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<ラグビー>2021年のスーパーラグビー

1.スティーヴ・ハンセン前オールブラックス監督が、オーストラリアの強化案を提言
参考とした記事
https://www.nzherald.co.nz/rugby/news/article.cfm?c_id=80&objectid=12360312

前オールブラックス監督として、2011年及び2015年のRWC連覇という偉業を成し遂げたスティーヴ・ハンセン監督が、来年以降のスーパーラグビーのフォーマット再構築に関して、オーストラリアチームの強化案を提言している。

「オーストラリアが、現在の全4チーム(ワラターズ、レッズ、ブランビーズ、レベルズ)を新しいスーパーラグビーに参加させたいという気持ちはわかる。オーストラリア全土でのラグビーを発展させたいからだ。しかし、国際試合のレベルでは、そうしたことがスーパーラグビーで裏目に出てきた。」

「スーパーラグビーでは、3チームに減らした方がいい。一方、スーパーラグビーは現在のフォーマット(4ヶ国から全13?チームが参加?)を維持する。そうすれば、オーストラリアはもっと強くなり、さらに勝利を重ねて、良いメンタルと良い競争力を持って国際試合を迎えられるだろう。」

「NZが強い理由の一つとして、マイター10カップ(州代表リーグ)からより高いレベルへ行くシステムがある。もし選手が高いレベルでプレーできないと考えたら、行くことはしない。その代わり、そこ(マイター10カップ)でプレヤーとしての成長を続けられる。それが、オーストラリアにはない。」

「アオテアロアでは、優れたラグビーが見られた。非常に意味のある大会だった。」
「プレヤーの観点からは、世界中を移動することなくプレーできるので、(余分な疲労がないため)プレーの質の維持が出来た。さらに新たな才能を見いだせた。」
「どのチームのメンバー表を見ても、才能あるプレヤーを見つけられるくらいだ。」

これらに対して、オーストラリア協会としては、「スーパー8」のフォーマットに関心を持っていると見られている。これは、NZ、オーストラリア、南アフリカからの国内予選を勝ち抜いた2チームずつと、南米(アルゼンチン)及び日本からの1チームずつを加えた8チームで構成される大会だ。

しかし、TV放映権及び特にオーストラリアで競合する他のスポーツとの兼ね合いが課題となっている。


2.南アフリカの4チームが、プロ14入りの意向
参考とした記事
https://www.nzherald.co.nz/rugby/news/article.cfm?c_id=80&objectid=12360558

英国のザ・デイリー・テレグラフ紙によれば、南アフリカのブルズ、ストーマーズ、ライオンズ、シャークスの、スーパーラグビー4チームは、2021年シーズンから北半球のプロ14リーグに参加する意向を示していると、報道している。

報道によれば、南アフリカ協会チーフエクゼクティヴのジュリー・ルーは、プロ14参加に強い関心を持っており、既に同リーグ関係者と非公式の協議を持っているという。また、2017年からプロ14に参加している南アフリカの2チームのうち、チーターズは残留する見込みだが、成績不振のサウザンキングスは、COVID19による財政難も影響して、今シーズン限りで脱退すると見られていることも関係している。

プロ14リーグは、イングランドのプレミア―シップやフランスのトップ14と比較して、リーグのレベルや経営状態でより劣るものとなっているのが現状だ。もしも南アフリカから強力な4チームが参加することになれば、リーグのレベルアップに加えて、大きな経営改善が期待できる。

現在のプロ14は、アイルランドから4チーム(ダブリン・レンスター、リムリック・マンスター、ベルファスト・アルスター、ゴールウェイ・コナート)、スコットランドから2チーム(エディンバラ、グラスゴー・ウォリアーズ)、ウェールズから4チーム(ニューポート・ドラゴンズ、スウォンジー・オスプリーズ、ラネリ・スカーレッツ、カーディフ・ブルーズ)、イタリアから2チーム(トレヴィゾ・ベネトン、パルマ・ゼブレ)、それに南アフリカのブルームフォンティーン・チーターズとポートエリザベス・サウザンキングスが参加している。

将来的には、北米のチームを巻き込むことにより、より大きな経済的発展を目指している。また、南アフリカチームにとっては、現行のスーパーラグビーのように、時差の大きいアルゼンチンや南太平洋(オーストラリア及びNZ)へ遠征しないで済むメリットがある。

南アフリカ協会は、来月に本件に関する会議を行う予定でいるが、プロ14チームからは、それよりも早く(移行を)発表する可能性がある。

【個人的見解】
スティーヴ・ハンセンの意見は、要するに原点のスーパー12に戻せということだと思います。これは、NZから5チーム、オーストラリアから3チーム(ワラターズ、レッズ、ブランビーズ)、南アフリカから4チーム(ブルズ、シャークス、ストーマーズ、ライオンズ)で構成されていたものです。

この当時は、名実ともに世界トップのリーグとして君臨し、これに参加した3ヶ国は、その後のトライネーションズで代表レベルを切磋琢磨することによって強化され、北半球のラグビーを大きく引き離していました。また、オーストラリア・ワラビーズが、最近では最も強かった時期に重なります。

ただし、アルゼンチンの存在や、2019年大会でベスト8入りした日本、そしてWRのグローバル化の意向を考えると、単純に「昔に、原点に戻る」ことは難しいでしょう。

さらに、南アフリカチームが北半球リーグに参加することになれば、南半球リーグのレベル維持に苦労しそうです。ただし、南アフリカにとっては、経済面を筆頭に良いことずくめかも知れませんが、オーストラリアやNZとのゲームが無くなり、比較的弱くかつ創造性に欠けるプレーが中心である北半球リーグに入ることは、自国ラグビーのレベル低下の心配が出てきます。そのため、南アフリカにとっては、ラグビーのみに限定すればデメリットの方が多くなることでしょう。

一方のオーストラリア及びNZとしては、近隣のフィジー、トンガ、サモア及び日本を入れたリーグとして再構築するのが唯一の選択肢に思えます。一番心配なのは、TV放映権による経済収支ですが、北半球以上の面白くエンターテイメントに富むラグビーを見せられれば、世界中のスポーツファンから支持され、またWRのグローバル化にも貢献できるように思います。

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