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なぜ作品を制作するのに歴史を知る必要があるのかと、写真史の学び方について

※今回は僕の経験は含まれますがアイデア自体はオリジナルじゃないので全文無料です

現代ではアート作品を制作するにあたって美術史を知る必要がある、ということがしばしば言われます。

でも僕自身、最初はいまいちピンと来てなかったというか、
正直知らなくてもいいと思ってたのですが、最近やっと腑に落ちるようになりました。

これまで多くの作品が制作され、今はその数が増え続けています。
そして今の世の中は情報で溢れていて、作品が作られる数が増えただけでなく目に触れられる機会は以前とは比べ物にならないほどです。

そうなると、どうしてもどこか既視感のあるものが多くなりますし、
そういった状況で、今までとは違った新しい考え方、新しい表現、新しい組み合わせ、そういった作品を見たいという鑑賞側の気持ちは理解できるのではないでしょうか。

評価基準については色々意見がある方もいるかもしれませんが、
「何か新しいもの」が求められているのが今の現状です。

さて、ここで問題になるのが「何が新しいのか?」ということです。
何が新しいのかを知るには古いものをしらないといけません。つまりこれまでの歴史、過去の作品です。

歴史というと紀元前から遡って、みたいに考えてしまいますが、1900年代だけでも十分です。
(ただし1900年代に繋がる流れを理解した方が理解度は高まりますし、より深みが出ると思います)

写真なら写真史だけでも知ってると、同じことを繰り返さずに済むので遠回りのようで近道になります。
あとレビューを受ける際なんかも会話がスムーズにいきますし、「分かった上でやっている」という説明もできるので深みが出ます
(逆に知らないでやっていたなら「この辺り勉強するといいよ」で終わってしまう可能性もあります)

写真史は歴史が浅いので写真史に絞って学ぶだけなら結構簡単です。
体系化された本をいくつか読むでもいいですし、作家のインタビュー読んだり過去の名作写真集を漁るだけでも知らないうちに知識が着いてきます。
荒木経惟が私写真というジャンルを作ったとか、ホンマタカシが日本版ニューカラーの作品を作ったとかそういうのを積み重ねていく感じです。

情報源自体はわりと何でも良い(ChatGPTに都度聞いてみるのもおすすめです)ので、
1年かけて色んな角度から情報を吸収すると自分の中で「使える知識」となり、リファレンスのように自分が取り組もうとしている分野の過去作品なども出てくると思います。

僕自身、めちゃ詳しいわけではないですがなんとなくあの写真家の系統だな、とかはわかるようになってきました。
一方で、スナップとか私写真系の写真集が新しく出たりすると「かっこいいけど、かっこいい以外の何が評価されてるんだろう(世の中にはかっこいい写真はたくさんあるのに、という意味で)」と思ったりするので、
この辺りは厳密ではなく論理を超える何かがやはりあるのかもしれませんし、僕が理解できていない理由があるのかもしれません。

いずれにしても、美術史や写真史の知識は学校で習った歴史と違って実戦で使うものなんです。

卒業制作の現場でも「ホンマタカシの「東京郊外」と同じようなものになってしまってるから場所で意味を作るか何か一工夫ほしいね」とか
「ユージン・スミスの「MINAMATA」を参考に、○○さん独自の視点や色彩感覚を入れると面白いかも」みたいなフィードバックも良くされてます。

どうでしょう、ここまで読んでいただくと歴史を知らないと新しい作品って作れないのかも...と思えてきたらこのnoteを書いたかいがあります。

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