【配信コラム】#EDDIEのかく語りき 第12回/AppleTV+最前線『フローラとマックス』/#あなたの好きな音楽映画 特集
みなさん、こんにちは、こんばんは。
さて、今回のnote記事は僕の𝕏配信スペース「#EDDIEのかく語りき」12回目の配信まとめです。
トピックとしては、AppleTV+最前線とEDDIEのピックアップ映画で『フローラとマックス』をご紹介。
さらに𝕏で募集したハッシュタグ「#あなたの好きな音楽映画」の特集をいたします。
#EDDIEのかく語りき 第12回トークテーマ
2023年10月1日(日)22時〜𝕏のスペースで配信した「#EDDIEのかく語りき」第12回目のトークテーマについてまとめていきます。
細かい話は配信の方で語っていますので、アーカイブを聴いていただけると幸いです。
❶AppleTV+最前線/映画『#フローラとマックス』
今回のAppleTV+最前線では、映画『フローラとマックス』を取り上げます。
▼『フローラとマックス』予告動画
今回の特集「#あなたの好きな音楽映画」を実施するきっかけとなったジョン・カーニー監督の最新作です。
ジョン・カーニーといえば、『ONCE ダブリンの街角で』や『はじまりのうた』、『シング・ストリート 未来へのうた』といった多くの映画ファンにも愛される音楽映画を生み出してきた監督です。
今回、彼の最新作としてAppleTV+のオリジナル作品として紐解かれました。
タイトルの『フローラとマックス』はそのままの意味で、母親のフローラと息子のマックスの2人を描いたヒューマンドラマ。原題は”Flora And Son”で、「フローラと息子」というタイトルになっています。
映画の構成として、性格や稼ぎに問題を抱えるシングルマザーを主人公に、そんな母親の体たらくを軽蔑しつつ非行に走る息子の2人が、音楽を通じて再生を図っていくという物語です。
フローラは「何か変われることをしなきゃ」と思っている矢先、ゴミ捨て場で壊れたギターを拾います。そのギターを修理し、ギターを息子のマックスに弾かせようとしますが、彼はギターは専門外だ、興味ないと拒否。
そして、彼女は自分でギターを練習しようと、ネットで初心者向けのギターの練習の仕方を検索して、さまざまなギター講師の動画を観る中で、イケメンのギター講師ジェフの動画を観て彼のギター教室で教わろうと思い立ちます。
ざっくりとこんな感じの導入で、物語が進行していくんですが、とにかくフローラの行動が規格外で、彼女の動向やセリフを追っていくだけでも楽しいです。
そして、息子のマックスとは水と油のように会話してはぶつかってばかり。でもマックスは自分の生活環境や友人関係もあり、ヒップホップに精通しているのがわかります。彼は作詞作曲もしており、フローラは彼と一緒に音楽をすることを決意します。
結果的に、彼女は息子のマックス、元夫のイアン、そして講師のジェフと音楽バンドを結成して、物語のクライマックスで奏でる曲が実に素晴らしいんです。
ここでフローラはギターソングを、マックスはラップで自分の気持ちを奏で、彼らはお互いの気持ちを明かすことで初めて絆を深め合う様子がわかります。
「私は君の人生を生きているわけじゃない。君も私の人生を生きていない」
僕はこのクライマックスの弾き語りシーンで一気に涙腺が崩壊。これまでフローラとマックスのすれ違いや喧嘩を散々見せられてきてからの感動のフィナーレに涙は禁じ得ませんでした。
このフローラを演じたイヴ・ヒューソンはなんとU2ボノの娘。これまでのフィルモグラフィとしては『ブリッジ・オブ・スパイ』や『フッド:ザ・ビギニング』、『テスラ エジソンが恐れた天才』などに出演しています。ドラマではAppleTV+オリジナル作品の『バッド・シスターズ』で個性的な5姉妹の末っ子を演じていました。
❷EDDIEのピックアップ映画/映画『バーナデット ママは行方不明』
人は知らぬ間にストレスを抱えているもの。
気づけば引き返せないところまで来ていたり、取り返しがつかないことをしでかしたり…“Time after time”何度も後悔しては打ちひしがれます。
