国語科の双方向オンライン授業の作り方
三度目の緊急事態宣言が出て、オンライン授業への対応に苦戦する先生方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。私もその一人です。
昨年、初めて現代文と古典のオンライン授業を行うことになりましたが、教科の特性上、相談できる人も周りにはいないので、とにかく手探り状態でした。そして試行錯誤した結果、最近では周りの先生方に相談していただく機会が増えたり、生徒からも「先生はオンライン授業上手だよ!」というお誉め言葉もいただいたので(笑)、自分自身の振り返りも兼ねて双方向オンライン授業の組み立て方と実践の流れをまとめていこうと思います。
●効果的な双方向授業の為に!最も大切にしていること2つ
「学習効果のある」オンライン授業を行っていく上で私が最も大切にしていることは、大きく2つです。
それは、
★教師はできるだけ喋らない
★生徒の声を聞く
です。
この2点について留意点も含めて解説していきます。
【教師はできるだけ喋らない】
生徒によっては朝から夕方までずっとスマホの小さな画面で授業を受けることになります。一日に50分×6コマを見続けるなんて、普通にムリです。お笑い芸人のような話術が私にあれば授業時間いっぱい生徒も話を聞いてくれるかもしれませんが、普通に凡人なので、凡人なりに考えました。授業を効果的に行う為には、とにかく生徒を疲れさせず集中力を保てる枠組が必要です。
授業の大枠としては、
・一つの授業を長くても30分以内に収めること。
・こちらが何かを説明する時間は合計10分以内にすること。
・連続して何かを説明する時間は5分以内にすること。
の3点を毎回の授業で心がけています。50分枠の中で全体が30分完結だと、集中力が切れてきた生徒は休憩ができて、個別の質問タイムも十分に取ることができます。何より最初から30分という想定で授業を組んでおけば、機材トラブル等で多少オーバーしても大丈夫なので自分自身落ち着いて授業に臨むことができます。
【生徒の声を聞く】
双方向オンライン授業でも、こちらが生徒の表情を見ることは難しいです。回線が重たくなって切れてしまうことを考えると、生徒全員がカメラをつけて授業を受けることは現実的ではないからです。これでは、生徒がどんな表情で何を考えながら授業に臨んでいるか、全く想像もつきません。生徒がどのように授業を受けているか知るために私が毎回の授業で行っていることはこの2点です。
・ブレークアウトルームを一度は使うこと
・授業の振り返りの時間を取り、毎回何かしらの課題をオンライン上で提出させること
この2つを行うことによって、「授業に参加しているフリ」をしている生徒もぐっと減ります(笑)
●薬にも毒にもなるブレークアウトルーム
オンライン上でもグループワークを行うことができるブレークアウトルーム機能は、多くの先生から好まれています。ただ、使い方を誤ると無為な時間が過ぎてしまうだけになってしまいます。私がこれまでの失敗を元に現在留意していることをご紹介します。
【ブレークアウトルームを使う時の注意点】
それぞれのブレークアウトルームの中に一人積極的な子がいてくれればその部屋はどうにか回りますが、時間短縮の為基本的にはブレークアウトルームも自動で作成するのでそうもいきません。その為、特に上の学年になるほどブレークアウトルームの5分間全員がマイクをミュートにしたまま一言も喋らないということも想定されます。その対策として、
・「グループの中で出席番号が一番早い人が司会をする」など、役割を決めておく。
・まずは「ブレークアウトルームで喋る」というハードルを乗り越える為に、アイスブレーク的な会話を入れておく。
・いきなり話し合いから始めるのは難しいので、個人で考える時間を取ってから共有して深める場にする。
といったことを必要に応じて取り入れています。(上記をしなくても十分話し合いになるクラスでは省略する場合もあります。)
また、ブレークアウトルーム自体はとても便利ですが、一度の授業で何度も出たり入ったりするとその度に間延びして授業のテンポ感も悪くなります。その為、本当に効果的な発問を厳選し、ブレークアウトルームに出入りするのは一回の授業で一度だけにしています。
●双方向オンライン授業の実際の流れ
現代文と古典について、実際に行っているスタンダードな展開と時間配分をご紹介します。
【授業の流れ(現代文)】
(1分)全員マイクをオンにするよう指示し、教室で行う授業と同じように号令をかける。
(2分)これまでの振り返りをする。
(5分)本文を読んでいく上で必要な予備知識等を解説する。
(2分)本文を音読。
(5分)発問を提示し、個人で取り組む。
(5分)個人で取り組んだ内容をグループで共有する時間を取る。(ブレークアウトルームを利用)
(5分)発問を中心に内容について解説する。(スライドで分かりやすく!)
(2分)振り返りの課題を提示する。号令の後、課題に取り組んでオンライン上で提出するよう指示する。
(1分)全体の号令をかけ、質問がない人は自分で退出するよう指示する。
(必要なだけ)残っている生徒に対して個別に質疑応答。
【授業の流れ(古典)】
(1分)全員マイクをオンにするよう指示し、教室で行う授業と同じように号令をかける。
(3分)文法事項のチェックテストを行う。(画面共有や口頭で問題を提示)
(3分)一度全員マイクをオンにして、教材の授業で取り扱う部分を一斉に音読する(声を揃えて読むことは不可能な為、それぞれのペースで。)
(5分)予め自分でノートにしてある予習を元に考えることができる発問を提示し、個人で取り組む。
(5分)個人で取り組んだ内容をグループで共有する時間を取る。(ブレークアウトルームを利用)
(5~10分)発問を中心に文法事項や内容について解説する。(適宜小さな質問や書く時間を挟む)
(2分)振り返りの課題を提示する。号令の後、課題に取り組んでオンライン上で提出するよう指示する。
(1分)全体の号令をかけ、質問がない人は自分で退出するよう指示する。
(必要なだけ)残っている生徒に対して個別に質疑応答。
色々試した中で、個人的にはこの形が最もテンポがよく集中力も保つことができ学びのある展開になると感じ、生徒からの反応も良いです。
【画面上には何を映す?】
私は基本的に予めパワーポイントで作ったスライドを画面共有しながら授業を行っています。板書にあたるものだけでなく、今何をする時間なのか一目瞭然になるよう心がけています。例えば、発問に取り組む時間は発問と制限時間を大きく画面に映し出すようにしています。
●楽しい雰囲気作りのためのネタ
生徒たちの授業に参加するモチベーションを保つために、そして何より自分が楽しむために!遊び心も必要です。授業内容に関わらず、(関連づけることもあり!)私が行っていることはこちらです。
・カメラでオンライン授業をしている場所をぐるっと映してみる(ライブ感があって楽しい!)
・全員が入室してくるのを待っている間にBGMを流す(早く入室した人が曲のリクエストをできるみたいな流れが勝手にできていて、授業ギリギリに入ってくる生徒がほとんどいなくなったクラスも!)
●最後に。とにかくライブ感を!
どんなに通常時の毎朝の早起きが面倒でも、やはり長期間学校へ行くことができず家に閉じ込められている生徒たちは大きな孤独を感じています。学校での日常生活を唯一疑似体験できるのが、双方向オンライン授業です。双方向オンライン授業では、どれだけライブ感を出せるかが勝負だと考えて私は授業を行っています。
生徒たちの学びを止めないためにも、毎回楽しみになるようなオンライン授業作りを、お互い頑張りましょう!
実際にオンライン授業で使っているスライドや具体的な発問は、DMをいただければお見せしますので、ぜひご連絡ください。(もちろん収益は得ることはできないのでどうぞお気軽に。笑)
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