「初めての人生の歩き方。――毎晩彼女と君にラブレターを」第392話:兄の誕生日。

「もし汝の兄弟、罪を犯さば、これを戒めよ。もし悔改めなば之をゆるせ」
新約聖書


 朝、スマホのスケジュール帳をみると、そこには「兄の誕生日」とだけ書いてあった。
 僕はそうか、もうそんな日になったのか、と思いながら、スマホを閉じると、いつも通り仕事に出かけた。

 兄が死んで八年が過ぎていた。
 生きていたら、39歳のはずだった。
 僕はいつの間にか兄の年を追い越していた。

 朝日がまぶしくて、それでも外は寒かった。電車に乗り込んで、揺られながらInstagramの投稿をして、降車駅まで少し目を閉じる。

 生きていたら、と過程をしなくては、相手のことを思い出せないことに、僕は不思議な悲しさを覚えて、駅について職場に歩いているときも、眠さよりも寒さよりも、朝日のあたたかに目を向けるしかなかった。

 鳩が飛んでいった。

 生まれた日は、例え死んでも、生き続けるのか。

 そんなことを思いながら、僕は今日も仕事をして、ご飯を食べて、家族の元にいそいそと帰り、これからもきっと生きていく。

 今日は早く寝よう。
 なんとなく、そう思った。

生きていたから君に出会えて、

これから死ぬから君を愛せる。

終わりは悲しくなんてない。

きっと。

心より愛を込めて。

初めての人生、子供の頃は死ほど遠いものはなかったけど、いつの間にか、死は身近になっていく。

君は、

いつかそのことを考える。

でも、悲しまないで。

また今度、

そのことについて、

一緒に語り合おう。

今年も、残り324日。

またね。

――――――――――――――――――

最後まで読んでくれてありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。

★無料マガジン(作品集)はこちらから★
・詩、現代詩
https://note.com/ruminos/m/m34cc9775688f

・小説
https://note.com/ruminos/m/maee84af56e18

・小説セラピー
https://note.com/ruminos/m/mbeb2f9267be2

・絵、アート、イラスト
https://note.com/ruminos/m/m14c385ae8175

☆作品は定期的に投稿していきます。
フォローしていただけると幸いです。

⇩自己紹介はこちらから⇩
https://html.co.jp/yuji_arihara

他にもアメブロ、Twitter、Instagram、YouTubeでブログ、小説、エッセイ、詩、現代詩、ほぼ100字小説、俳句、短歌、川柳、エッセイ、絵、詩と小説の朗読、弾き語り、小説セラピーなどを投稿しています。

各SNSの内容はすべて変えています。
見ていただけたら幸いです。

⇩アメブロ⇩(ブログ、詩と小説、絵など)毎朝更新
https://ameblo.jp/arihara2/entrylist.html

⇩Twitter⇩(詩、現代詩、ほぼ100字小説、絵など)毎日更新
https://twitter.com/yuji_arihara

⇩Instagram⇩(俳句、短歌、川柳、詩、現代詩、ほぼ100字小説、エッセイ、絵など)毎朝更新
https://www.instagram.com/yuji_arihara/

⇩YouTube⇩(詩と小説の朗読、弾き語りなど)不定期更新
https://www.youtube.com/channel/UCtO3ov_Z6JkA0w3VIFSF3bw?view_as=subscriber

⇩Facebookページ⇩(お知らせやSNSの更新通知など)不定期更新
https://www.facebook.com/ariharakobo

⇩BASE SHOP⇩(小説セラピーや詩、おすすめアイテムの販売)
https://ariharakobo.thebase.in/

どなたでもフォロー大歓迎です。

あなたの人生の
貴重な時間をどうもありがとう。

★最近の暇つぶしアイテム


いいなと思ったら応援しよう!

有原野分
支援していただけたら嬉しいです。