みなさん、こんにちは、こんばんは。
12月になりました。やはり皆さん忘年会シーズンで、仕事だけでなく飲み会なども忙しい時期でしょうか。
映画好きとしては年間ベスト10を決める最終月でもあり、とてもソワソワしている日々を過ごすことでしょう。
さらにEDDIEのかく語りき配信当日の12月1日は「映画の日」です。
毎月ファーストデーはほとんどの映画館で映画を1,300円で鑑賞できるわけですが、年に1回の12月1日の映画の日では映画を1,000円で鑑賞できるんですね。
この機会にたくさん映画ハシゴするも良し、IMAXなど特別料金かかる映画を格安で鑑賞するも良し(もちろんIMAXなどは1,000円+特別鑑賞料金が追加)、年間ベストに関わるような好きな映画を安いときに再び鑑賞するも良し。皆さんはどんな映画の日を過ごされましたか?
2024年12月1日(日)22時〜𝕏のスペースで配信した「#EDDIEのかく語りき」第38回目のトークテーマについてまとめていきます。
細かい話は配信の方で語っていますので、アーカイブを聴いていただけると幸いです。
①EDDIEのピックアップ映画/映画『正体』
◆『正体』
本作発表当時は主演俳優が伏せられ、「果たして主演俳優は誰なのか!?」というプロモーションが組まれており、その結果が横浜流星。
個人的に横浜流星は好きなので、それ自体は良いのですが、藤井組で何度もタッグを組んでいる横浜流星の主演発表は全くもってサプライズでもなんでもなかったのが第一印象でした。
映画公開の直前である11月26日に発表された報知映画賞の作品賞、主演男優賞、助演女優賞の3冠を達成。
公開前に最高のプロモーションがかけられるきっかけに。とはいえ、ファン投票でノミネート作品が決まる報知映画賞の特性を考えると、公開前の映画が3部門も受賞してしまうのは些か不可解さは拭えません。
では、結果映画はどうだったかというと、本当に素晴らしい作品でした。
もちろん私見ではあるのですが、藤井道人監督の映画では2019年『デイアンドナイト』が最高傑作で、それを超える作品はなかなか出会えていませんでした。今回の最新作『正体』はそれに匹敵する作品と言えました。
できるだけネタバレにならないように語るのが難しいのが、サスペンスやミステリーの常ですが、核心には触れないように気をつけます。
まず、本作はあらすじにもあるように殺人事件を起こした死刑囚が脱走するというもの。彼が行き着く先で出会う人たち、彼らとの出会いを通じて、彼の本当の正体が少しずつ暴かれていく構成です。
主人公の鏑木慶一は行く先々で名前を変え、風貌を変え、それぞれで異なる仕事を行いながら日銭を稼いでいました。ただ、彼は一度自供し死刑宣告を受けながらも、その後脱走してしまったのか。「鏑木はなぜ逃げたのか」が本作の肝になっています。
警察のザルな警戒網と、行く先々で出会う人たちが鏑木を信じ容易に心を赦してしまう模様に批判的な感想も見かけますが、自分はそこまで気にならなかったんですよね。警察の杜撰さが出てしまう作品なんてこれまでにごまんとありましたし、本作は「人を信じる」という大テーマがあった以上、それに伴うヒューマンドラマとしての要素が重要でもありました。
実際に、最初の建設現場での森本慎太郎演じる野々村、出版社勤務の吉岡里帆演じる安藤、介護施設で働く山田杏奈演じる酒井と、いずれも彼に心を簡単に許してしまいます。ただ、本作では信頼関係を構築するためのドラマが無駄なく展開されていて、彼に気を許してしまう模様にも無理がなかったと感じました。
さらに、逆に彼を信じることなく、脱走した死刑囚を捕まえる側である警察組織、そこで対照的な姿勢の2人が印象的。彼を追う刑事・又貫役の山田孝之、彼の上司である刑事部長・川田役の松重豊です。
