーフス対エクセターチーフス
ブルズ対埼玉ワイルドナイツ
ツールーズ対レッズ
(2)イアン・フォスターがトヨタヴェルブリッツ監督へ
前オールブラックス監督のイアン・フォスターは、成績不振から昨年のRWC後に退任となったが、今般、元オールブラックス監督スティーヴ・ハンセンがディレクター・オブ・ラグビーを務めているトヨタヴェルブリッツの監督に就任する方向で進んでいることを、NZヘラルドが報道した。トヨタヴェルブリッツは、SHアーロン・スミス、SOボーデン・バレットという世界最高の選手を補強した一方、今シーズンの成績が想定した以上に芳しくないため、コーチ陣の入れ替えを検討しており、ハンセンとのつながり(ハンセンがオールブラックス監督時代にフォスターはアシスタントコーチだった)から、フォスターが次期監督に就任することになった模様だ。
(3)ジョー・シュミットは、海外でプレーする選手のワラビーズ資格緩和を検討
現在、オーストラリア・ワラビーズは、自国でプレーするトップレベルの選手を維持するために、ワラビーズのキャップ30以上またはオーストラリアで5年以上プレーしていることを代表入りの条件にしている。しかし、昨年のRWCの予選プールマッチで敗退したとき、前監督のエディー・ジョーンズは、自国でプレーするトップレベルの選手の維持も重要だが、ワラビーズがRWCで優勝するためには、海外でプレーするトップレベルの選手の代表入り条件の緩和を検討すべきだと主張していた。
ジョーンズの後任としてワラビーズ監督に就任したNZ人のジョー・シュミットは、RWC予選敗退というワラビーズ史上最悪の結果を理由に、海外でプレーするトップレベルの選手の代表入り条件の緩和を検討していると見られている。また、こうした動きはイングランド代表監督のスティーヴ・ボーズウィックも示唆しており、早晩世界的な流れになる可能性がある。
なお、条件が緩和された場合の対象となる選手は、LOのリッチーとローリーのアーノルド兄弟、SOクエード・クーパー、バーナード・フォリー、LOウィル・スケルトン、CTBサム・ケレヴィ、WTBマリカ・コロイベテらが候補になると見られている。また、グランド外の素行不良でワラビーズから外されている万能BKカートリー・ビールも、ワラビーズ監督交代という契機を捉えて、代表復帰を目指しているとの報道が出ている。さらに、現在セヴンズでパリオリンピックを目指している、元代表キャプテンのFLマイケル・フーパーの復帰も期待されている。
もしこれらのベテラン選手たちがワラビーズに戻れば、一時的にせよワラビーズが強化されることは間違いない。また、ジョーンズが大きな代償を払って無理矢理に代表入りさせた多数の若手選手たちの育成にも、相当に良い影響を及ぼすことが期待される。