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論文紹介:Beyond ‘the’ flow state Pathways to distinct, optimally engaging psychological experiences in nature-based adventure (フロー状態を超えて 自然をベースとしたアドベンチャーにおける、明確で最適な心理体験への道筋 )

今回読んだ論文

Beyond ‘the’ flow state
Pathways to distinct, optimally engaging psychological experiences in nature-based adventure

Patrick Boudreau, patrick.boudreau.alguire@gmail.com
Ara Institute of Canterbury, Department of Applied Sciences and Social Practice, Christchurch, New Zealand

Susan Houge Mackenzie, susan.hougemackenzie@otago.ac.nz
University of Otago School of Business, Department of Tourism, Dunedin, New Zealand

Ken Hodge, ken.hodge@otago.ac.nz
University of Otago School of Physical Education Sport and Exercise Sciences, Dunedin, New Zealand

感想と意見

11月から12月にかけて、出張が続いていてあまり論文を読み込む時間がとれていなかったのだけど、以前から気になっていた、「フロー理論のその先」に関する論文は、最低限、頭にいれておこうと読んでみた。

以前翻訳した博士論文の先行研究にあたる論文で、内容は前にお話した通り、テリックフローとパラテリックフローを、マッケンジー教授が特定し、また多少時期がずれるが、ほぼ同時期に、スポーツ心理学の分野で、クラッチ状態とフロー状態が違う、という研究結果が生まれ、このテリックフロー、パラテリックフローとクラッチ、フローの概念が似通っているのではないか、という指摘から、その特徴を定義している。

忘れそうなのは、パラテリックフロー(フロー)が「探索的」であるということ。つまりゴールがなく、目標が明確ではない状態のフローであるというところ。この条件は結構判断に使えるように思う。

Abstract

フロー研究は、主に単一の最適状態モデル(例:フロー、ピーク体験)に焦点を当て、多くの場合、伝統的なスポーツや仕事の文脈で行われてきた。本研究では、自然をベースとした多様な冒険の文脈(ロッククライミング、スノーボード、ベースジャンプ、ホワイトウォーターカヤックなど)を対象とした逐次研究を通じて、異なる最適体験(すなわち、フローとクラッチ)を包含する代替モデルの提案を調査した。逐次説明的デザインでは、フロー・アンケートのスコアのインテンシティ・サンプリング、半構造化インタビュー(研究1)、スキャンラン共同インタビュー法を用いた帰納的・演繹的データ収集と分析(研究2)が行われた。分析により、「フロー」状態と「クラッチ」状態が明確に一致し、最適に魅力的な体験が特定された。どちらの体験も没入的で現在に集中するものであったが、それぞれの状態には明確な前兆、特徴、結果が伴っていた。これらの知見に基づき、(1)異なる最適体験の拡張モデルを提示し、(2)多様な形の体験をデザインするための含意を示す。様々な文脈における多様な最適体験のデザインへの示唆を探る。

キーワード
フロー状態;クラッチ状態;最適体験;ピーク体験;心理学;冒険

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