2人とも警察という正義の視点で、「鏑木が犯人である」ことを信じて捜査を進めていきます。ただし、川田刑事部長は警察というメンツを盾にして、有無を言わさず「鏑木を急いで捕らえよ」と指示をすることを徹底。
民法で成人年齢が18歳に引き下げられたことから少年法も改正され、少年の定義も20歳以下から18歳以下に引き下げられます。この少年を捕まえて死刑に処することが、少年が犯す犯罪の将来的な抑止力として機能するだろうという考えです。これも彼なりの正義です。
一方、又貫は警察という正義の名の下に「鏑木が犯人」であることを疑うことなく、鏑木を追い続けます。ただし、「なぜ鏑木が逃亡したのか」だけが腑に落ちずに捜索を続けていくことで、終盤で川田との考え方の相違につながり、物語を大きく動かすきっかけとなります。
このように「人を疑う」ということと「人を信じる」ということはちょっとしたことで綻びが生じてしまい、世の中ではよほどでない限り、人を簡単に信じることは難しいのかもしれません。
同時進行で田中哲司演じる弁護士である安藤の父・淳二の痴漢冤罪を描くことで、「人を信じる」ということがもたらす希望を感じさせることができます。
自分は「信じる」ことで騙されてしまった経験もあるんですが、人ってほんのちょっとの信じるきっかけがあると人を簡単に信じてしまうものかもしれません。そういう体験があった分、本作で鏑木と出会う人たちが簡単に鏑木を信じるのは不思議でもないなと。
人は誰しも間違いを起こします。未だ間違いを犯したことがないという人(そんな人はいないと思いますが)もいずれ間違いを起こす可能性があります。だからこそ間違えてしまった時に「誤りを正す」ことの重要さをこの作品が教えてくれました。
子供でもわかる「ごめんなさい」を。僕たち大人もちゃんと「間違えていた」と立場やメンツ関係なく言えるようになりたいものです。
本作をきっかけに、「信じる」ということの力とそれに救われる人がいるということを信じたいなと思わされました。
この映画を観て、それこそ映画というフィクションの力を”信じたく”なりました。細かいネタバレありの話は下記の通り、スペースでも語っておりますのでお時間あれば聴いてみてください。
ヨルシカが歌う主題歌『太陽』の映画と連動した特別MVも貼っておきます。
②EDDIEのピックアップ俳優/前田公輝
続きまして、ピックアップ俳優のコーナー。
僕の好きな俳優・気になる俳優をピックアップしてご紹介。スターからあまり話題にのぼらない方まで、そのときの気分やトレンドなどに応じた俳優をご紹介します。
■前田公輝
今回映画『正体』に、死刑囚・鏑木慶一を追う刑事・又貫の部下である井澄正平役で出演していました。
映画の方ではさほど目立った活躍はありませんでしたが、近年映画、ドラマと出演作品が増えており、注目せざるを得ない存在になってきました。
中でもAmazonプライム・ビデオのオリジナル映画『ナックルガール』でも、主演・三吉彩花の元恋人であり戦闘スタイルを教える神谷瞬役の重要な役どころで出演していたのが印象的でした。
『ナックルガール』では、神谷の設定が「お金がなくて、武骨で人間的な要素を持ち合わせているタイプ」とのことで、あえてトレーニングではジムに通わず、プロテインも飲まずに自宅ソファで自己流のトレーニングで上半身を中心に体を作り上げたと言います。さらに、雑誌『anan』の取材もあり、映画のクランクアップ後もトレーニングを継続したという話でした。
元々6歳の子役から芸能界にいる彼。2008年には『ひぐらしのなく頃に』で映画初出演をしましたが、それ以外では主演作品もありながら、まだこれという代表作には出会えていないと言えます。
ただ、近年のテレビドラマでの「なんかいいやつ」「なんか調子いいやつ」系のキャラが確立されてきて、『癒やしのお隣さんには秘密がある』や『転職の魔王様』では同時期に放送されたドラマでしたが、不思議とクセになるいいやつキャラを印象的に演じました。
