<ラグビー>2023~24年シーズン(12月第一週)
(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)
九州場所では、琴ノ若と熱海富士の活躍が嬉しかったが、優勝を逃したのは残念だった。この二人には、早く大関から横綱に上がってもらいたいし、そうなれる大器だと思う。
相撲の話題になったので、これまでたしか二回ほどやっている、「相撲取りがラグビーをやった場合の15人」の最新版を考えてみた。1番から15番の順に掲載。(C)はキャプテン。
熱海富士 大栄翔 貴景勝
北青鵬 湘南乃海
朝乃山 琴ノ若 霧島(C)
翠富士
宇良
翔猿 若元春 豊昇龍 阿炎
一山本
1.ドバイセヴンズ結果
女子
プールマッチ
アイルランド35-7日本、オーストラリア66-0日本、
日本12-21ブラジル
NZ19-14南アフリカ、NZ43-7英国、NZ29-21フィジー
9位・10位準決勝
英国0-21日本
9位決勝
日本12-5南アフリカ
準々決勝
NZ26-14ブラジル、アイルランド12-14カナダ、
フランス38-14フィジー、アメリカ5-32オーストラリア
準決勝
NZ21-19カナダ、フランス14-21オーストラリア
3位決定戦
カナダ5-26フランス
決勝
NZ19-26オーストラリア
男子
プールマッチ
NZ26-21カナダ、NZ14-12サモア、
NZ19-21南アフリカ
準々決勝
南アフリカ24-7オーストラリア、アイルランド24-29フィジー、
アメリカ0-40NZ、サモア14-21アルゼンチン
準決勝
南アフリカ14-7フィジー、NZ19-21アルゼンチン
3位決定戦
フィジー12-17NZ
決勝
南アフリカ12-7アルゼンチン
2. 関東大学ラグビー対抗戦Aグループ結果
成蹊7-43青山学院
順当。しかし、成蹊8位、青学7位で、両チームともに入れ替え戦へ。
帝京54-10慶應
順当。帝京は1位確定。慶應は5位。筑波が4位に食い込んだ。
明治58-38早稲田
100周年となる節目のゲームとなったが、対戦成績の明治41勝、早稲田55勝、2引き分けが示すとおりに、試合数は99試合目となった。しかし、周年記念のお祭り気分がゲームに乗り移ってしまったのか、前半は明治がアタックでミスを繰り返すが、早稲田が反則で自滅して、27-3と明治がリード。後半は、60分過ぎてから明治のディフェンスがガタガタになって、早稲田が2連続+3連続トライ。まるで、アタック練習のような格下チーム相手でも取れないようなイージーなトライの連続。それでも明治がトライを返して、どうにか勝っただけのゲーム。こんなラグビーをしているようでは、日本の大学ラグビーに未来はない。
3.各種ニュースなどから
(1)マコウは、NZのためにも強いオーストラリアが必要と強調
連続してRWCを優勝したキャプテンである、元オールブラックスのリッチー・マコウは、引退後はNZ南島でヘリコプターのパイロット(彼の家系はパイロットが多くいる)をしている一方、ラグビーのコーチングなどからは距離を置いている。そのため、今回のRWCはNZの一ファンとして応援していたが、数々の苦難を乗り越えた末に辿り着いた決勝で負けてしまったのはとても残念だったが、それがスポーツというものだと感想を述べている。
一方、長年NZのライバルであったオーストラリアは近年弱体化が進み、今回のRWCでは、エディー・ジョーンズの無謀な若返り方針でプールマッチ敗退という悲惨な結果となった。しかし、マコウが現役時代のオーストラリアは、皆強い情熱を持って激しくプレーする選手による優れたチームであり、その結果NZも強化できたため、NZには強いオーストラリアが必要だと主張している。そのためには、スーパーラグビーレベルで活躍することが前提であり、チームには情熱にあふれた良い選手が沢山いると期待している。
(2)フランス代表ファンによる、南アフリカ代表選手に対する脅迫