何度倒れても支えてくれる誰かがいると良いですね。
今回特集の音楽映画の一つにも数えられると思っており、作品自体は音楽映画ではありませんが、作品の中で象徴的に劇伴としてかかるシンディ・ローパーの「Time After Time」がバーナデットの心中を物語っています。
歌詞の日本語訳は下記の通りです。
映画を観た後にこの歌詞を追うだけで、頬を涙が伝います。
「あなたは私を呼ぶけど あなたの声は聞こえない」がまさにバーナデットの状況を歌っており、「秒針は巻き戻っていく」という歌詞にあるように彼女がなかなか前に進めないもどかしさを物語っています。
『バーナデット ママは行方不明』は、2012年発表のマリア・センプル著「バーナデットをさがせ!」を、リチャード・リンクレイター監督が映画化しました。
この他人に対して心を閉ざしてしまったバーナデットの心情というのが、調べてみると、「シアトル・フリーズ」という「よそ者と距離を置き仲間内としか付き合わない」というシアトル市民特有の現象とされているそうです。
原作者のマリア・センプルは、『サタデーナイトライブ』などの人気テレビ番組の脚本家として活躍していましたが、出産を機に家族と共にシアトルに移住してそのシアトル・フリーズに苦労した体験をベースに原作を書いたといいます。
これ実は僕も身に覚えがあって、バーナデットほど深刻ではないので、あまり深刻に捉えていただく必要はありませんが、僕自身もこの「心の壁」のようなものに共感します。
20代の頃は知らない人がいるいろんな場所に出かけたり、顔を出したりすることで、たくさんの友達の輪を広げていきました。仕事でも対人関係は問題なく誰とでも分け隔てなく接することができる人間性なので、全然苦労はしませんでした。
ただ、自分が深刻に捉えずとも、体が自然に拒否をしているのか、知らない人がいるような場に出かけることが徐々に億劫になり、人とのフリートークも苦手になってしまいました。仲良くなった人には驚かれるのですが、基本的に初めて会う人とはちょっと会うのを躊躇っちゃうんでよすね。
心の壁って、生活環境の変化や対人関係などで生じるストレスが起因となると言われていますが、こうした問題は誰にでも起こりうる現象だということがわかります。
とはいえ、本作はかなりユーモアあるタッチで描いているので、そこまで重く受け止めずとも楽しめる作品になっていると思います。
❸音楽と映画の歴史
今回はハッシュタグで募集した「#あなたの好きな音楽映画」特集にちなんで、少しばかり音楽と映画の関係について、その歴史を紐解いてみましょう。
まず「映画音楽」についてですが、これは映画が誕生してからしばらくは無声映画(サイレント)だったのですが、1920年代からトーキーが発明されて映画に音が入るようになりました。
実際にそれまでもオーケストラがサイレント映画を彩ることもありましたが、本格的な映画音楽の誕生はトーキーが発明されてからです。
ちなみに映画音楽の始まりは1908年のサイレント時代、サン=サーンスという作曲家が映画のために作曲した『ギーズ公の暗殺』が最初だと言われています。
そして、トーキー時代に移り、世界最初の音声付き映画として製作されたのが『ジャズ・シンガー』という作品です。
スクリーン上で俳優がセリフを話す最初の長編映画ということで、歴史にも名を刻んだ作品として知られていますが、「待ってくれ。 お楽しみはこれからだ!」のセリフが映画史上初めてのセリフとして有名です。
第1回アカデミー賞の脚色賞部門でノミネートされ、1953年と1980年と二度リメイクもされた作品です。
続いて1930〜1950年代には舞台の映画化ではなく、ミュージカル映画として映画のためにオリジナル音楽が入り込んだ作品として『オズの魔法使』(1939年)や『雨に唄えば』(1952年)などが有名です。
このような名作ミュージカルを語るに欠かせないのがメトロ・ゴールドウィン・メイヤー・スタジオの存在です。
●音楽映画の傑作を生み出してきたメトロ・ゴールドウィン・メイヤー・スタジオ
現存するアメリカの老舗映画スタジオの一つで、本社はカリフォルニアのビバリーヒルズにあります。
