
「初めての人生の歩き方。――毎晩彼女と君にラブレターを」第362話:雪のような人生を
「雪は天からの手紙である」寺田寅彦
目が覚めると、外は一面の銀世界でした。
しかし私は、ずっと夢とうつつのまどろみを夢にみて、布団の上に座り込んでいたのですが、早々に布団から出た彼女がカーテンをひいてこういうのです。
「雪が降っている」
ついで窓を開ける音がして、部屋の中に銀色の空気が飛び込んできました。
パジャマの上からなでるようなその冷たい風は、私の目を爽快に覚ましてくれました。私はそのまま立ち上がって、彼女のいるベランダに向かいました。近づくにつれ、確かに空気が冷たくなっていくのですが、なぜだか心地よくもあり、そしてあたたかくありました。私はベランダに足を踏み出しました。
それは冬に飛び込むということでした。
目の前に綿のような雪がまるで星くずのように降っていました。太陽は出ていないのに不思議と明るくて、一面は白または銀、遠くの山々を見やると目の中に一杯の雪が飛び込んできて、その景色はとにかく美しかったのです。
私は手を伸ばしました。その手のひらの上に一粒の雪がふわりと乗りました。
「冷たいね」
私たちは笑いました。その間に雪は手の中で溶けていきました。
雪。
雪のように生きていきたい。
かつて、そんなことを酒を飲みながら考えていた私は、その手のひらで溶けた雪のしずくを眺めながら、一体、これからどのように生きていくのかは分からないけれど、今のこの幸せな時間を永遠だと思って噛みしめようと思ったのです。
そして私は、雪を踏みしめながら仕事に向かいました。
後ろを振り返ると、雪の向こう側に、手を振っている彼女が――。
雪に味がないように、私は淡々と生きていきたい。
手を振り返すと、彼女がほほ笑んだのが、確かに見えたのです。
☆
きみと初めて一緒に過ごす冬を、
君には伝わっていないかもしれないけど、
僕は噛みしめるように楽しんでいるよ。
一緒に雪が見れてよかった。
ありがとう。
雪の中にいる君も美しかったよ。
心より愛を込めて。
☆
初めての人生、いつまで雪を見られるのだろうか。
奇跡とは起こるものでなく、
気づくものだと知ってから、
ただの雪でさえ、
まるで奇跡のように感じられる。
淡々と。
きみの人生に、
雪は降るかな?
今日もありがとう。
今年も、残り354日。
またね。
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