RWCでは、フランスが負けた準々決勝のレフェリーであったNZ人のベン・オキーフに対する、フランス代表ファンによる脅迫があったことが多く報告されている。一方優勝した南アフリカのSHコブス・ライナッハは、フランスのモンペリエーに所属しているが、「モンペリエーに戻ってくるな、戻ってきたら殺す」という脅迫を受けていることを公表した。
(3)RWC決勝のTMOトム・フォリーに対する脅迫
RWC決勝については、レフェリーのウェイン・バーンズに対するSNSでの脅迫が問題化しているが、一方オールブラックスのサム・ケーンをレッドカードにする判定の中心とみられている、TMO担当のトム・フォリーに対しても、多くの脅迫が殺到している。それらには、「お前の家族が交通事故に遭えばいい。そして俺はお前を押し倒して喉を切ってやる」というものがあった。また、子供の通う学校にまで脅迫メールが届いたという。
WRによれば、2,000件以上のSNSが1,600人の異なる者によって、レフェリーを批判する投稿があったことを公表しており、これらに対する本格的な(法的なものを含む)対応を検討している。またフォリーは、こうした「キーボードウォリアー(キーボードの戦士?)」が陰に隠れて行なっている行為に対し、とても卑怯だと強く批判している。
(4)ウェイン・バーンズが自伝でNZに言及
オールブラックスの負けた試合でレフェリーを担当することが多かった、イングランド人のウェイン・バーンズは、先のRWC決勝を担当した後に引退した。そして、自らのレフェリー経験に関する自伝「Throwing the Book 直訳は『本を投げる』だが、『ルールブックを適用する』と言う意味だと思う」を発表した。その中で、NZオールブラックスにちなんだエピソードに触れている。
元監督のスティーヴ・ハンセンは、フランスの決勝トライにつながるスローフォワード見逃しがあった2007年準々決勝フランス戦当時は、オールブラックスのアシスタントコーチであったが、その後監督に昇格した2018年に、ダブリンのアイルランド戦に負けた時、またもやバーンズがレフェリーだった。
この試合後にハンセンはバーンズに対して、「今日の試合を採点すれば、10点満点の9点だね。私のオールブラックスでの勝率は、君がレフェリーをしていない場合は91%だが、君がレフェリーをした試合では51%だ。君はレフェリーを辞めた方が良いね」と言われたという。
しかしバーンズは、ハンセンからは示唆されるところが多い良い関係を築いていたとして、2013年のオールブラックスがフランスに勝った試合後に、ハンセンに対して「オールブラックスのディフェンスが激しすぎて、レフェリングが難しかった」と述べたところ、「それは、早めに何が良くて何が悪いかの基準を示さなかったからでは?」と言われたが、この指摘を参考にして自分のレフェリングを改善できたと感謝している。
また、元オールブラックスのキャプテンであるリッチー・マコウは、2011年RWC決勝で対戦したフランスのイマノル・アリノドルキによる、「マコウはオフサイドを繰り返していた」という主張に象徴されるように、常時反則をしていたと言われており、またマコウからの強弁によりレフェリーは反則を容認していたという意見に対して、「マコウは良いキャプテンであるのみならず、賢明なキャプテンであった」として、これを全く否定している。
バーンズは、歴史的な誤審をした2007年以降、オールブラックスのゲーム担当を外されていたが(バーンズは「政治的理由だった」としている)、2009年トライネーションズのオールブラックス対スプリングボクス戦から担当に復帰した。その際、たぶん自分としてはレフェリーと言う人格を抜け出したくて、NZハミルトンの草の根ラグビーやスクールラグビーの試合を担当させてもらったが、試合を担当した選手たちからは「国際レベルのレフェリーに笛を吹いてもらったありがたい」という言葉を多く得たが、多くのファンからは引き続き誹謗中傷を受けたという。
そうした中でもバーンズは、NZに多くの良い友人を持つことができたが、2011年RWCの時は、NZの過剰なメディア報道も加わって、多くの人から、道を歩いているときに「とっとと国へ帰れ!」と言われた他、バーでビールを一人で飲んでいるときに、「この国に一体何しにきた?」と聞かれたので、「生活のためさ、正直に言って」とだけ答えた、と記している。
