「楽しさ」が人々の行動を変える。
ゲーミフィケーション、ゲームデザイン。
と聞いて何を思い浮かべますか?
オンラインゲームやアプリのゲームのことだと思った私は、正直興味ないなー、と思いながら授業を聞き始めていたのですが、実はとても奥深くて面白くて、浅はかな自分を反省しました。笑
ゲーミフィケーションという言葉の由来は、本来私たちの日常生活におけるさまざまな場面や要素をゲームのようににしてみるという意味の「Gamefy(=ゲーム化)」という単語から派生したものだといわれています。
そして、人が楽しんでプレイできる遊びや競争といったゲーム的な要素や考え方をゲーム以外の分野に応用し、顧客やユーザーの行動変容を促進する取り組みのことをいいます。
どうしたら、人々の行動を変えられるのだろうか?これは、デザインだけでなく、セールス、マーケティングなどのビジネスにおいての究極の目的であり、さらには日常生活でも例えばダイエットや運動など、なかなか続けるのが難しいことに対して、ゲーミィフィケーション及びゲームデザインを取り入れると有効かもしれません。
「楽しさ」で人々の行動を変えるという素晴らしい取り組みをしているのが世界を代表する自動車ブランドフォルクスワーゲンです。彼らは「楽しさ」こそが人々の行動を変える一番シンプルな方法であるという考えのもと、「ファン・セオリー」というプロジェクトを立ち上げています。ユニークな実験動画を通じて、人々の行動を社会にとってより良い方向へと変えていくための様々な提案をしています。
ここでは2つのプロジェクトを紹介します。(※動画再生時には音声をオンにして視聴ください)
1. どうすれば、人々はゴミをゴミ箱にちゃんと捨ててくれるだろうか?
公園や路上にポイ捨てしてはいけないということはわかっていても、つい面倒に感じてポイ捨てをする人に対して、「ゴミを捨てるというめんどくさい行為を、思わずやってしまう楽しい体験へ変えるにはどうしたら良いだろう」という発想でゴミ箱にある仕掛けをしています。
2. どうすれば、駅の利用者はエスカレーターではなく階段をもっと使ってくれるだろうか?
健康のためには運動をしたほうがよいというのは誰もがわかっていますが、楽をする方法があればついついそちらを選んでしまいます。階段よりもエスカレーターやエレベーターを使ってしまう人々を、思わず階段を使いたいと思わせる、階段への仕掛け。実にユニークなソリューションです。
このプロジェクトの結果、なんと普段より66%も多くの人がエスカレーターではなく階段を利用するようになったそうです。確かにこんな階段があったら思わず登りたくなるのも納得です。
頭ではやったほうが良いとわかっていても、つい人間は怠けてしまうものです。いくら良いことであっても人の行動はなかなか変わりません。だからこそ、真面目な方法でアプローチをするのではなく、「遊び」や「楽しさ」という方法によって、「思わずやりたくなる」仕掛けをするというのが重要なのかもしれません。