1924年にマーカス・ロウがメトロ・ピクチャーズ、ゴールドウィン・ピクチャーズ、ルイス・B・メイヤー・ピクチャーズの経営権を取得したことで、MGMが設立されたのがスタートです。
「天国にいるよりも多くのスターがいる(空の星の数よりも多いスターたちがいる)」をキャッチフレーズに、数多くの大作ミュージカルを生み出し、それらの多くがアカデミー賞を受賞しています。
親会社が当時最大の劇場チェーンのロウズ社だったこともあり、1926年〜1959年の黄金期には2作の『ベン・ハー』が製作されるなどの名声を得ました。
最初期のミュージカル映画『ブロードウェイ・メロディ』が大ヒットし、その後も多数の所属スターによる豪華なキャスティングや豪華なセットと衣装、そして音楽をつぎ込んだ「大作主義」で、ミュージカル映画全盛期の1950年代半ばまで隆盛を極めることとなります。
全盛期には1930年代に「芸術のための芸術」をモットーに、巨額の費用とスターシステムを駆使して、大作映画を次々と生み出していきました。
1938年『響け凱歌』、1939年『チップス先生さようなら』といった傑作を生み出し、アニメーションでも『トムとジェリー』で7度のアカデミー賞を受賞するなど、同社のマスコット的存在になったのは誰もが知るところでしょう。
第二次世界大戦時には、メイヤー主導でイギリス人女優のグリア・ガーソンなどを中心に据え、戦時プロパガンダ的な作品をたくさん製作し、アメリカ政府や連合国を支援したと言われています。
ただ、そこから衰退が始まります。大作主義を貫いた結果、それが時代に合わなくなり、特にテレビの普及が広まって一気にMGMは衰退していきます。
その後、1986年には経営権がテッド・ターナー率いる「ターナー・ブロードキャスティング・システム(現在はワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー傘下)」の傘下になりました。1996年には一度元のMGMに戻りましたが、2005年にはソニーをはじめとした投資家グループが約6000億円で買収。
それから様々な紆余曲折があり、Amazonへの傘下入り、ワーナーによる海外配給体制になって今に至ります。
改めて年代別にMGMの有名映画を並べると次のようになります。
1920年代は、『ベン・ハー』『ラ・ボエーム』『肉体と悪魔』『アンナ・カレニナ』『ブロードウェイ・メロディ』など。
1930年代は、『アンナ・クリスティ』『自由の魂』『グランド・ホテル』『ダンシング・レディ』『白い蘭』『影なき男』『アンナ・カレニナ』『ロミオとジュリエット』『激怒』『マリー・アントワネットの生涯』『バルカン超特急』『オズの魔法使』『チップス先生さようなら』『風と共に去りぬ』など。
1940年代は、『トムとジェリー』『フィラデルフィア物語』『高慢と偏見』『ジキル博士とハイド氏』『キュリー夫人』『若草の頃』『郵便配達は二度ベルを鳴らす』『若草物語』『私を野球に連れてって』など。
1950年代は、『アニーよ銃をとれ』『雨に唄えば』『バンド・ワゴン』『ジュリアス・シーザー』『ブラボー砦の脱出』『赤いトタン屋根の猫』『ゴーストタウンの決斗』『カラマゾフの兄弟』『北北西に進路を取れ』『ベン・ハー』など。
1960年代は、『ロリータ』『予期せぬ出来事』『イグアナの夜』『いつか見た青い空』『丘』『特攻大作戦』『吸血鬼』『2001年宇宙の旅』『フィクサー』『チップス先生さようなら』など。
1970年代は、『戦略大作戦』『エルビス・オン・ステージ』『砂丘』『黒いジャガー』『狙撃者』『ウエスト・ワールド』『ウォーキング・トール』『キャット・ダンシング』など。
そのほか、様々な傑作映画を生み出しました。
●1960年代からの音楽映画
1960年代に入ると、映画オリジナルから舞台の映画化がミュージカルの主流に。
『ウエスト・サイド物語』(1961年)、『マイ・フェア・レディ』(1964年)、『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年)、『オリバー!』(1968年)の4本がアカデミー賞作品賞を受賞しています。