(5)サム・ケーンは、オールブラックスのセレクションポリシーの変更を要望
オールブラックスのキャプテンであるサム・ケーンは、リーグワンのサンゴリアスに期間限定で移籍したが、それは来シーズンのオールブラックス候補に入るため、早期にNZに戻る必要があったからだと認めている。
一方、現在NZ協会は、海外でプレーする選手はオールブラックスの対象にはしないというセレクションポリシーを維持しているが、同じように行ってきた南アフリカは、海外でプレーする選手もスプリングボクス候補に入れるように変更している。
この変更の結果、現在、リーグワンの各チームに多くのスプリングボクス選手がプレーしているが、彼らは毎年日本のシーズンが終わった後に南アフリカに戻ることで、継続してスプリングボクスの選手としてプレーしており、その成果が今回のRWC優勝となったとケーンは見ている。
またケーンは、海外のクラブラグビーは、英国やフランスのみにならず、日本のリーグワンもプレーのレベルが高いため、海外でプレーすることによるダメージはなく、むしろ良い影響があるので、NZ協会が早期に方針を変えることを要望している。
一方ケーンは、次期オールブラックス監督のスコット・ロバートソンと長時間の会話をしたことを公表し、自分のオールブラックス復帰等について話したということだ。ロバートソンは、多くのベテランを中心にしたオールブラックス選手が海外へ移籍することで、来年以降のスコッド編成に苦慮する状況となっているが、ケーンがNZ協会のセレクションポリシー変更に言及した背景には、ロバートソンの影響があると見られている。
(私見)
このNZ協会のセレクションポリシーについては、NZとヨーロッパ等との間では選手の収入に直結する大きな経済的格差があるため、もし海外でプレーする選手をオールブラックスの対象にした場合、国内でプレーする代表選手がいなくなってしまう恐れがあることから設けられたものだ。
また、もし海外でプレーしてもオールブラックスに入れるとした場合は、スーパーラグビーのNZ5チームが急激に弱体化する一方、若手の有望選手が早期に海外移籍する選択をする可能性が心配されている。そうした背景から、NZ協会はオールブラックスとして実績のある選手に対して、サブバティカルという長期休暇制度を設けてガス抜きを図ってきたが、このサブバティカルでは一年程度しか海外でプレーできないため、選手側の不満が出ている。
こうした状況から、現時点で考えられる解決案としては、南アフリカと同様に南半球にあるNZは北半球のラグビーシーズンとずれることから、海外の出稼ぎ先でプレーする一方、代表のテストマッチ期間はNZに戻るという案が出ている。ただし、これではスーパーラグビーのチームが弱体化することは防げない。そのためのアイディアとしては、スーパーラグビーでプレーを希望するリーグワンの日本人選手を含む北半球の選手を多く受け入れる、またパシフィックアイランダーの選手たちの受け入れ枠をさらに拡大するなどが考えられている。
しかし、いずれにしてもNZが国として経済的弱者であることから、問題解決は難しくなっているのが現状だ。
〇 キアラン・リードは反対
オールブラックスの前キャプテンであるキアラン・リードは、ケーンのいうような南アフリカを真似た海外でプレーする選手にオールブラックスの門戸を開くことは、NZ国内のプレーレベルを下げることになるため反対だと述べている。そして、現在のサブバティカル制度を維持していくことで、しばらくは問題に対応できるのではないかとしている。
(6)ウェリントン州代表のホームゲームは、スカイスタジアムから撤退
ウェリントンを代表するスタジアムは、クリケットにも対応しているスカイスタジアム(旧ウェストパックスタジアム)であり、ここではオールブラックスのテストマッチやスーパーラグビーのハリケーンズのゲームが開催されてきた。
一方、NZ国内選手権であるNPCで優勝経験のあるウェリントン・ライオンズは、これまでスカイスタジアムで開催してきたホームゲームを、観客数の減少に伴う収益悪化のため、ウェリントンから北西にあるポリルアのジェリー・コリンズ・スタジアム(元オールブラックスFLジェリー・コリンズにちなんだ名称)へ来年移転することを発表した。
