見出し画像

<ラグビー>2024年シーズン(9月第四週)

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)

〇 ウクライナとパレスティナで戦争が始まったのは、ジョルジュ・バタイユのいう剰余(呪われた部分)が、新型コロナウィルスに対する過剰な検疫措置によって、人々の剰余が過大に蓄積された結果ではないか。新型コロナウィルスの過度な規制がなければ、人々の剰余は適度に浪費されていたため、戦争は起きなかった可能性がある。
 
〇 ベドウィンは砂漠を家族単位で移動するが、夏のオアシスには部族や氏族が一か所に集合する。その他の季節は、ラクダ、山羊、羊の放牧のための草地を求めて長距離の移動をするのだが、移動先や移動途中に出会った別の家族(だいたい同じ氏族や部族の場合が多い)と、同じ場所にテントを張り、食事を共にすることがある。この食事を「ダール」と称し、そうしたつながりを「ダールの結びつき」と称している。

 ところで、インド地域でもっとも安いカレー料理として、「ダル」というのがある。これはひよこ豆を、ターメリックを中心にした香辛料で煮たもので、白米などにかけて食べる。インドではどこにいても食べられる料理で、しかも手頃且つ安価だ。もしかすると、このインドの「ダル」を食べることが、ペルシャを経由してアラブに入り、「ダール」になったのではないかと想像するのは楽しいものだ。


1.ザ・ラグビーチャンピオンシップ(TRC)(第6週結果)

オールブラックス33-13オーストラリア(HT19-13)


 膝の怪我が心配されたオールブラックス12番CTBジョルディ・バレットは、検査の結果6週間の欠場となったが、秋のヨーロッパ遠征には復帰する見込みである。ジョルディの代わりにアントン・リエナートブラウンが先発12番に抜擢された。SHは、先発にTJ・ペレナラが戻り、コルティス・ラティマーが21番のリザーブに下がった。

 SOはダミアン・マッケンジーがずっと先発を務めてきたが、22番のリザーブに下がり、FBのボーデン・バレットをSOに移動させた。この結果、ウィル・ジョーダンがFBに移動した。また、リザーブでは、19番LOにパトリック・ツイプロツ、20番FLルーク・ジェイコブソン、23番デイヴィット・ハヴィリが、それぞれメンバー入りした。

 7番FLサム・ケーンが、13人目の100キャップとなった。歴代100キャプ保持者は、サムエル・ホワイトロック(153)、リチャード・マコウ(148)、ケヴィン・メアラム(132)、ボーデン・バレット(130 更新中)、キアラン・リード(127)、アーロン・スミス(125)、トニー・ウッドコク(118)、ダニエル・カーター(112)、ブロディー・レタリック(109)、オウウェン・フランクス(108)、マア・ノヌー(103)、ミルス・ムリアイナ(100)となっている。

 オーストラリアは、WTBマリカ・コロイベテをメンバー外とした一方、初先発となるディラン・ピーチを11番に入れた。また、SHの先発をジェイク・ゴードン、21番リザーブをテイト・マクダーモットにし、ベテランのニック・ホワイトをメンバー外にした。オーストラリア最多キャップとなったジェイムズ・スリッパーはメンバー外となり、17番PRにアイザック・カレアを入れ、22番SOのリザーブは、トム・ライナーからベン・ドナルドソンに代えた。23番にジョシュ・フロックが入った。

 ウェリントンで成績が悪かったオールブラックスだが、ペレナラとケーンのNZ最後のテストマッチになる可能性が大きいというモチベーションもあり、ワラビーズ相手に連勝した。後半60分以降に失速する悪癖も(一時的かもしれないが)改善された。

 マッケンジーに代わって先発SOに入ったボーデン・バレットがアタックで良く機能した他、12番に入ったリエナートブラウンも良いつなぎのプレーを見せ、FBウィル・ジョーダンのアタックに生かされていた。また、6番FLワレス・シティティはアタックで大きく貢献しており、オールブラックスのFW3列の将来を担うホープとして存在感を強くしている。

 なお、この勝利は、後述するウェイン・スミスによる、一時的ではあるがコーチングが好結果をもたらしたのではないか。そして、秋のヨーロッパ遠征では、SHキャメロン・ロイガード、CTBビリー・プロクター、FBルーベン・ラブらが参加することが予想されるので、さらに改善・進化した姿を見せられるのではないか。

 負けたワラビーズは、7番FLフレイザー・マクライトが、試合で最初のトライを挙げる活躍をしたが、その後はPGのみの得点となり、後半は無得点に抑えられた。伝統のブロディスローカップに完敗した上に、今年のTRCでは最下位となってしまったが、ワラビーズのこの凋落ぶりは、名将ジョー・シュミットをもってしても回復できないほど深刻になっているようだ。秋のヨーロッパ遠征での巻き返しに期待したい。

