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[遺伝子検査]ビフィズス菌が多いとどうなるのか?

最近、遺伝子検査が個人の健康管理に役立つツールとして注目を集めています。私も遺伝子検査を受けた結果、ビフィズス菌の量が遺伝的に多い傾向があることが分かりました。ビフィズス菌は腸内細菌の中でも特に健康に良い影響を与えるとされる「善玉菌」の一種です。この記事では、ビフィズス菌が多い傾向がある場合、どのような影響があるのか、またそれに伴うメリットやデメリット、さらに健康管理のポイントについて解説します。



ビフィズス菌とは?

ビフィズス菌(Bifidobacterium)は、腸内で糖類をエサにして乳酸や酢酸を生成し、腸内環境を酸性に保つ働きを持っています。この弱酸性の環境は、有害な悪玉菌の増殖を抑える効果があり、消化機能をサポートしたり、免疫系を強化したりする役割を果たします【1】。特にビフィズス菌は、乳児の腸内に多く存在し、年齢とともに減少することが知られています。


遺伝子とビフィズス菌の関係

私の遺伝子検査の結果、MCM6遺伝子が「CC型」であることが確認されました。この遺伝子は腸内のビフィズス菌の量と関連しており、「CC型」の人はビフィズス菌が多い傾向があることが報告されています【2】。MCM6は乳糖不耐症とも関連があり、ビフィズス菌が多い人は乳糖を分解する能力が低い可能性があるという興味深い関係も示唆されています。


ビフィズス菌が多いことのメリット

ビフィズス菌が多いと、以下のような健康効果が期待されます。

  1. 腸内環境の改善
    ビフィズス菌が腸内のバランスを整えることで、消化不良や便秘を予防する効果があります。また、腸内の悪玉菌を抑制することで、腸内フローラの健康維持に寄与します【3】。

  2. 免疫機能の向上
    腸は「第2の脳」とも呼ばれ、免疫システムと深く関わっています。ビフィズス菌の量が多いことで、免疫細胞が活性化し、風邪やインフルエンザなどの感染症に対する抵抗力が高まるとされています【4】。

  3. メンタルヘルスの改善
    腸と脳は密接に繋がっており、腸内環境が改善されることで、ストレスや不安の軽減、さらにはうつ病の予防にもつながるという研究結果もあります【5】。


デメリットと注意点

一方で、ビフィズス菌が多いことにもデメリットや注意すべき点があります。

  1. 乳糖不耐症との関連
    ビフィズス菌が多い人は乳糖不耐症である可能性が高いとされています【6】。乳製品の摂取によって消化不良や腹痛、下痢などが引き起こされる可能性があるため、乳糖不耐症かどうかの確認が重要です。乳製品を摂取する際は、低乳糖の製品や乳糖を含まない代替品を選ぶとよいでしょう。

  2. 腸内バランスの崩れ
    ビフィズス菌が多すぎると、他の有用な腸内細菌のバランスが崩れる可能性があります。多様な腸内細菌が共存していることが、最も健康的な腸内環境を維持するために重要です。そのため、プロバイオティクスを摂取する際にはバランスを意識し、単一の菌種に偏らないようにしましょう【7】。


健康管理のポイント

ビフィズス菌が多い人は、以下のような生活習慣を心がけることで、腸内環境をより良く保つことができます。

  1. 発酵食品の摂取
    ヨーグルトやチーズ、味噌、醤油、漬物といった発酵食品はビフィズス菌を増やす効果があります。普段の食生活に積極的に取り入れると良いでしょう。

  2. 食物繊維の摂取
    バナナや大豆製品、オートミールなど食物繊維を含む食品は、ビフィズス菌のエサとなり、その増殖を助けます。また、食物繊維は腸内の善玉菌全体を活性化させるため、腸内フローラ全体のバランスを整えるのに効果的です【8】。

  3. 適度な運動
    適度な運動は、便秘の予防に役立つと同時に、腸内環境を整える効果もあります。運動不足は腸の動きを鈍らせるため、腸内環境を悪化させる要因となります。ウォーキングやヨガなど、軽度の運動を日常的に取り入れましょう。


まとめ

遺伝子検査の結果、ビフィズス菌が多い傾向がある場合、腸内環境や免疫力、メンタルヘルスに良い影響を与えることが期待できます。しかし、乳糖不耐症や腸内バランスの乱れには注意が必要です。日常生活で発酵食品や食物繊維を意識的に摂取し、適度な運動を心がけることで、腸内環境を良好に保つことができるでしょう。


参考文献

  1. O’Callaghan, A., & van Sinderen, D. (2016). Bifidobacteria and Their Role as Members of the Human Gut Microbiota. Frontiers in Microbiology, 7, 925.

  2. Kuhn, R., & Baumann, A. (2019). Lactase persistence: Genetics and medical relevance. Annals of Human Biology, 46(3), 223–231.

  3. Fanning, S., Hall, L. J., & van Sinderen, D. (2012). Bifidobacterium breve UCC2003 suppresses host pro-inflammatory responses following Salmonella infection. PloS One, 7(2), e31901.

  4. Riaz Rajoka, M. S., Zhao, H., Li, N., Lu, Y., Lian, Z., Shao, D., ... & Jin, M. (2017). Functional role of probiotics in human gut health and disease. Journal of Applied Microbiology, 124(5), 1241–1253.

  5. Foster, J. A., & McVey Neufeld, K.-A. (2013). Gut–brain axis: how the microbiome influences anxiety and depression. Trends in Neurosciences, 36(5), 305–312.

  6. Swallow, D. M. (2003). Genetics of lactase persistence and lactose intolerance. Annual Review of Genetics, 37, 197–219.

  7. Bäckhed, F., Ley, R. E., Sonnenburg, J. L., Peterson, D. A., & Gordon, J. I. (2005). Host-bacterial mutualism in the human intestine. Science, 307(5717), 1915–1920.

  8. Slavin, J. L. (2013). Dietary fiber and body weight. Nutrition, 29(1), 131–135.

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