<ラグビー>2024年シーズン(9月第一週その2)
(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)
〇 管理員さんから聞いた、最近のマンション管理の問題。マンションに置配するものが多いが、配達員に外国人が多いこともあり、誤配がよく発生している。そして、配達業者に連絡しようとしても、宛先だけの記載が運送した物にあるため、配達業者に連絡できないケースがある。その場合は、同じマンション内の部屋番号が違うだけであれば、正しい部屋番号の居住者に連絡するが、管理員さんの勤務時間帯に相手が不在の場合は、連絡を取ることに苦労する。また、中には違うマンションが宛先になっているものもあり、配達業者に連絡がつかないときは、管理員さんが宛先のマンションまで配達しなければならない。これは理不尽でしかない。配達業者の苦労も理解するが、誤配のことも想定した対応を設けるべきであろう。
〇 大衆人気はそのまま正義にはならないことは、過去のヒットラー人気から証明されている。これが芸能の世界であれば、人気=正義となるのだが、その他の分野には該当しないと思う。そして、総じて人気なるものは、その背景に不明なものが多い。例えていえば人気が人気を呼ぶことすらある。そこには反省とか倫理観などを認めることはない。だからこそ、人気というものは政治などの分野には適応してはならないと思う。
1.ザ・ラグビーチャンピオンシップ:TRC(第四週結果)
南アフリカ18-12オールブラックス(HT3-9)
オールブラックスは、WTBケイリブ・クラークとFLイーサン・ブラカッダーの怪我もあり、大幅にメンバーを代えてきた。6番FLにワレス・シティティが初先発、20番にルーク・ジェイコブソン、SHはコルティス・ラティマーがそれぞれ先発し、TJ・ペレナラはリザーブに下がった。両WTBは、11番にマーク・テレア、14番にセヴ・リースが先発し、FBにウィル・ジョーダンがWTBから移動して、ボーデン・バレットは23番のスーパーリザーブとなった。
スプリングボクスのキャプテンであるFLシヤ・コリシは、先週の試合でFLサム・ケーンから受けたタックルで頬骨を骨折し、この試合は欠場すると見られていたが、6番FLで先発した。また、先週リザーブに回っていたエベン・エツベスも4番LOで先発した。SOのサッシャ・フェインベルグムゴメズルは22番に下がり、ベテランのアンドレ・ポラードが先発、FBで先発するウィルー・ルルーともにゲームをリードした。リザーブは、通常のFW5人+BK3人としており、得意の「ボンブ(爆弾)スコッド」にはしなかったが、19番にクワッガ・スミスが入っているため、LOのリザーブはいない。
試合は、両チーム合わせて4枚もシンビンが出る激しい戦いとなった。前半、オールブラックスは果敢にアタックをするがトライを取り切れず、PGで加点するだけの不得意とする展開になる。それでも3-9となんとかリードしたが、トライを取れないのでは勝負にならない。後半に入ってから、南アフリカにこの試合最初のトライを取られてあっさりと逆転される。それでも、オールブラックスはPGで加点して、59分には12-13と1点差まで迫った。しかし、その後PGを連続して失敗した一方で、73分には致命的なシンビンを受けてしまい、FWの数的不利な状況から南アフリカに2本目のトライを献上して、勝負を決められてしまった。
オールブラックスは、これで昨年から対南アフリカ戦4連敗となり、1949年以来の最悪な結果となった。また、南アフリカはほぼ手中にしたTRC優勝のみならず、オールブラックスとの対戦の勝者に与えられるフリーダムカップを、2009年以降15年目にして手にすることとなった。南アフリカは、現時点で名実ともに世界王者であることを証明した他、RWC3連覇という前人未到の記録に挑むこととなる。
負けたオールブラックスは、前任のイアン・フォスター監督の成績不振から、待望の監督就任となったスコット・ロバートソンであったが、相手が現時点で世界最強のスプリングボクスとは言え、この連敗(フォスター時代に連敗、そしてロバートソンになってからも連敗)は、コーチとしての手腕に疑問を抱かせることになっても不思議ではない。しかし、現時点では、ロバートソンに代わるような良いコーチがいないこともあり、フォスター時代のような国を挙げての監督批判にはなっていない。TRCの残るオーストラリアとの連戦では、相手が弱体化していることもあり、オールブラックスが負ける可能性は低いだろうが、真価を問われるのは、秋のイングランド、アイルランド、フランス、イタリアとの4連戦だろう。ロバートソンがコーチとしての評価を持ち直すためには、ここで最低でも全勝することが求められる。