南アフリカ48-7アルゼンチン(HT27-7)


 南アフリカは先週の惜敗を受けて、先発9人を変更した。HOボンギ・ムボナンビ、3番PRフランス・マルアーブ、6番FLシヤ・コリシ、7番FLピータースティフ・デュトイ、SHジェイデン・ヘンドリクス、SOマニー・リボック、12番CTBダミアン・デアレンデ、14番WTBチェスリン・コルベ、そして4番LOエベン・エツベスというオールブラックスに連勝した時のメンバーを揃えてきた。

 またエツベスは、ビクター・マットフィールドの持つ最多キャップ記録127を更新した。なおリザーブは、通常のFW5人+BK3人にしているが、23人のメンバー中19人が2023年RWC優勝経験者となっている。

 アルゼンチンは、優勝を決める大事な最終戦に先発7人を代えてきた。大活躍したSOトマス・アルボルノズは継続して先発したが、SHをゴンザロ・ベルトラノウ(メンバー外)からゴンザロ・ガルシアに代えた。リザーブ21番にはラウタロバザン・ヴェルツが入った。12番CTBにサンチャゴ・ショコバレス、13番にマティアス・モローニを入れ、ルキオ・チンチは22番のリザーブに下がった。14番WTBには、セヴンズで活躍したロドリゴ・イスグロを初先発させ、サンチャゴ・カレーラスがFBに移り、23番にファンクルーズ・マリアが入った。

 HOフリアン・モントーヤはキャプテンとして39試合目となり、ヒューゴ・ポルタの持つ歴代3位のキャプテンとしての試合数を抜いた。LOは、4番ペドロ・ルビオロ、5番トマス・ラヴァニーニがそれぞれ先発し、フランコ・モリーナがリザーブ19番となったため、ベテランのグイド・プッティはメンバー外となった。ホアキン・オヴィエドがNO.8に戻り、両FLはファンマルティン・ゴンザレスとサンチャゴ・グロンドーナとなり、パブロ・マテーラは20番のリザーブに、マルコス・クレメールは怪我で欠場となった。

 試合は、南アフリカが順当に得点を重ねていき、20分にアルゼンチン唯一のトライを返されたが、22分のアルゼンチンのシンビンから、さらに2トライを加えて、前半を27-7とリードした。後半は、得点できない時間帯が続いたが、アルゼンチンの55分のレッドカードと67分のシンビンにより、67分以降は、15人対13人という圧倒的な数的有利を生かして3連続トライを挙げて、大勝した。

 この結果、2019年以来のTRC優勝となった。個々の選手では、7番FLピータースティフ・デュトイ、SOマニー・リボック(先週の試合で最後の逆転のPGを失敗していた)、FBアフェレレ・ファッシらが、良い活躍を見せた。先週はアルゼンチンに惜敗したが、この大勝となった試合を見れば、現時点で世界トップの座にあることは間違いない。2027年RWCまで、(年齢を重ねるため)同じメンバーで戦えるとは思えないが、3連覇へ向けて順調に進んでいる。

2.その他のニュースなど


(1)ウェイン・スミスがオールブラックスを修正

 世界のラグビー界の中で、その優れた見識と実績とによって「プロフェッサー(教授)」と尊称されているウェイン・スミスは、現在NZ協会のパフォーマンスコーチ(コーチに対するコーチ)として、ブラックファーンズ及びオールブラックスを見ている。

 ブラックファーンズについては、2022年の女子RWCにおいて、それまで不安定だったチームを短期間で立て直し、決勝では絶対的な不利を予想されたフィジカル自慢のイングランドを、まるで牛若丸が弁慶を倒したような、知的かつエンターテイメントな理想的ラグビーで勝利を得ることに大きく貢献していた。それはまさに「スミスマジック」を見せられた瞬間だった。

 またスミスは、日本の神戸スティーラーズでも同様に、それまで不振だったチームを短期間で立て直した実績を持っている(そして、スミスの関与が薄れた神戸は、成績が下降した)が、このたび、オールブラックスのブロディスローカップ第二戦かつTRC最終戦に向けて、チームの立て直しのため、一時的にキャンプに参加した。

 スミスに期待されているのは、最後の20分間にディフェンスがもろくなることを改善すること。そして、ウェリントンで、2018年以来テストマッチで勝利を記録していないジンクスを覆すことの二つである(上述のように、スミスのコーチングは良い結果をもたらした)。

 元ハリケーンズ監督であり、また現在オールブラックスのアシスタントコーチであるジェイソン・ホランドは、スミスの頭脳がチームに注入されることの効果は絶大であると称賛している他、先週のワラビーズ戦でようやく本領発揮となったウィル・ジョーダンも、スミスからの短いアドバイスが役立ったと喜んでいるが、そうした成果が出たと言える。