ウェリントン州協会は、男女のウェリントン州代表や州内のグラスルーツ(草の根)クラブチーム活動などのため、シルバーレイクから多額の援助を受けることで運営を維持している。なお、サッカーのウェリントン・フェニックスが、スカイスタジアムからポリルアに移動することで収益改善をした前例を参考にして、今回の判断に至ったと見られている。
(7)オウウェン・ファレルがシックスネーションズへの出場を辞退
イングランド代表キャプテンであるSOオウウェン・ファレルは、自身のメンタル面の安定のため、来年のシックスネーションズへの出場は辞退することを発表した(年間を通じて、テストマッチに出ない可能性もあり)。また、その背景には、SNSによる自身への誹謗中傷があると公表している。
〇 キャプテン代行候補は6人
ファレルの一時的離脱で、イングランド代表はキャプテン代行を決める必要が生じているが、現時点で候補となるのは以下の6人と見られている。
ジョージ・フォード:RWCのアルゼンチン戦で活躍したキックの上手いSO。
エリス・ジェンジ:スクラムの強いPR。悪役のジョー・マーラーとは対象的な選手。
ジェイミー・ジョージ:HOとして信頼感あり。
マロ・イトジェ:U20時代から世界トップのLOとしてプレー。
アレックス・ミッチェル:RWCスコッドに途中から入り、その後先発に定着したSH。
オリー・チェッサム:RWCで頭角を現したLO。
(私見)
イトジェとフォードの二人が最有力である一方、ミッチェルは、スティーヴ・ボーズウィックにRWCスコッドから最初は外されていた経歴があるため、監督との信頼関係が難しいように思われる。実績からはイトジェ、SOというポジションからはフォードか(マーカス・スミスはFBに入ると思われる)。
(8)ボーデン・バレットは、2027年までNZ協会との契約を延長
NZ協会との契約延長が心配されていたボーデン・バレットは、2025年のスーパーラグビーからブルーズに復帰するとともに、2027年オーストラリアRWCまでNZ協会と契約を延長することを決めた。この結果、オールブラックスのベテランBKとして、スコット・ロバートソン新監督を支えていくことになった。
(9)カーターが注目する次のオールブラックスSOは?
元オールブラックスSOのダニエル・カーターは、現在の正SOリッチー・モウンガが日本へ移籍し、NZに戻ってこない意志を見せていることもあり、次のSOは誰になるかに注目している。
カーターは、一番手としては誰もが認めるとおりにダミアン・マッケンジーを挙げており、次に既にオールブラックスのスコッド入りをしているスティーヴン・ペロフェタが有力と見ている。また、ボーデン・バレットは、もしNZに戻ってきたら貴重な戦力となるが、彼の意志が未定なことを心配している(注、上記(8)のとおり、2027年までの延長を決めた)。
一方、カーターとしては若手の台頭を期待しており、クルセイダーズのファーガス・バーク、U20で活躍したライヴェズ・ライハナとタハ・カマラ、ハリケーンズのブレッド・キャメロンとアイダン・モルガン、ハイランダーズのアジャイ・ファレアファガとキャメロン・ミラーらの名前を挙げている。
(私見)
ボーデン・バレットは、NZに戻ってきても年齢的に難しい気がする。また、同様に既に新鋭とか若手という名称が消えている、ブレット・キャメロンとファーガス・バークについては、あまり期待できないのではないか。また、U20で活躍したライヴェズ・ライハナとタハ・カマラの二人は、2027年までにオールブラックス入りできるかの時間との勝負になりそうだ。
成長の時間が必要というのは、アイダン・モルガンにも言えるが、アジャイ・ファレアファガとキャメロン・ミラーの二人も、2027年までの著しい成長がない限りは難しい気がする。そういう観点では、FBながら既にオールブラックスXV入りしている、ルーベン・ラヴをSOに起用した方が良いのではないかと、私は考えている。