<ラグビー>ブレディスローカップ第4戦兼トライネーションズ第2戦の反省及びアルゼンチン戦に向けて
オーストラリア・ワラビーズ戦の22-24の予想外の敗戦について,オールブラックス監督イアン・フォスターが,反省を含めたコメントをしている。
「正直,ワラビーズが大きく違っていたとは思っていない」
「最初の20分間,ワラビーズに良いプレーからのトライを取られた場面を除いて,チームは満足できる創造的なボール扱いをしていたと思う。そして,狙うべきスペースにボールを運ぶ能力に欠けていたとも思っていない」
「チームは,もう少しのところまで出来ていた。それはコンビネーションやサポートプレーのわずかな差だったと分析している」
「このゲームについて語るべきことについては定かではないが,多くの良い点があったと思う」
「チームは多くのプレッシャーにさらされていたし,視野が狭くなっていた。さらにプレーすべき選択肢を狭くしていた。また方向性もはっきりしていなかった。ワラビーズの反応も予想外な部分があり,そうしたことが我々に脅威となっていた」
「何か問題がある対象に,ただぶつかるだけでは何も結果は出ない。ワラビーズに対してフィジカルだけで勝負しても容易に対応されてしまう。自分自身に対する不満であるのだが,チームは一端下がって,OK,今ここで何をすべきか,もう少しグランドを広く使えないか,見えている絵を変えられないか,といったことができていなかった」
「ワラビーズは,オールブラックスに対して非常に大きな気持ちを込めてプレーしてきた。土曜の夜は,まさにそうしたゲームの一つだった。世間の人たちは,既にブレディスローカップの保持が決まっているので消化試合と言っている(注:そのため,オールブラックスのモチベーションが下がっていたとの指摘)。もちろん,ブレディスローカップ保持は一番の目的だったし,それを達成した。しかし,今度はトライネーションズ優勝を目標に切り替えるようにした。そして,ワラビーズとの対戦で最低限必要となるものは示せたとも思う」
次のアルゼンチン戦に向けた,CTBアントン・リエナートブラウンのコメント:
「チームのマネージメントと選手が持っている,プレーの基準そのものは非常に高いレベルにある。それは,勝ち負けに関係なく,チームの基準を達成することが目的となる」
「そして,先週末のゲームでは,明らかにこの基準にチームは達していなかった。黒いジャージを着ての敗戦は,とても傷つくものだ。チームは,大きなプライドを持って試合に臨み,またチームは何が必要かも承知している。個人的にチームの基準に達していなかったことと,オールブラックスとしてチームに求められることができなかったことを,反省している」
「今週は,腹をくくってゲームに臨まねばならない。そして,チームが好転することを期待している」
【個人的見解】
既に書きましたが,オールブラックスは今年3試合を重ねて完成したAチームから,多くのメンバーを変えたBチームとしての初戦でした。対してワラビーズは,今年まだ勝てていなかった上に,オールブラックスに3連敗するというのは非常事態としかいいようがありません。両チームによほど大きな差があれば別ですが,少なくともオールブラックスとワラビーズの間では,オールブラックスが手加減し,かつワラビーズが120%の力を出してきた場合に,オールブラックスが余裕で勝てる差はありません。
今回は,Aチームと比較して60%の力しか出せなかったオールブラックスBチームに対して,ベストメンバーではないですが,これまでの4試合で修正を積み重ねてきて実力がアップしたワラビーズが,さらにメンタルの力も加えて120%の力を発揮して,ようやく2点差で勝利したのだと思います。
従って,この試合だけで,フォスター監督のオールブラックスは弱いと決めつけるのは時期尚早だと思います。
また,次のアルゼンチン戦は,これまでオールブラックスに勝ったことがない相手(昔にアルゼンチンで引き分けたのが1回だけ)である他,負けた試合の次のオールブラックスは,今回のワラビーズのように120%の力を発揮しますので,ここは安心して見ていられると思います。
注目すべき点は,ワラビーズ戦で露見した,メンバーを代えたときのコミュニケーション及びリーダーシップグループの確立。さらに,新人の経験値を増やすこと,個々の選手のスキルの向上となるでしょう。
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