なお、この4連戦の前にオールブラックスは日本と対戦するが、現在の日本は明らかにティア2レベルの実力に低下しているので、オールブラックスにとっては、経験値の浅い選手を試す場になることが想定される。そのため、現在手詰まり状態となっている、FW3列、SH、SO、13番CTB、FBについては、ワレス・シティティ(あるいは、現在スコッド外のホスキンス・ソツツ)、ノア・ホッサム(怪我から戻れば、キャメロン・ロイガード)、スティーヴン・ペロフェタ、ビリー・プロクター、ルーベン・ラヴらを試すことになるのではないか。また、彼らのような新鋭が出てこない限りは、現状から一気にチームを強化することは難しいように思える。特に世界のSO製造工場であるNZに、新たな逸材が出てきていないのは気にかかる。今年のU20世界大会では3位に入っているため、さらなる若手の成長を期待したい。なお、リッチー・モウンガなどの海外でプレーする選手にも代表資格を認める件は、これからさらに重要な検討課題になるだろう。
アルゼンチン67-27オーストラリア(HT17-20)
アルゼンチンのHOアガスティン・クレヴィは、先週の試合で代表からは引退をしており、今後はクラブレベルのゲームでプレーを続行する予定としている。クレヴィの後継者であるHOフリアン・モントーヤが、先発でプレーして100キャップを達成した。クレヴィ、ニコラス・サンチェス、パブロ・マテーラに次ぐアルゼンチンで4人目の100キャップ達成者となった。また、SOはトマス・アルボルノズが先発し、サンチャゴ・カレーラスは23番に下がった。
オーストラリアは、17番PRジェイムズ・スリッパーが139キャップを達成し、ジョージ・グレーガンの持つオーストラリア最多記録と並んだ。TRCの残るオールブラックス戦でプレーすれば、最多記録更新となる。SOの先発はベン・ドナルドソンが入り、22番のリザーブにはトム・ライナーが入った。新鋭マックス・ジョーゲンセンが14番WTBで初先発した。キャプテンは引き続きNO.8のハリー・ウィルソンが務めた。
試合は、オーストラリアが、前半30分までに3-20とリードしたが、その後アルゼンチンの猛反撃を受け、なんとか3点差で前半を折り返す。後半は、アルゼンチンが一方的に7トライを重ねるのに対して、オーストラリアは1トライを返すのが精一杯の劣勢となり、アルゼンチンの歴史的な圧勝となった。
オーストラリアが67点を取られて負けるのはチーム史上初めてとなり、また40点差で負けるのは、2008年に南アフリカに53-8で惨敗して以来二番目に多い記録となった。エディー・ジョーンズが崩壊させたオーストラリアは、ジョー・シュミットによって立て直されつつあったが、このアウェイとはいえアルゼンチン戦の惨敗は、オーストラリアが長期的に弱体化していることを示すものといえる。そのため、オールブラックスが伝統的なオーストラリアとのライバル関係から、南アフリカとの長期の相互遠征に強化方針を切り替えたのも、これでは反論することはできないだろう。オールブラックスにとっては、オーストラリアの早期の立て直しを期待したい。それには、従来から議論されている、海外でプレーする選手の代表規定を、南アフリカのように撤廃するしかないのではないか。
圧勝したアルゼンチンは、FW3列及びBK、特にSOトマス・アルボルノズが、新人とは思えない素晴らしいプレーでチームを大勝に導いたことは、アルゼンチンの実力が大幅に上がっていることを実感させた。次に対戦する南アフリカとの連戦が非常に楽しみとなった。
2. パシフィックネーションズカップ結果
トンガ19-50フィジー(HT19-26)
フィジーは、ラインアウトからのモールでトライを取るなど、FWでもトンガを圧倒した。トンガも、前半はディフェンス裏へのキックから2トライを奪ったものの、後は手も足もでなかった。フィジーは相当に強い。
日本41-24アメリカ(HT24-10)
日本は、ずっと先発で出場していたFB矢崎由高がメンバー外となり、山沢拓也がFBで先発した。日本はキックの蹴れるBK不在という弱点があるため、サッカー経験のある山沢のキック力が期待された。また、アメリカはランキングも低く、日本にとってカナダ同様に戦いやすい相手なので、経験値の浅いメンバーには良い経験となった。
試合は、先週のカナダ戦をコピーするような前後半とも似たような展開であったが、日本はハンドリングエラーを除けば、無駄かつ無意味な超速ラグビーをなんでもかんでもやることがなくなり、ペース配分を考えたゲームメークを実行する部分で進歩していた。また、もともとキックの上手いFB山沢拓也に加え、SO李承信と22番立川理道も、キックに進歩があったことが、ゲームに安定感をもたらしていた。
MOMは、あらゆる局面でミスなく活躍した13番CTBディラン・ライリーで、FWでは6番FLティエナン・コストリーと5番LOワーナー・ディアンズが仕事量の多い働きをしていた。BKではライリー、FWではコストリーとディアンズが、これからの日本代表をリードしていくことになると思う。また、次のキャプテンはこの3人の誰かから選ぶのが妥当ではないか。しかし、エディー・ジョーンズ監督は、絶対に違うことをやってくるだろうが。