そして、いい意味でも悪い意味でも話題になった『セクシー田中さん』では、生見愛瑠演じる倉橋朱里を一途に思い続けるチャラい男という不思議なキャラクターを見事いやらしさなく演じ切りました。このキャラが個人的にはかなりのハマり役で、前田公輝をより一層意識するきっかけとなりました。
その後も『アイのない恋人たち』、『366日』と休む間もなくテレビドラマの出演が続きます。
『ナックルガール』出演はありましたが、琉球少林寺空手全国大会で優勝経験があるほど格闘センスには定評があり、180cmの貴重な長身俳優としての存在を生かして、今後の更なる活躍を期待したいところです。
③AppleTV最前線
今回のAppleTV最前線では、おすすめのオリジナルドラマとオリジナル映画、近日配信予定の映画をご紹介します。
■ドラマ『ワンダを捜せ』/全8話
2024年10月2日にAppleTV+で配信開始したドイツ発コメディサスペンス。
クラッツ家の大事な一人娘でおてんばな少女が突如失踪。なかなか警察の捜査が進まないことで、「警察なんて信じられない」と自ら彼女の捜索を開始するクラッツ家の父と母。
隣人たち誰もが怪しく見えてきて、各家庭に監視カメラを設置する大胆作戦を敢行。この夫婦がこれまたユニークなキャラクターで、娘が行方不明だというのにところどころ抜けていて笑わせられます。
中盤ぐらいからは娘ワンダ視点での物語も同時進行していくのですが、クライムサスペンスとしてスリルある展開を見せていくので、コメディでありながら見応えありなドラマです。
主演のワンダ役のリア・ドリンダがこれまた魅力的でエネルギッシュな女優さんなので、これからドラマに限らずいろんな映画などにも出演して注目を集めそうな気がします。
アリス・マートンが歌う主題歌”Mania”もミステリアスなドラマの雰囲気にあったとても印象的で良い楽曲です。
■映画『ブリッツ ロンドン大空襲』
第二次世界大戦下で、ナチスドイツがイギリスに対して1940年9月7日から1941年5月10日にかけて夜間空襲を行い続けた実際にあった戦争を題材にしています。
”ブリッツ”とはBlitzと書いたドイツ語で「稲妻」を意味するもの。
連続57日間も爆撃が襲い、1941年5月末までに4万3000名以上の民間人(半分がロンドン市民)が爆撃で死亡、100万以上の家屋が損害を受けたと言います。
それだけの被害があった大規模な空襲なので、市井の人々は子供を中心に田舎の方に疎開させたのがこの時代にあった本当の出来事。
戦争は実話ですが、この映画に出てくる母息子の物語はあくまで架空のエピソードでフィクションです。
ただ、この時代の厳しさや避難所になる地下鉄が一杯一杯になる模様とその悲痛さがひしひしと伝わってきて恐ろしい作品であるとともに、息子の成長譚として見応えのある映画になっています。
主人公は実績豊富な母親リタ役のシアーシャ・ローナンだと思われますが、彼女はあくまで助演に徹しています。
本作の主人公は疎開先に移動する途中の列車から飛び降り、故郷に向かう9歳の息子ジョージ役のエリオット・へファーナン。デビュー作とは思えないほどの圧倒的な存在感と眼光の鋭さで凄まじいインパクトを誇ります。
彼はロンドン中心部に向かう途中にさまざまな出会いと困難を体験。
ネタバレにならない程度に、最小限の情報を共有するとすると、息子ジョージは白人家庭で暮らす黒人の男の子。ただ、ある事情があって黒人である父親はそばにいません。
うっすら黒い肌の男の子は自分のことを黒人未満だと思い、一緒に暮らす母や祖父が白人であることもあり、彼自身が自信を持って黒人だという認識を持っていないのです。
彼は旅の中で自分のアイデンティティを確立するきっかけを作り、それからどんどん成長を見せます。ロードムービーとして主人公の男の子が旅を通して成長を遂げる作品で、クライマックスは感動必至。
