五感で季節の移ろいを感じるために

平日昼間、人通りの少ない河川敷を一人歩く。

トンボが飛んでいる。

その不規則な動きは、予測不能なアナログ感があり、飽きることはない。夏にも飛んでいるはずだが、なぜか涼しくなってきた時期に目に留まる。

花の匂いを感じる。

花なのか植物なのか、よくわからないが香ってくる。柔軟剤チックなこの香りは、いつも涼しい風とともにやってくる。

虫たちの声が聞こえる。

それぞれの虫が何なのかは知らないけれど、残暑が消えゆく頃に鳴き始めることは知っている。

秋の訪れを感じる。

商戦によって季節を感じさせられる現代

世間的な季節の移ろいは、商戦といった形で否応なく押し付けられる。

直近では「月見」の秋(イベント)商戦が行われており、ハンバーガー屋さんからは月見のバーガーが期間限定販売されるなど、様々な商品が売り出されている。

月見の商品は基本的においしい。間違いない。

そのため、毎年販売される月見のバーガーなど、月見関連商品の時期を意識している人は結構いるのではなかろうか

逆に、その由来となった「十五夜」について意識している人はそう多くはないように思えてならない。少なくとも私の周りでは。

現在では、商業が季節を支配している

(平安)月見 = 満月を眺めて楽しむ日
(令和)月見 = 月見商品が楽しめる時期

月見のバーガーを食すことで、秋を感じた気になっている。実際には、旬の食材すら使用していない秋限定商品を食しただけだというのに。


ちなみに、2020年の十五夜は、10月1日だったらしい。どれだけの人が夜空を見上げ、中秋の名月を楽しんだのだろうか。

かく言う私は見事に十五夜をスルーしていた。

十三夜こそは月を眺めたい

私は、星空や夕陽を眺めることはそれなりにあるのだが、月をわざわざ眺めたことはなかったように思う。

良い機会なので「十三夜」は月を眺めることにしよう。(2020年は10月29日)

十三夜に関しては、商業的なイベントを目にしないため、純粋に五感から秋(霜降)を感じられそうだ。

- 月を眺める
- 虫の音を聴く
- 植物の香りを楽しむ
- 秋風を感じる
- 旬の食材を味わう

十三夜に限らず、五感から季節の移ろいを感じられるように、自然に意識を向けて、日々を過ごしていきたい。

商業イベントをトリガーにする

ただ、人生において忙しい時期は当然ある。

季節を感じることも忘れて日々を過ごしてしまうことは、残念ながら結構ある。

五感で季節を感じるためには、余裕が必要だ。

精神的にも。時間的にも。

そこで、現代的な季節の感じ方として、否応なく日常生活に入り込んでくる商戦情報を利用してしまうのも、一つの手かもしれない。

例えば、月見のバーガーの広告を目にした時に、反射的に中秋の名月を想起できれば、日頃月を眺めていなくても、ピンポイントで十五夜を楽しめるかもしれない。

月見商品が楽しめる時期 → 満月を眺めて楽しむ日

期間限定商品をただ楽しんで終わるのではなく、五感で季節の移ろいを感じるためのトリガーとして機能させたい

世間一般的には、当たり前に機能させている人がほとんどだったりするのだろうか。

・・・

月見の次はハロウィンだ。

今年は、ハロウィン(10月31日)の二日前が、十三夜の栗名月(10月29日)に当たる。

単にカレンダーにスケジュールするのでは味気ない。

「明後日はいよいよハロウィン」的な記事を見かけた日の夜は、空を見上げて月を眺めてみようと思う。


(追記)
↓ポッドキャストにて、もう少し掘り下げました。


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