「勿体ない」という言葉から感じる「傲慢さ」

他人の言動に対して「勿体ないなー」と思ってしまうことって、よくありますよね。

・食事を残している場面を目撃したとき
・お得なキャンペーンの存在を知らずに定価で購入した話なんかを聞かされたとき

折に触れて、

「おいおい、それ勿体ないなー」

と、つい思ってしまうこと、ありますよね。

私自身も、他人から「勿体ない」という言葉をもらうことがあります。当然ですよね。日本では常にどこかで誰かがこの言葉を発していることでしょう。

この「勿体ない」という日本語。「MOTTAINAI」というアルファベット表記となって、日本文化として環境問題とともに世界に発信されるなどして注目を浴びたこともありました。文化的側面からも日本人とは馴染みの深い言葉であり、日常的に耳にする言葉の一つです。

そもそも「勿体ない」とは

まず、この言葉の意味について再確認します。

Google先生に尋ねてみたところ、以下のような回答をいただきました。

三省堂 大辞林 第三版
① (有用な人間や物事が)粗末に扱われて惜しい。有効に生かされず残念だ。 「まだ使えるのに捨ててしまうとは-・い」 「あんな有能な人物を放っておくのは-・い」 「こんな事をしていては時間が-・い」
② (神聖なものが)おかされて恐れ多い。忌むべきだ。 「神前をけがすとは-・い」
③ (目上の人の好意が)分に過ぎて恐縮だ。かたじけない。 「御心づかい-・く存じます」
④ (あるべき状態からはずれて)不都合だ。不届きだ。 「帯紐解き広げて思ふことなくおはすること-・し/盛衰記 36」

(参照:勿体無い(もったいない)とは - 勿体無いの読み方 Weblio辞書

日常的に使用する場合は、①や③の意味で発せられている場合がほとんどではないでしょうか。

語源についても合わせて触れたいところではありますが、話が煩雑となるので割愛します。

今回は、「勿体ない」という言葉を、現代の日常使用における代表として①の意味で扱っていきます。

「勿体ない」が使用される場面

①を少し整えて、改めて見てみましょう。

【意味】
(有用な人間や物事が)粗末に扱われて惜しい。有効に生かされず残念だ。 【用例】
「まだ使えるのに捨ててしまうとは-・い」
「あんな有能な人物を放っておくのは-・い」
「こんな事をしていては時間が-・い」

これを紐解くと、ある事象に対して、自分の考えや想定よりも下回った状態となったときに浮かんでくる言葉であると考えられます。

要するに、私だったらこうするのにってやつですね。

ここで、私自身がよく「勿体ない」と言われる場面を挙げて、もう少し具体的に見ていきます。

私は、現在無収入で過ごしています。現在だけでなく、世間的に見れば残念(?)な選択を取ったことも一度や二度ではありません。

そのため、人生における意思決定に関して友人や知人に話すと「勿体ない」というお言葉を度々いただきます。

意味的に考えると、とてもありがたいことです。どこかしらの部分で私のことを、有用であると捉えてくれているということでしょう。

ただ、この言葉を受ける身としては、嬉しく感じる部分はもちろんあるのですが、同時に何かモヤモヤする気分になります。それはなぜでしょうか。

「勿体ない」は事象そのものに対して使う言葉

先ほど、Google先生の教えから、私は以下のようにまとめました。

ある事象に対して、自分の考えや想定よりも下回った状態となったときに浮かんでくる言葉であると考えられます。

そもそも「勿体ない」という言葉は、事象"そのもの"に対して"主観的に思う"ことであって、その事象を引き起こした人に対して使う言葉ではない、と私は捉えています。

「勿体ない」という言葉を受ける側からすると、相手(発言者)にとってその事象がネガティブな状態であるということを突きつけられることになります。

つまり、相手から一方的に見下された状態となります。

不快にならないわけがないですよね。その言葉の後にいくら補足説明をされたとしても、ダメージを受けたこと自体が消えることはありません。きっとこれがモヤモヤの正体なのでしょう。

前述した、私自身が「勿体ない」という言葉をしばしば受ける場面、人生における意思決定の話を例とすると、

・お前はアホか
・普通そんな選択しないよね

と見下されているように感じるということです。

もし、その事象についてきちんと議論をしたいと考えているのであれば、「勿体ない」というわかりやすい言葉を代用するのではなく、自身の意見そのものを伝えた方が建設的であると考えます。

逆に、「勿体ない」という言葉を使って諭してくる相手は、無意識下でこちらのことを見下していると考えられます。有意義な議論にはなり得ませんので、世間話として会話を楽しむ程度が良さそうです。

その言葉、意味や用例を確認していますか?

冒頭でも書きましたが、私は「勿体ない」と思ってしまうことは多々ありますが、その事象を引き起こした人に対しては発しないようにしています。(気を付けていても知らずに発してしまっていることはあるでしょうが…)

今回取り上げた「勿体ない」という言葉だけでなく、違和感や不快感を覚えた言葉については、意味、用例、語源について調べ直す、というか学び直すことをしたりしなかったりしています。めんどくさがって放置してしまう場合が多いので、気を付けたいところです。

言葉は無数に存在する上に、時代によって意味が変化していくものもあります。それを使用することの難しさといったら。。複数の言語を操れる人はホントすごいです。

※追記

本テーマについて、ポッドキャスト『雑々談々』にて naokey さんと語らっております。(本編は 07:25 頃から)


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