これで来週の準決勝は、フィジー対アメリカ、サモア対日本となった。フィジーの安定した強さは証明済みなので、フィジーが確実に勝ち抜くことが予想される。日本は、サモアに最近勝利しているとはいえ、現在のティア2レベルに劣化したメンバーとチームでは、簡単に勝利することは難しいだろう。弱小のカナダとアメリカになんとか連勝した(本来は圧勝しなければならない相手)日本だが、フィジーに勝つのは限りなく難しい。そしてサモア戦は、今シーズン前半の日本代表の位置付けを見る重要なポイントになると思われる。ここで惨敗するようであれば、エディー・ジョーンズはコーチとして失格と言われても仕方ないのではないか。
3.その他のニュースなど
(1)オールブラックスとスプリングボクスが、2026年から4年毎に相互に長期遠征することに合意
RWCが始まる前の世界のラグビー界では、強豪国同士で相互に長期遠征しあい、そこで複数のテストマッチに加えて地域代表クラブとの試合をすることが通常だった。現在この形態が残っているのは、4年ごとに南半球3チーム(南アフリカ、オーストラリア、NZ)へ順番に遠征するブリティッシュアンドアイリッシュ・ライオンズだけとなっている。
今般、オールブラックスとスプリングボクスは、2026年からこの従来の長期遠征を再開し、また4年ごとに行うことに合意した。現時点では、WRからの承認を待つだけとなっているため、実施は確定的と見られる。最初となる2026年は、オールブラックスが、1996年以来の30年ぶりとなる南アフリカへ長期遠征することとなり、テストマッチ3試合を含む8試合を予定している。テストマッチ以外の対戦チームは、現在北半球のユナイテッドラグビーチャンピオンシップに参加している、ブルズ、ライオンズ、シャークス、ストーマーズの4チームと、準代表となる南アフリカAとなる見込みだ。
また、4試合目となるテストマッチを、ロンドンあるいは2027年にRWCを開催するアメリカで行う予定としており、現在実施されているザ・ラグビーチャンピオンシップ(TRC)は、大きく影響を受けることとなる。特にオーストラリア及びアルゼンチンと南アフリカとの対戦は、2026年以降は年間1試合しか組めないことになるため、現行の2試合を継続するための努力をしている。しかし、シックスネーションズ6チームとTRC4チームにおそらく日本とフィジーを加えた、南北12チームによるネイションズチャンピオンシップも始まるため、ますます日程が厳しくなることが予想される。
このNZと南アフリカが相互の長期遠征を復活させた背景には、スーパーラグビーから南アフリカチームが外れた結果、リーグのコンペティションとしての実力が大きく低下してしまったこと、そしてTRCだけでは、お互い代表チーム強化のための十分な試合経験を積めないことが挙げられる。しかし、ここからはみ出す形になるオーストラリアは、今後ますます代表強化の機会を失うことになる他、またアルゼンチンにとっては、これまでの代表強化に大きく寄与してきたTRCのレベル低下という問題にそれぞれ直面することになる。
なお、TRCは、当初のNZ、南アフリカ、オーストラリアによるトライネーションズから、その後アルゼンチンを加えることで発展してきた。しかし、近年は人気が落ちているため、日本などの新たなチームを巻き込むことで、活性化しようという動きが出ている。しかし、ネイションズチャンピオンシップとの兼ね合いも出てくることから、4チームによる1試合だけの対戦を継続しつつ、日本などを加えて5チーム体勢にすることで、試合間隔を維持することが想定される。
また、TRCの下部リーグでもあるスーパーラグビーも、南アフリカとアルゼンチンが抜けた後、オーストラリアとNZにフィジーと南太平洋合同チームを加えることで存続しているが、TRCの変化に伴い、スーパーラグビーも再編成の必要に迫られている。そのため、日本からもリーグワンの上位2チームが参加するアイディアが出ているので、今後の成り行きに注目したい。
(2)小林深緑郎さん逝去(75歳)
今でこそインターネットで、世界のラグビー事情は手に取るようにわかりますが、それが全くない時代に、世界ラグビーの最新情報を「ラグビーマガジン」に掲載していただき、いろいろと勉強させてもらいました。最近は、Jスポーツの解説にも出なくなっていたので、やはり年齢から引退されたのかなと思っていたのですが、たまにラグビー番組に出演されていて、その健在な姿を拝見して喜んでいました。死因は突然の心不全ということですが、ラグビー好きとしての人生を全うされたことと思います。長い間の多大なラグビーへの貢献、ありがとうございました。きっと天国では、多くのレジェンドたちと再会して、大好きなワインを酌み交わしていることでしょう。心よりご冥福をお祈りいたします。
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