とんでもない暑さが普通になってきたからこそ知っておくべきこと
2023年も6月に入ってからの湿度の高さは筆舌に尽くしがたい。
昨年も同時期、28を超えると危険と言われているWGBT(暑さ指数)が6月25日以来、危険水域を超える30オーバーを連発しました。
こんな状況になると、意外なほど簡単に熱中症になってしまうものです。
私の周りでも、スポーツ現場歴の長いトレーニング指導者、トレーナーが相次いで熱中症に陥りました。
ある人のケースは恐ろしく、当日もおかしかったが、その日の夜からいきなり汗が止まらず、大腿四頭筋が筋痙攣を起こすなどの症状が出てしまったとのこと。
熱中症の最も怖い点は、遅れて症状が出ること。
食欲減退、頭痛、発熱ぐらいで済めばまだマシですが、最悪死に至るケースも多く報告されているのです。
「度を過ぎた理不尽さ」が引き起こした熱中症からの死亡事故
2022年岐阜共立大の硬式野球部にて、道具の後片付けを問題視した監督が1時間以上のランニングを「罰走」として全選手に課しました。
炎天下のなか、今の時代にこれを公然と行うことが理不尽を越えた暴力に近い行為ですが、一人の学生が倒れてしまいます。
水分補給をさせようとしたものの吐いてしまう状況を危険と判断して、現場にいたトレーナーが救急車要請を提案したものの、監督がこれを却下。
学生の車で病院へ連れていったものの、症状は悪化の一途をたどり、結果的に痛ましい死亡事故となってしまったのです。
こういった理不尽な指示は言語道断ですが、熱中症の恐ろしさを全員が理解し、徹底的に予防する必要があるのは間違いありません。
お水の飲み方をもう一度整理しよう
熱中症対策の基本的なものとして最も大事なものが水分補給。でも一番の問題は「どれくらい飲んだらいいのか?」ですよね。
10年ほど前には1日2リットルは水を飲むべき!と推奨された時期もありますが、トレーナーの中でも明確な基準づくりは難しいはず。基本ではあるけれど、改めて水分の取り方についてまとめてみましょう。
水分の重要な役割とは
体内水分量を維持することは、身体の機能にとって必要不可欠。
私たちがなぜ水分が必要なのか。改めて考えられる重要な役割を挙げていきましょう。
コロナウイルスの感染予防が依然大事である今、乾燥を防ぎ粘膜の働きを活発にしておくためにも、水分補給は重要ですよね。
結局どれくらい飲めばいいの?
水分摂取と水分補給は多岐に渡ります。どれだけの量の水分が必要になるのかは人によって違うのですが、時間帯によっても変わるんですよね。
水分摂取の多様性は以下の理由などが考えられます。
・遺伝子構造の違い
そもそも男性は女性よりも、多くの水分が必要な傾向があります。
・気候
当然ですが、暑ければ暑いほど、必要な水分は多くなります。気温だけでなく湿度も大きな要素ですよね。
エクササイズをして汗をかいている場合、アスリートが失う水分量にも個人差が出てきます。ただ水をトレーニング中や試合中に摂取しているだけでは充分ではなく、むしろ危険でさえあるケースも出てくるかもしれません。
・体調の変化
例えば病気であり下痢や嘔吐を伴っている場合や、妊娠している、あるいは授乳している場合。水分摂取に影響するような内科的疾患・持病がある場合や女性アスリートにおける月経時のタイミング。
体調の変化や症状によって、必要な水分量は大きく変わってしまいます。
目安こそあれ、一概にどれぐらい飲めばいい、とは言えないわけです。だからこそ、古典的ではありますが「確かめ算」のように尿の色の確認から始めましょう。
尿の色をチェックし脱水状態のサインを知ろう
十分な水分を摂取できているかどうか、どれだけの量が必要であるか。もっとも簡単に知る方法は、尿の色を調べることです。
尿が淡黄色であるかを調べることが、水分補給を評価する最も簡単な方法です。
脱水状態である、あるいは水分がもっと必要であることを示すサインを以下に挙げます:
オススメの水分摂取方法
1日の中で確実に十分な水分を補給するための方法をいくつか挙げましょう。
・どこへ行くにもウォーターボトルを携帯する(学校、職場、ジム、車の中)
→手の届くところに水を持っていくだけで、自然とどれだけ水分を摂っているか驚くはずです。
・朝、朝食を摂る前に1杯に水を飲むことから始める
→全ての食事、おやつの前と最中に水を飲む。これは食事量の管理にも役立ちます。
・エクササイズの前、最中、後に水分を摂取する
→習慣化することで、自然と定期的に水分補給ができます。
熱中症対策として、マラソン選手の対策から学べること
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