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思い出が消えていく

大学受験の勉強をしている時、何時も聞いていたのは明石家さんまのヤングタウン土曜日だった。
当時ハロプロが好きで特に道重さゆみが好きだったから、彼女が番組のアシスタントになった2007年から2014年まで繰り返し聞いていた。

道重は明石家さんまの娘であるイマルと同い年で、トークもなかなか立つところがあり、やり取りもどことなく父娘っぽい所があって面白かった。
それ以降は社会人生活(仮)が大変になり、道重の引退もあって、あれだけ聞いていたヤングタウンはフェードアウトしてしまった。

それでもその後の人生で時々、明石家さんまがラジオで話していた事を思い出すことがある。

最近思い出したのはプロポーズするときの場所について。
たしかお店でプロポーズするのはやめた方がいいという話をしていた。
特にレストランなど飲食店は潰れることが多いので、二人の大事な思い出の場所が無くなってしまうことが多いというのが理由だった。

どうしてこの話を思い出したかというと、コロナで飲食店が苦しみ、バタバタ潰れているのを目の当たりにしたからだ。
外食はあまりしない私ですら、知っているいいお店を失ってしまった。まだ残っているお店にもなかなか行きづらくなってしまった。

コロナ以前であれば、元々入れ替わりが早い業界だし、潰れたらまた何か入るだろうと正直ほとんど他人事のように思っていた。

でもこうして家に引きこもりながら、それでいて何もせず悶々と考えに耽っている時にふと、先ほどの明石家さんまの話を思い出した。

失礼ながら以前は筍の様に思っていた飲食店も、改めて考えると全て誰かの思い出の舞台だったと気付いた。

チェーン店にしろ個人店にしろ、そこでは誰かと誰かが出会い、別れ、喜び、悲しみ、色々な思い出が積み重なっていた。そういう思い出の地層がごっそり消えていくのが今の時代。

経済を語る頭なぞ持ち合わせてはいないが、思い出の場所の喪失、それって個人単位では結構大きな問題なんじゃないかと思う今日このごろだ。

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