ハリウッドだけでなく、イギリスでも舞台の映画化が増えていきましたが、これらの興行が次々と失敗し、ブームが収束。
1970年代以降、舞台ミュージカルの映画化作品としては、『屋根の上のバイオリン弾き』(1971年)、『キャバレー』(1972年)、『ロッキー・ホラー・ショー』(1975年)、『グリース』(1978年)、『ウィズ』(1978年)、『ヘアー』(1979年)、『アニー』(1982年)、『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』(1986年)といった作品が生み出されましたが、実際この時代は映画低迷期に突入していました。
こういった状況でも人気を博したのが、アンドリュー・ロイド=ウェバー。作曲した舞台ミュージカルがいずれも大ヒットし、日本では劇団四季で日本語版が上演されるなど世界的人気を博しました。
彼の作品の中で、『ジーザス・クライスト・スーパースター』(1973年)、『エビータ』(1996年)、『オペラ座の怪人』(2004年)が映画化され、特にロイド=ウェバーが自費を投じた『オペラ座の怪人』は日本だけで製作費7千万ドルの半分を稼ぐ大ヒットを記録しています。
●2000年代からミュージカル映画がリバイバル
2000年代に入ると大ヒットしたのがミュージカル映画『シカゴ』(2002年)です。34年ぶりにミュージカル映画がアカデミー賞作品賞を受賞し、ハリウッドで舞台の映画化ブームが再燃。
『RENT』(2005年)、『プロデューサーズ』(2005年)、『ドリームガールズ』(2006年)、『ヘアスプレー』(2007年)、『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(2007年)などの有名作が次々と映画化されていきました。
2012年には『レ・ミゼラブル』が映画化。本作でミュージカル映画史初の試みが行われました。
これまでは、一般的にミュージカル映画の歌唱シーンは事前に歌を録音し、出演者の口パクを撮影するのが一般的でした。ただ、本作ではカメラを回している状態で出演者が実際に唄い、同時に録音するという撮影方法が取られたのです。
本作の歌唱シーンにはかなりの臨場感が生まれ、中でもやつれた姿をクローズアップでさらしたアン・ハサウェイが熱唱する「夢やぶれて」は圧倒的な迫力で、アカデミー賞助演女優賞獲得の主因となったと言えるでしょう。
2019年には『レ・ミゼラブル』のトム・フーパー監督がブロードウェイミュージカルの傑作『キャッツ』を実写化しましたが、興行は大失敗し、批評も最悪。曲自体は良いという評価もあるので、いずれ再評価される日も来るかもしれません。
そして、舞台ミュージカルは『イン・ザ・ハイツ』(2021)や『ディア・エヴァン・ハンセン』(2021)が映画化され、2022年にはスティーブン・スピルバーグ監督の『ウエスト・サイド・ストーリー』が公開されました。
❹特集コーナー/#あなたの好きな音楽映画
さて、次に今回の特集コーナーである「#あなたの好きな音楽映画」の紹介に移ります。
ちなみに、今回はタグは作成してから𝕏でトレンド入りしました!
みなさん本当にありがとうございます!
●ミュージカル映画系/15作品
●音楽を演奏する・歌唱する系/25作品
●劇伴や音楽描写が印象に残る系/8作品
●伝記映画系/10作品
●音楽ドキュメンタリー系/10作品
◆まとめ
以上、今回も盛りだくさんでお届けしました。
ハッシュタグの「#あなたの好きな音楽映画」は今回紹介しきれないほどの投稿をいただきました。「もっと知りたい!」「もっと見たい!」という方は、𝕏の「#あなたの好きな音楽映画」で検索してご確認いただけますと幸いです。
配信の模様は下記のアーカイブにてご視聴ください!
次回配信は2023年10月15日(日)22時〜、𝕏の僕のアカウントよりスペースにて行います!是非是非フォローして聴いてください!
ではでは、次回配信までアディオス!!
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