爆撃や火災模様など、スクリーン映えしそうな描写が連続するので、本心としては劇場公開してほしかった…それぐらい迫力満点な年ベス級の作品です。
■映画『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』
▼第31回配信にて『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』を取り上げました。配信コラムはこちらから
④「#リバイバル上映してほしい傑作映画」特集
リバイバル上映とは過去に公開済みの作品を一定期間経てから、手直しせずにそのまま再度上映することです。 リバイバル上映は、「再上映」や「再映(さいえい)」の名称で呼ぶ場合もあります。
リバイバル上映については、こちらのブログに詳しく解説があるので、ご参考までにどうぞ。
一度劇場公開された名作が再び映画館で…僕たち映画好きとしても大好きな作品であれば新作よりも優先して観に行くような人もいると思います。
それだけ「大好きな作品は劇場で」という特別感があるものですが、今回は12月1日の映画の日とも重なったことで、下記のように「#リバイバル上映してほしい傑作映画」のタグで映画ファンの声を募ったのです。
■『ウォーリアー』
ちなみに、今年リバイバル上映してくれたことで、僕にとってさらに特別な作品となったのが『ウォーリアー』です。
かつて日本で新作公開された時は限定上映で観られなかった人もたくさんいたはず。そんな中で再び劇場で観るチャンスが訪れ、劇場スクリーンで2人の兄弟の死闘を観られることは特別以外の何物でもありませんでした。僕は初鑑賞が配信での自宅鑑賞だったので、映画館で観る大迫力の格闘シーンは興奮が隠せませんでした。
■『戦場のピアニスト』
あとは昨年2023年12月に4Kリマスターで劇場公開された『戦場のピアニスト』も忘れられません。もともと大好きな作品の一つでしたが、劇場鑑賞で体験する主人公シュピルマンのピアノの音色の美しさたるや。これは自宅では味わえない最高の音響体験だ、と。
さて、ここからはXのタグ付き投稿やリスナーの方々の「#リバイバル上映してほしい傑作映画」を紹介してまいります。
■『セブン』
■『ムーラン・ルージュ』
■『ブレイド』
■『キャバレー(1971)』
■『キッズ・リターン』
■『マスク』
■『ローズ』
■『ビッグ・フィッシュ』
■『ヒア・マイ・ソング』
■『ハウルの動く城』
■『パシフィック・リム』
■『ある日どこかで』
■『ちょうちん』
■『ロボコップ2』
■『トレマーズ』
■『未来世紀ブラジル』
■『エイリアン』
■『アマデウス』
■『スター・ウォーズ』
■『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』
■『太陽を盗んだ男』
■『ファントム・オブ・パラダイス』
■『ブラックホーク・ダウン』
■『インデペンデンス・デイ』
さて、一旦以上です。これでもかなり厳選してご紹介しましたが、他にもたくさんの投稿をいただいておりますので、Xの方で「#リバイバル上映してほしい傑作映画」のタグで検索して見ていただけますと幸いです。
◆まとめ
配信コラムは以上です。
今回も盛りだくさんでお届けしました。
やはり映画好きの方々が投稿する「#リバイバル上映してほしい傑作映画」は興味深い作品や不朽の名作がたくさんありますね。
僕も観たことのない作品もあるので、時間を見つけて観たい…そして、是非ともリバイバル上映をしてほしいものです!
改めてEDDIEのかく語りきの配信アーカイブは下記の通りです。
そして、次回12/15(日)配信の企画は「#あなたの好きなアメコミ原作映画」です。12/13公開の『クレイヴン・ザ・ハンター』を盛り上げる意味で作った企画です。
今回も長々とした配信コラムを読んでいただきましてありがとうございます。次回もぜひぜひお楽しみに!