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<ラグビー>6NS,延期となっていたフランス対スコットランド結果

スコットランド:グレガー・タウンゼント監督
ロリー・サザーランド,ジョージ・ターナー,ザンダー・ファガーソン,サム・スキナー,グラント・ジルクライスト,ジェイミー・リッチー,ハミッシュ・ワトソン,ニック・ハイニング,アリスター・プライス,フィン・ラッセル,デューハン・ファンデルメルヴァ,サム・ジョンソン,クリス・ハリス,ダニー・グラハム,スチュアート・ホッグ
(リザーブ)
デイヴィット・チェリー,オリー・ケッブル,サイモン・バーガム,アレックス・クレイグ,ライアン・ウィルソン,スコット・スティール,アダム・ヘイスティングス,ヒュー・ジョーンズ

フランス:ファビアン・ガルティエ監督
シリル・ベイーユ,ジュリアン・マルシャン,モハメド・アオウアス,ベルナール・ルルー,スワン・レバッジ,アンソニー・ジェロンク,シャルル・オリヴォン,グレゴリー・アルドリット,アントワーヌ・デュポン,ロメイン・ヌタマック,ガエル・フィコウ,アーサー・ヴァンサン,ヴィリミ・ヴァカタワ,ダミアン・プノー,ブリス・デュラン
(リザーブ)
カミーユ・シャ,ジャンバプティスト・グロ,ウニ・アトニオ,ロメイン・タオフィフェヌア,ディラン・クレタン,バプティスト・セラン,アンソニー・ブティエール,テディ・トマ

日程が延期されたことで,代表選手が所属するクラブチームの試合と重なったため,テストマッチながら両チームはベストメンバーを揃えることができなかった。しかし,主要なポジションにはベストな人材を配置できており,チーム力はあまり落ちていないと思われる。

フランスの優勝条件は,4トライ以上のボーナスポイント獲得+21点差以上の点差の勝利(20点差の場合はウェールズと同数となるため,6トライ以上取ればトライ数差で優勝)となっているため,限りなく難しい。対するスコットランドも,アウェイの戦いとは言え,イングランドに勝利する力を持っているくらいだから,イングランド=フランスと想定すれば,十分に勝てる。とはいえ,やはりホーム有利は動かしがたく,フランスが3トライ取って勝利するも優勝は逃すという結果になりそうだ。

フランス23-27スコットランド
スコッツ魂が躍動し,敵地で1999年以来の劇的勝利。素晴らしいゲーム。

3分,フランス10番SOロメイン・ヌタマックがPG,3-0。
14分,スコットランド11番WTBデューハン・ファンデルメルヴァがトライ,10番SOフィン・ラッセルのコンバージョン成功で,3-7。
18分,ラッセルがPG,3-10。
27分,ヌタマックがPG,6-10。
35分,フランス15番FBブリス・デュランがトライ,ヌタマックのコンバージョン成功で,13-10。
39分,スコットランド15番FBスチュアート・ホッグがシンビン。

前半,フランス13(1T1C2P)-スコットランド10(1T1C1P)。ホッグのシンビンが痛い。

45分,フランス14番WTBダミアン・プノーがトライ,ヌタマックのコンバージョン失敗で,18-10。
52分,ラッセルがPG,18-13。
60分,スコットランド16番HOデイヴィット・チェリーがトライ,ラッセルのコンバージョン成功で18-20。
65分,フランス5番LOスワン・レバッジがトライ,ヌタマックのコンバージョン失敗で23-20。
70分,スコットランド10番SOフィン・ラッセルの腕がフランス15番FBブリス・デュランの首にかかったとして,レッドカード。これはスコットランドにとって緊急事態。12番CTBサム・ジョンソンに代えて22番アダム・ヘイスティングスを入れてSOの穴を埋める。
73分,フランス21番SHバプティスト・セランがシンビン。これで,14人対14人のイーブンになる。
84分,スコットランド11番WTBデューハン・ファンデルメルヴァが値千金の2つ目のトライ,ヘイスティングスのコンバージョン成功で23-27。

後半,フランス10(2T)-スコットランド17(2T2C1P)。合計,フランス23(3T1C2P)-スコットランド27(3T3C2P)。

11年ぶりのシックスネーションズ優勝と夢を見ていたフランスの目を覚ますような,スコットランドの劇的な勝利。シックスネーションズ最後を飾るに相応しい良い試合だった。

フランスは,最近の好調ぶりから,若いチームが「俺たちは強い」と周囲の声をそのまま受けとって天狗になっていたのが,一番の敗因だと思う。また,先週のウェールズ戦では,ウェールズがシンビンで13人になるなど,レフェリングに助けられたのにも関わらず,自分たちの力で劇的勝利を得たと過信していたことも影響している。

そもそも,2016年シックスネーションズのイングランドも,今年のフランスも,ティア1国として強豪であることに代わりはない。なぜなら,個々の選手はイングランドプレミアーシップやフランストップ14という,世界トップレベルのリーグでプレーしているのだから,選手個人が強いのは当然。従って,いくら不調とは言っても,極端に弱くなることはない。

フランスが2012年以降,イタリアに負ける程に弱くなった理由は,トップ14の各クラブが,単純に良いSOを南半球から金で釣ってきたため,フランス代表レベルのSOが育成できなかったことが大きい。その後,ロメイン・ヌタマックが成長し,マチュウ・ジャリベールもテストマッチレベルで使えるようになったため,もともとトップレベルにある個々の選手が機能しだしたことによる。

イングランドも,不振であった時代は良いSOがいなかった。しかし,オウウェン・ファレルとジョージ・フォードの2人が,テストマッチレベルで戦えるSOに成長したことが,勝てるようになった原因となっている。また,エディ・ジョーンズの采配だけで勝てるわけではないのが,最近の下降傾向からもわかる。

私は,ゲームはSHが作ると思っているが,勝負はSOで決まると思っている。どこも勝負に勝てるチームは,良いSOが複数いる。オールブラックスには,ボーデン・バレット,リッチー・モウンガ,ダミアン・マッケンジー,ジョシュ・イオアネに加えて,オテレ・ブラックもテストマッチレベルであり,FBのジョルディ・バレットもSOができる。しかし,オーストラリア・ワラビーズは,スティーブン・ラーカムの引退後,2011年当時にクエード・クーパーが出てきたものの,現在まで良いSOがいないのが,不振の理由だろう。

南アフリカ・スプリングボクスには,モルネ・ステインがいたし,今はアンドレ・ポラードがいる。アルゼンチンは,ニコラス・サンチェスがいるが,彼以外は心もとない。アイルランドも同じで,強い時はローラン・オガーラとジョナサン・セクストンの2人がいた。そして,今やセクストンが引退間近になっているが,代わりがいないので弱体化する可能性が高い。

スコットランドも,一時良いSOに恵まれなかったが,フィン・ラッセルとアダム・ヘイスティングスの成長でチームが強化された。また,SOもできるFBスチュアート・ホッグの存在は大きい。ウェールズは,以前はスティーヴン・ジョーンズ,リース・プリーストランド,ダン・ビガーと3人揃えていたが,今はビガーしかいないのが難点だ。若い良いSOが出てこない限り,今回のシックスネーションズ優勝は,幸運に恵まれた結果と言われかねないだろう。

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