 なお、スミスは、現オールブラックス監督のスコット・ロバートソンとは、クルセイダーズ監督時代の1997年から1999年、そしてオールブラックス監督時代の2000年から2001年にかけて、コーチと選手の関係であったため、相互の信頼は厚いものがある。

(2)レスター・ファインガアヌクがオールブラックスに復帰予定

 オールブラックスで6キャップを得た後、2023年RWC前にツーロンへ移籍してしまった、トライゲッターのCTB/WTBのレスター・ファインガアヌクは、ツーロンとの契約を終了して、クルセイダーズへ移籍することが報道されている。これが実現すれば、海外でプレーする選手がオールブラックスでプレーできないという規定から外れるため、秋のヨーロッパ遠征からオールブラックスに復帰する可能性が浮上している。

 ファインガアヌクは、ツーロンで13番をプレーしており、オールブラックスに復帰した場合は、適性が問題視されているリエコ・イオアネとの13番のポジション争いがより激化すると思われる。また、13番候補には、アントン・リエナートブラウン、ビリー・プロクターもいるので、彼らによるハイレベルの戦いになれば、オールブラックスはさらに戦力アップできるだろう。

 一方、監督のスコット・ロバートソンとしては、日本でプレーするSOリッチー・モウンガをオールブラックスに戻したい意向が強く、オールブラックスの選出基準の変更あるいはモウンガの契約変更などを模索していると報道されている。もしこれが実現すれば、オールブラックス史上画期的な選出基準の変更となる。

(3)過去20年間で最多得点差となったテストマッチ

 2027年RWCの南米予選で、コロンビアがコスタリカを136-0で破り、2004年のアルゼンチン147-7パラグアイ以降の過去20年間で、最多得点差(歴代7位)の結果となった。なお、歴代最多得点差は、アルゼンチン152-0パラグアイ、日本155-3台湾となっている。

<個人的見解>
 こういう試合は、高校ラグビーの地区予選でも見られるが、野球やボクシングのように、勝利が確定した時点で、怪我予防も考えてコールド(試合放棄)などの対応をすべきではないか。また、WR(ラグビー協会)は、RWC(ワールドカップ)の収益で喜んでいるのではなく、こうしたミスマッチを如何に防止するかを考えるべきではないか。もちろん、それは日本の高校ラグビーや大学ラグビーにも当てはまる。プレーする側も見る側も、わくわく楽しい試合を企画することが、運営側に求められているのではないか。

(4)WXVの結果

南アフリカ31-24日本(HT17-12)
 ホームの南アフリカに、日本は負けた。56分に24―24の同点に迫ったものの、その直後にトライを取られて勝負を決められた。
スペイン83-0マダガスカル
オーストラリア37-5ウェールズ
イタリア0-19スコットランド
フィジー38-3香港
オランダ8-8サモア
アメリカ21-61イングランド
カナダ46-24フランス
ブラックファーンズ27-29アイルランド(HT17-17)
 まさかのノーサイド直前の同点トライと勝ち越しコンバージョンで、無敵のブラックファーンズがアイルランドに負けてしまう。ここにもウェイン・スミスの出番がありそうです。

(5)関東大学対抗戦 日体0-101明治(HT0-61)


 いわゆるミスマッチの試合であり、明治はミスがあってもミスにならないという、まったく緩い試合展開になってしまったが、それでもいくつかは見るべきところがあった。

 特にSO伊藤龍之介は、ランナー及びパッサーとして優れた才能を見せており、将来が期待されるプレー振りだった。また、11番WTB海老澤琥珀は、トライゲッターとしてだけでなく、トライアシストをする優れたパッサーの役割を見せており、これは非常に優れた才能だと思う。エディー・ジョーンズが代表に抜擢するのも納得できるプレーだった。

 4番LO田島貫太郎の活躍も目立っていたが、彼は将来的にはブラインドサイドFLで大成するような感じがしている。走力があり、またセットプレーで気の利いたプレーができるので、LO二人に次ぐ三人目のラインアウトジャンパーとして重宝になりそうだ。

 もちろん、TV解説者から大絶賛の、ブレイクダウンの良いオーバーを繰り返す、NO.8木戸大士郎、プレースキックの安定している12番CTB平翔太、攻守に大活躍した大川虎拓郎、藤井達哉の両FLも勝利に大きく貢献していたことを記したい。なお、木戸のような地味なプレーは、目立たないために日本代表に抜擢されない可能性はあるが、こういう地道なプレーをする選手こそは、チームとして貴重な存在になるので、高く評価すべきだと思う(例えば、リチャード・マコウやデイヴィット・ポーコックなどは、こうしたタイプの選手だった)。

 なお、チームとしては、まだまだ成長途上なので、途中に帝京戦や早稲田戦という山場はあるが、大学選手権優勝に向けて順調に整備されていくことを期待したい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?