【ヴィンランドサガ】1人の男のジャーニーストーリー【戦士とは、愛とは、暴力とは】
ヴィンランドサガ、知っていますか?
2005年から週刊少年マガジンで連載がスタート。その後月刊アフタヌーンに移籍し現在も連載しており、2018年、2023年には2度に渡ってアニメ化もされた人気作です。
なーんか僕の周りには名前こそ聞いたことあるものの読んだことないって人が多いんですよね。
そこで僕の少ない人生の中でも1、2を争うほど大好きなこの漫画を紹介します。
あらすじ
ヴィンランドサガは中世の海賊譚です。
自分の父親を殺した海賊団の頭領に復讐するためにその海賊団に所属する…みたいなのが序盤のあらすじです。
海賊漫画といえば…ワンピース。絶対的に君臨する巨頭が存在します。
しかし僕はヴィンランドサガはそれに負けない魅力を持っていると思っています。
実際の史実に基づいたリアルな世界観
ヴィンランドサガは実際に中世ヨーロッパに存在した海賊=ヴァイキングをモチーフに描かれています。
実在した人物も登場しており、リアルな海賊の生活体系や価値観など詳しく描かれており、軽い教養漫画としての側面もあります。
ex)アイスランドの英雄レイフ・エリクソンなど
命が軽い世界での【死】の意味
ヴィンランドサガというか当時の世界、本当に人の命が軽い。
当時のヴァイキングの価値観は
“戦いの中での死こそヴァルハラ(彼らにとっての天国的なニュアンス)に行く唯一の手段“
という感じなので人の命は勿論、自分の命の価値も軽かったりします。
また生き残っちゃったよ…的な(カイドウっぽい)
ファンタジーの架空の世界より現実の方が残酷ってのは言い得て妙という感じで。
特殊能力バトルでは無いので欠損したら欠損したまま、骨折したら勿論その部位は動かない。軽い刺し傷が原因で苦しんで死ぬこともある。人って本来こうですよね。
そして僕が何より好きなのが“人の死をスプラッター的にしていない“ということなんです。
こうやって大勢が死ぬ漫画にありがちなのが
“ページ捲った瞬間ドーーン!”と現れる死。
こんな簡単に人殺しちゃいますよ‼️油断しないでね‼️みたいな。
読者を驚かすためのトラップでしかない様な死はこの漫画には無い(と思います)。
父親の死によって生きる原動力が復讐になってしまったトルフィン、これに意味はあります。
父親の死ぬ間際の言葉の真意に5年、10年経って初めて気付くトルフィン、これにも意味はあります。
命が軽いからって【死】に意味がないわけではない。
作者の幸村誠は一見暴力的な漫画を描きながら、暴力的な描写は嫌いで出来るだけ描きたくないと公言しています。そんな彼だから【死】の先にある紡ぎを丁寧に描けるのかなと思います。
名シーン紹介
①作中を通してのテーマとなる「戦士とは何か」
幼いトルフィンに父親であるトールズが語るシーンです。
トールズはかつて最強の海賊団であるヨーム戦士団の師団長を務めていたほどの実力の持ち主。
そんな世界屈指の実力を持ちながら暴力と決別した彼の言葉は幼いトルフィンには奇妙に感じ、理解出来ないのです。
そんなトルフィンが死と暴力が蔓延る世の中でどの様に成長していくのか。これは読んだ者にしか分からないカタルシスがあります。
②愛とは何か、その本質
デンマークの王子クヌートが父親の様に慕っていた従者ラグナルを亡くし、絶望する中で修道士と会話するシーンです。
この価値観はかなり我々には異質じゃないですか?
家族を愛すること、好きな人に尽くすこと、それらは他人と身内を比較して行う差別だと。
更に言えば人は死によって真実の愛を体現するのだというのです。
この大地が、海が、風が、雨が、空が、【愛】なのです。
まぁかなり哲学チックというか久々に会う友達にいきなりこんな話されたら逃げ出すレベルかもしれませんが、、、
神が作ったこの世界はこんなにも愛に満ち溢れているのに唯一、人の心にだけは愛がない。
そんなある種の悟りを得たクヌートが“神の試練も天の国も要らない、地上に楽園を作ってみせる“と覚悟するシーンは屈指の名シーンです。
まとめ
今回はヴィンランドサガが好きすぎて長々と説明してしまいましたが、正直この漫画の魅力は1割も語りきれてないと思ってます。
丁寧に読めば読むほど味がする漫画だと思ってますので時間がある時に是非読んでみて下さい!!