ISVとしての大成功:最初の打ち合わせから契約に至るまで(パート2)
米国でのAppExchange支援をしているコードサイエンス社セミナーのまとめ。果たして日本との共通点、相違点はどこか、を考えるシリーズ。パート1を以下、今回はパート2になります。全部で3回シリーズ。原文は下の方のリンク。
セールスフォースのパートナーエコシステムで成功するための戦略を紹介するブログシリーズのパート1では、製品と市場の適合性やメッセージングの観点から、市場開拓のためのアライアンスチームを構築する上でのチーム間の調整の価値について詳しく見てきました。今回は、Salesforceと共に成功するためのもう一つの核となる要素、すなわち、バイヤーとセラーのジャーニーをデザインすることについてご紹介します。
これらのジャーニーは、最初のミーティングから成約に至るまでに必要なすべてのステップという、同じコインの表と裏のようなものです。トライアル体験、デモ環境、そしてその間のすべての活動を考えてみてください。買い手がどのように製品を購入し、営業チームがどのように販売しているかに注目することで、重要な勝利の機会を見出すことができます。
それでは、「Acting Like a Top 25 ISV」(ISV上位25社のように振る舞うには)ウェビナーシリーズの教訓をもとに、買い手と売り手のジャーニーを軌道に乗せ、維持するために必要なことを考えてみましょう。
買い手のジャーニー(体験) 〜 トライアルでの経験がすべて
自社製品のトライアル(試用)体験は、見込み客が自社の技術を試すような単純なものだと考えがちです。しかし、販売プロセスの多くのステップと同様に、それほど単純なものではありません。CodeScience社のCROであるショーン(Sean Hogan)氏は、「トライアル体験とは、見込み客が購入プロセスを通じて貴社や貴社の技術に接する際に経験してもらいたいものになる。」と説明しています。
つまり、お客様のトライアル体験には、自分たちが思っている以上に多くの要素が関わっているということです。スムーズで軋轢のない、ハンズオントライアルを実現し、取引を成立させるためには、共通のテーマである「連携」が鍵となります。トライアルプログラムの成否を決めるのは、チームとテクノロジーが同じ方向を向いていることです。
GTM Guidesの創設者であるMike Davisは、良いデモやトライアルは良いストーリーから始まると説明しています。ISVの場合、3つの核となるストーリーを語る必要があります。
1. お客様に対するバリューストーリー
2. Salesforce社内のチームに関連したあなたの価値のストーリー
3. 社内の関係者が、社外のオーディエンスに向けた価値を理解するためのストーリー
(解説)
チャレンジ:セールスフォースエコシステムのカルチャーはハンズオンでの評価を求める
解決策:ペルソナを決め、業界やマーケットセグメントを定め、成果に集中すること、そのすべてをやること
ツール:(AppExchangeサイトで提供されている)テストドライブ、フリートライアル、トライアルフォースのすべてがストーリーを語ってくれる。
これらのお客様にはそれぞれ固有の課題があり、ISVはお客様が成功を収めることに集中しなければなりません。見込み客は、Salesforceのエコシステムでは当たり前のことですが、常にハンズオン体験を求めます。さらに言えば、営業チームはお客様の課題を理解し、お客様に合った体験を提供する責任があります。
マイクの説明によると、「お客様からデモの依頼があった場合、営業担当者は製品を販売した経験に基づいて課題を解釈することが多い。しかし、それは、お客様が実際に体験したいこととは、頻繁にずれてしまうことがあります。思い込みに邪魔されてはいけません。コンセプトの検証を求められたときには、純粋な好奇心を持ってください。そして、それがお客様にとってどのような意味を持つのかを理解するために、フォローアップの質問をしましょう。」
ストーリーを語るのは、トライアル・エクスペリエンスのパズルを解くための一つのピースに過ぎません。あなたのチームの技術的なフレームワークもまた、トライアル・エクスペリエンスに大きな影響を与えます。そして、ここでストーリーとテクノロジーが一致する必要があります。トライアル可能なすべてのオプションに必死で取り組まなければならないと思う必要はありません。ターゲットとなるお客様にとって何がベストなのかを見極め、そこに焦点を当てましょう。
トライアルの経験は、繰り返されうる積み重ねの成果(Win)を探していけば改善されます。AppExchangeアプリの無料トライアルで見込み客を顧客に転換する方法については、このTrailheadモジュールをご利用ください。
売り手のジャーニー(体験)〜成功をデザインする
当然のことながら、買い手のジャーニーのブックエンド(注:最後の意)は、営業から製品を購入するという体験です。では、売り手のジャーニーとは何でしょうか?それは、商談を評価してから成立するまでの、すべてのタッチポイントのことです。そして、売り手のジャーニーは、繰り返し成功するように設計し、最適化することができます。しかし、売り手のジャーニーが影響を与えるのは営業チームだけではないことを認識することが重要です。
(解説)
チームになぞらえていますが、お客様、セールスフォース、自社という3つのステークホルダーに対して営業、エンジニア、アライアンス、エグゼクティブという4チームがそれぞれ対応し、デモやプロダクトマーケティング、AppExchangeサイトなどがこれら全般をカバーしている。
みなで対応しないとトライアルはうまくいかない。Salesforce内では「AppExchangeサイトにどのように掲載すればお客様への訴求効果が高いか」がわかってきたので、それを支援するプログラムも生まれている。ただ、日本ではまだ2019年時点では展開できていなかった。
ショーンは、TOPO(現ガートナー)の創業者であるクレイグ・ローゼンバウムとのウェビナーで説明しているように、「売り手のジャーニーは、営業チームだけでなく、セールスエンジニア、デモ環境、買い手のストーリーを構築するプロダクトマーケティングチーム、AppExchangeへの掲載、あなたの会社のアライアンスチーム、そしてエグゼクティブも含まれています。そして忘れてはならないのが、Salesforceの活用です!」
買い手のジャーニーで説明したように、売り手のジャーニーをデザインするための論理的な出発点は、あなたのチームが取引を成立させるために必要なすべてのタッチポイントをマッピングすることです。クレイグによると、機会から成約までのマップが明確に表現されていることが、業績の良いISVやSaaS企業の共通の特徴だそうです。
「データを収集する際には、通常、定性的に何かが見えてきて、それを調査してさらに詳しく調べようとするものです。」クレイグは説明する。「私たちが気づいたことの1つは、高い業績を上げているSaaS企業やソフトウェ ア企業の3分の2は、明確に定義されたセールス・プロセスを持っているということです。これは非常に重要なことです」。
セールスプロセスを構成するすべてのステップを明確にすることは、戦いの半分に過ぎません。隠れた罠やパターンに気づくことが重要で、それがハイパフォーマンスチームを妨害する可能性があるからです。
トライアルの51%が失敗に終わっていますが、その理由は、営業担当者が成功基準を適切に定義していなかったため、買い手の期待値を管理できなかったことにあります。
「トライアルは "やったら終わり "ではありません」とクレイグは言う。素晴らしい製品を持っていて、それをお客様にお渡しするだけでは不十分です。「あなたの製品が素晴らしいことは知っています。しかし、トライアルで重要なのは、買い手が成功するように設定することなのです。」
AppExchangeで無料トライアルを設定する準備(注:日本語ページなし)はできましたか?今すぐTrialforceでセットアップする方法をご覧ください。
ブログシリーズのパート2はここまでです。2週間後にパート3をお届けします。
ISVで成功するための戦略についてもっと学びたい方は、Salesforceパートナーコミュニティ(英語)をご覧ください。
著者 Stefanie Gesiorski
Senior Marketing Manager @ codescience.com
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